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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
間章・1

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腐れ縁のゲーム事情

1~2話程度の話をいくつか入れていきます!

 小学校からの親友(くされえん)が突然「頼む、助けてくれ」とメッセージを送ってきた。

 何事かと慌てて通話をかけると、できれば家族に聞かれたくないからVRで、とワークスペースのアドレスを送られた。

 何だそれまじでただ事じゃないな?どうしたよ孝宏(たかひろ)


 指定時間にワークスペースに入る。

 リアルと殆ど変わらないアバターのヤツはすでに待っていて、沈痛な面持ちで座っている。


「タカ?」

「アキラ。悪いな来てもらって」

「それは別にいいけど。どうした?」

「あー……その、なんというか。えっと……」


 比較的普段からハキハキと喋る親友にしては珍しく歯切れの悪いくぐもった喋り。

 思い当たる節としては……就活はもう少し先だし、大学で留年しそう、あるいはやってるゲームで何かあった、あたりだろうか。

 大学の留年騒動だったら親には知られたくないだろうが、俺にはそこまで遠慮しないだろう。つまり後者か。


「……ゲーム、今やってるのはエリシオンファンタジーだったか?そっちで何かあったか?」

「うぇ!?あ、えーと、あったというか、えと、まあ、そう、なんだけど」

「CCO引退するかどうかって時も、会うと毎回なんか悩んでたしな。今度はちゃんと相談してもらえるみたいで嬉しいよ。今またトップギルドにいるんだっけ?そういう系か?」

「あの時は、なんていうかすまんかったな。いや、今いるギルドは空気いいよ。トップが明るくてちょい無茶な人で、サブマスがいつもキレてるけど、リアル親友らしくて仲は良いし」

「喧嘩するほどってやつか」

「そう、それを地で行ってる感じ」


 孝宏の緊張していた空気がふっと緩む。

 うん、悩んでるっぽくはあるけど、深刻にゲームやめるかみたいなレベルではなさそうだ。


「前にさ、固定ペア組むようになったって話はしたじゃん」

「したな。えーと、紙装甲火力系の相方って言ってたか」

「そう、……あの、その彼女と、リアルで」

「ちょいまち」


 いまなんつったお前。


 その彼女と(・・・)つったか?


「相方さん、女性なのか?」

「……言ってなかったか?」

「一切合切"相方"、"相棒"としか聞いてないですねエ!?」

「……まあ、言う必要のない情報だし?」

「一 番 必 要 な 情 報 じ ゃ こ の ク ソ ボ ケ ナ ス ! ! ! ! !」

「え、ええ…ゲームしてる人の性別とかいらんくない?EFOは声変えられないからアレだけど、性別不明とかザラだぜ?」

「その相方さん、可愛いのか?」

「リアル顔は知らんが、アバターはめっちゃかわいい」

「かわいい女の子と丸一年二人ペアだったと!?親友の俺に黙って!?何だよそれ早く言えよ!!」

「い、言ってどうすんだよ、普通にゲームしてるだけなのに」

「俺今からEFOアカウント作る。見に行く」

「来んな!?」

「あ、ギルドの……なんだっけ?動画で顔出してたりする?」

「アバターの方なら配信もやってるし、見れるぞ」

「お、じゃあそっちでいいや」

「なんなんお前マジ」

「親友の彼女が見たい!」

「まだ彼女じゃねえ!!」

「ほほう、まだ(・・)彼女じゃないの」

「~~~~!おまえさぁ!」

「さあキリキリ吐こうか。何があった?」










「砂糖吐きそう」

「心の声漏れてんぞ」

「ちょっと今言葉を飲み込むとVRなのに砂糖味がしそうだからムリ」


 何?リアルラブコメしてきたの?

 EFOの公式掲示板とかいうのをゲストで閲覧する。

 騒動は随分広がっており、関連スレッドが片手の指では足りないくらい建っている。


「ええ~、そういうコンテンツ(・・・・・・・・・)じゃなくてガチでこれやったの?正気?」

「パーティ組むの忘れてたんだよおおおお!!!!」


 EFOの会話仕様的に、パーティを組むとパーティ外のプレイヤーに対しては音声に強烈な距離減衰がかかって、あまり遠くには聞こえなくなるらしい。

 ウィスパーモードを使用すると運営を含めた(・・・・・・)すべての他者に声が漏れなくなる、と。

 で、パーティ組んでりゃ避けられたはずなのに、テンパってパーティ組み忘れて大惨事と。


「これ、俺がいたからってもはや助けられないけど?」

「いや、もうこっちは(・・・・)どうでもいいんだ!よくないけどいい!知らん!そのうちなんとかなる!」

「ムリでは?」


 なんとかなる、大丈夫、多分、と自分に言い聞かせるようにつぶやき出した孝宏にとりあえず続きを促す。


「その……相方、ニンカと、今度会う約束をした」

「リアルでか」

「そう。行き先は決まってる、映画館。店の客からチケットもらったし、それなりに収入もあるから費用面は問題ない」

「ほう、いいじゃん」

「でさ」

「うん、そこまで決まってて俺なんか必要?」

「――デートって、他に何をするんだ……?」


 真剣な顔でこちらを見る孝宏に、こう思ってしまったことは、俺何も悪くないと思う。




「――――知るかよ。」



2月14日が(まったく意図せず)4章7話の甘め話だったので、

3月14日は意図して甘めな感じにしたかった。

……あんまり甘くならなかったな?


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