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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
五章 トップタンクと気持ちの名前

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5-7.傀儡師とソロアサシン

チャットルーム ニンカ:グライド

ニンカ『グライドいるー?』

ニンカ『グライド〜?』

ニンカ『えーと、なんか忙しい感じ?』

ニンカ『反応しろ〜〜』

ニンカ『グライド?』

ニンカ『体調悪い?連絡ください』



 グライドから連絡が来ない。

 ギルドの最終ログイン記録は昨日の夜で、全然ログインできてないってわけではなさそうなんだけど。

 リーダーもロイドさんも見ていないらしい。


「最終ログイン時間は動いてるし、いるはいるっぽいけど……」

「最後に組んだのはニンカで、その前は自分か」

「あれ、ロイド組んだの?」

「アプデ初日に、マップ埋めで組んだ。ただ、あー、調子悪そうでな。すぐ解散した」

「あたしと潜ったときも珍しくスキル回しミスってて。調子悪そうで解散した……」

「じゃー普通に体調悪いんじゃない?無理してログインして、ダメそうですぐログアウトしてる的な?」

「……かなぁ」


 ロイドさんとリーダーには言っていないけど、リアルの方のメッセージも既読無視されている。

 見いてはいる、だけど返事はもらえない。

 体調が悪いならそう言って貰えれば安心できるのに、何も言ってもらえない。



「まあ、グライドいないなら編成考えないとな」

「うーん、様子見する?もうですぺなさんが倒しててどうせ一番乗りじゃないし」

「それでもいいが、とりあえず行きたいメンツだけで行ってもいいんじゃないか?」

「あー、風切羽なしでチャレンジ祭りならそれはそれで楽しいか」


 リーダーたちは新ボス用の編成の話に移っていく。


「ニンカは……無理そうか」

「…ごめんむり」

「いやいい。そっちも無理するなよ」




 なんで?

 なんで、返事くれないの?

 なにかしちゃっただろうか。でもリーダーたちにも何も言ってないなら、本当に調子が悪い?この間様子が変だったときに、ちゃんと聞いておくべきだった。

 言ったって解決できないことでも、話せたら良くなることだってある。なのに、グライドを一人にしちゃった。


 とぼとぼとタウンを歩く。

 ボートタウンはアプデから1週間経っても相変わらずすごい人で、あちこちで新スキルを試す音が響く。

 そんな中で。


「あれ、ニンカさん?」


 匿名希望ちゃんが、メインキャラの藍色の髪を揺らして走ってきた。


「あれ、今そっち(・・・)なの?」

「いやえと、そろそろこっち(・・・)でも大丈夫なんじゃないかと思ってたんですけど、ダメだったところですね……」


 彼女の背後にいた何人かが前挙動なくスッと消えた。強制ログアウトだ。だいたいつきまとい行為とかで起こる。

 ああなるほど、ブースター使ってメインのレベル上げしようとして、結局街なかで絡まれちゃったやつね。

 遠巻きにこちらを見ている視線も感じる。


「ここでキャラ替えすると、今度はサブでも付きまとわれるぞ」

「うっぐ、めんど……」

「おいで」


 ボートタウンをジグザグに歩く。

 ここを右、そっちを左、そこを曲がって、ここの塀はジャンプで越えられる。そっちを曲がればこっちに塀があって、そこにジャンプで登った後はこっちの木に登って、ここはなんともう一段高いとこまで行けまして。はい、他のプレイヤーからは見えない場所に到着。


「ありがとうございます。ニンカさん、タウン構造詳しすぎでは……」

トッププレイヤー(こんなこと)やってれば、よく使う街のは嫌でも詳しくなるよ」

「アレが日常とか、大変ですね……っと、よし」


 無事キャラチェンジした匿名希望ちゃんが緑色の髪を揺らす。


「……ニンカさん、いそがしかったやつですか?」

「は?なんで?」

「いやだって、キャラレベルあんまり上がってないから……」


 あたしのキャラクターは今レベル151。彼女と分かれてから5日も経って、まだ5レベルしか上がっていない。この5レベルも自力で上げたものだ。


「あたしじゃなくて、グライドがね」

「え?グライドさん、一昨日見ましたよ。グレンポートの教習所で、新人ぽい人に盾教えてました」

「は?」

「ニンカさんと組んでないの、忙しいのかなーと思ってええええええに、ニンカさん!?」



 なんだそれ、なんだそれ、なんだそれ。


 ボロボロと涙がこぼれる。




 なんで、なにもいってくれないの。




 □■□■□■□■□■□



 やばいやらかした。ニンカさんめっちゃ泣いてる。え、どういうこと、どういう状況?


「なんっで、あたし、まいにちっなにも、きいてな……」

「え、え?どういう?どういう状況です?」


 ぐずぐずと泣くニンカさんの背中を擦りながら聞いたところによると、どうやらグライドさん、翌日に少し組んだっきりで、メッセージにも一切返信がないらしい。


 いや、でも、えーと、あれは多分グライドさんだったよな?

 新人っぽいアコライトに囲まれて盾のスキル回しの話をしていた。

 人気者だなー、ニンカさんと一緒じゃないのかちょっと残念だなー、と思って遠巻きに眺めてたのでそこは間違いないはずだ。

 なので体調不良とか超忙しいとかの線はない。多分。つまり、何かニンカさんと顔合わせしにくい感じ?



 ぴろん♪


 え、ちょっと待って今メッセ無理着信切……え、ええ?いやいま目の前にいますが。え、それどういう状況、え、ちょっと待って今?え、は?いや、それいいの?え、許可要るのでは?は?え???

 えーいままよ。後で怒られる時は一緒ですよ!!!




「あのっ!真面目に聞くんですが、グライドさんってどんな方ですか?」

「…………優しい人」

「それは、まあ、ニンカさんを見てれば分かりますが」



「ちょっと大雑把で、細かいこと気にしなくて、兄貴気取りで、自信があって、誰とでも気さくに話せる、()()()()()()()()()()()()()()()、本当は怖がりな、優しい人」


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