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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
九章 第四回公式大会

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9-4.予選 Dグループ第4ブロック 上

 

 ――――5分前になりました。転送を開始します。


 システムアナウンスが入って、バトルコロシアムに転送される。


「うーん、端よりはやや中央寄りですね」

「ど真ん中じゃなかっただけ良しとしましょうか」


 コロシアムのステージ上の観客席には、プレイヤーアバターがずらりとこちらを見下ろしている。


「あんまり見ないほうがいいですよー」

「そうですね、今更緊張してきました……」

「さっきまで平気そうだったのに」

「なんか、現実味がなくて……」


 胃の内側がせり上がるような感覚とともに、心臓がばくばくと鳴る。

 一瞬にも永遠にも思える待機時間の後、視界の隅にカウントダウンが流れ始めた。


 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 GO!


「イカサマダイス、ジャンプブースト!」


 最速で中央の人混みに向かって飛び上がる。


奇術の時間(イッツァショウタイム)!」

「ポイズンレイン!!!」



 □■□■□■□■□■□


「さー予選も最終グループとなります、Dグループです。このグループのみ、シード者が辞退したため、8ブロック1032人となります」

リーダー「あ、佐々木さん、表示第4ブロックにしてもらっていい?」

「第4ですね?承知しました」

先生「注目選手でもいんの?」

ロイド「……ああ、彼女か」

リーダー「多分だけど、初手に面白いものが見れるよ」

「さあ何が始まってしまうのか、Dグループスタートしますよ!」


 カウントダウン! 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 GO!


「さあスタートしました!中央に誰かが飛び上がって……」

先生「ポイズンレイン!?」

リーダー「おーよしよし、ちゃんと気付いたみたいだねぇ」

ロイド「なにかヒントでもあげていたのか?」

リーダー「いや何も?俺がなんか言ったらずるでしょ。でもセリスなら気づくだろうなーと思ってた」

ロイド「…………そうか」

「ポイズンレインはプレイヤーの攻撃力に応じた数の毒の雨を降らせるアサシンのスキルになります!奇術の時間を利用して一瞬ですがセリス選手の攻撃力が大幅に上がったため、かなりの数の毒がばらまかれましたね」

ロイド「毒は麻痺や凍結のようなクリティカルな状態異常ではないから、対策している選手も少ないだろうな」

リーダー「セリスがずっと名前を隠してたのも効いてるね。匿名希望アサシンと同じブロックって分かってたら対策されちゃってたかも」

先生「き、凶悪~……仕様的にビショップも少ないし、これはダメージレースではトップだな……」

「さあ毒を入れたセリス選手、短剣を構えていろいろな選手にひと当て離脱を始めましたが、これは……」

リーダー「魅せるねえ」

先生「人の頭、これ積極的に踏んでるよね?」

ロイド「恐らく視線を得るためにわざと踏んでいる」

リーダー「毒切れまでの20秒、乱戦を開始させない気だね」

先生「えげつねえ~~~ってかパートナーはどこ?」

ロイド「外周をぐるぐる回って逃げている奇術師だ」

リーダー「アネシアさんが死ななきゃ勝ちだから。初手の奇術の時間以降はガン逃げ。一応イリュージョンは使ってるかな?」

先生「誰だよその戦法考えたやつ」

リーダー「セリスに100万ゴールド」

ロイド「賭けにならん。ああ、第2ブロックの方、展開が早いぞ」

「さあ第2ブロック、この一瞬で人数がグッと減って、残り28人です!」

ロイド「初手奇術の時間のあと、セージが全員出し惜しみしたな」

先生「まー気持ちは分かる!他セージとタイミングかち合ったら悔しいよねえ」

リーダー「乱戦ならではの良くない譲り合いがおきたねー」



 □■□■□■□■□■□



 目に付いたプレイヤーを手当たり次第に踏みつけ、短剣を差し込んでいく。

 火力は皆無だが、宵闇の短剣は毒の付与率が類似武器の中でダントツで高いので、ほとんどの攻撃で毒の状態異常が入った。

 あとはとにかく避ける。そして踏む。

 流石に全回避は出来ていないが、それでも完全回避はあと4回。

 っと、スキルのクールタイムが明けた。


「ジャンプブースト、ポイズンレイン!」


 何度目かのポイズンレインを打つ。流石にプレイヤー密集地がなくなってきたので、これが最後か。


 プレイヤーに対する毒の蓄積はポイズンレインや通常攻撃の毒Ⅰでは秒間1%ダメージ、20秒継続。つまり20%ダメージが入る。

 半数、60人程のプレイヤーのHPを20%も削れば、ダメージランキングは推定トップになれる。2回目の毒が入れば40%。ここまでくれば安泰のはずだ。

 大切なことは広く薄く毒を入れること、そして()()()()()()()()

 可能な限り長い時間完全な乱戦には持ち込ませず、視線を独り占めする。毒の入ったプレイヤーを()()()()()()()()()()()()()ことが肝心だ。


 アネシアは無事に密集地から抜け出して外周に到着し、幻獣召喚(イリュージョン)によるモンスターだけがフィールドを駆け回っている。イリュージョンも当たりを引いている、大虎だ。


 複数のバレットが私を狙っている。

 火の矢が回避先に突き刺さり、MISSが表示された。


「アーケインムーブ」


 適当なプレイヤーにひと当てして離脱する。


 時間感覚が曖昧なのだけど、毒マーカーのないプレイヤーが増えた。

 敵意の視線を全方位から受ける。

 ああ、これは多分ダメだ。最後っ屁をしておこう。


「ポイズン、レイン」


 私に斬りかかった複数人に毒が入り、そして五月雨切りを受けて、世界が暗転した。




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