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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
廿五章 サザンクロスのいないサザンクロス

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25-4.メイグ・コロデュス

まりも視点

 

「まあ、ほら、データほぼない状態のアタックだからさ」

「そうそう、初挑戦なんて大なり小なりこんなもんだろって」


 完全にしょげてしまったレイ先輩の肩を、他のメンバーがぽんぽんと叩いた。


「まー気持ちは分かるけどね。今回のボス、完全に先輩の餌だと思ったから」

「そうだよねえ」


 腐食龍コロデュス。ぶつかった武器の耐久値を吸収して回復するという耐久型のボスだ。

 先生のお仕事の都合で初動が少し遅くなり、おかげでファーストアタックの前にある程度情報は入ってきていた。集まった情報を読んだレイ先輩は力強く『俺の出番ですね!』と言って、実際みんなそう思っていた。ああ、これは初クリアもらったなと。


 武器耐久が吸われるとか、まあ別にそんなことはどうでもいいので旧編成のガード構成で行って、4分耐久して、レイ先輩の大技が炸裂して。


 大きな咆哮と同時に腐食龍の瞳の色が変わり、第二形態に入り。



 腐食龍に触れた部分のマグマがあっという間に消えて、かの龍のHPが全快した。



「第二形態が魔吸収なんて聞いてない……」

「実際情報ゼロだから、そもそも第二形態まで到達したのが我々が初なんだろうね。初挑戦でこの情報を取ってこれただけで十分すぎるよ」


 先生が声をかければ、レイ先輩はようやく顔を上げた。


「サザンクロスから情報って出てないですよね?」

「出てない。これはただの推測なんだけどね、多分、リーダー君もロイド君も、不在なんだと思うよ」

「不在……?」

「配信は、やってますよね?」


 サブジョブのレベル上げ配信はやっているから、いることはいると思うんだけど……不在なの?


「サブジョブしか(・・)やってない。彼らしか(・・)配信にいない。魔吸収の情報が本当に全く出ていない。ギルド内で連携が取れる状況ではないのは確実だね。少なくともロイド君が動ける状態なら、彼らは第二形態に到達しているはずだけど……まあ、今はそんな状況じゃないんだろう」


 先生が確信めいて言う。えっと?サザンクロスの状況がおかしいとかそういうことですか?


「彼らには悪いけれど、鬼の居ぬ間に初クリアを取ってしまいたいところだ」

「実際、これどうやって倒すんすか」

「うん、わからないから聞きに行こうか」


 先生はごくあっさりとそう言った。


「聞きに行く?」

「そう、知っていそうな人に片っ端から聞いてまわろう」


 第二形態まで到達したの、私達が初なんですよね?誰に聞けば良いんだろう?



 ・・・



「腐食龍コロデュスという龍について、何か分かることはありませんか?」


 過去世界、ボートタウンの、図書館。

 司書を捕まえた先生は、司書さんにそう尋ねた。


『ふしょくりゅう……は、分かりませんが、メイグ・コロデュスという龍についてでしたら、多少情報がございます。申し訳ありません該当書は禁書として封印されてしまって、記憶の範囲でのお話になってしまうのですが』

「構いません、教えていただけますか」

『はい。かの龍は古より魔を喰らう龍です。

 武具はその魔を喰い尽くされ朽ち果て、射た魔法を喰らいその身を癒やします。

 魔素の多い場所を好んで居を移し、土地の魔素を喰い尽くすと移動する。魔素の尽きた土地は草木の生えぬ死んだ土地となってしまう、生きる厄災と呼ばれていました』

「過去形なのですね」

『英雄様が、かの龍を討ったのです。場所はリョハンナ村……今はボルグ封止殿のある場所ですね。そこの側の泉であったと言われています。使用した武具についての記載があったはずなのですが、申し訳ありません詳細を覚えておらず……。このあたりのことは、(わたくし)よりも吟遊詩人の方が詳しいかと思います』

「なるほど。吟遊詩人はどこにいけば会えるでしょうか」

『大戦の前でしたら街の広場にいつでもおりましたが……今どうしているかは……』

「そうですか……お時間をいただきありがとうございます」


 先生はにっこりと微笑んで、図書館を出た。


「一発目で大当たりだったね」

「ほ、本当に……」


 こんなにあっさり情報が出てくるとは思っていなかった。図書館の司書さんから情報が引けるんだ……。

 同行したメンバーは全員難しい顔で考えている。


「禁書扱いということは、蝕の眷属だったのかな。まあ喰らうという性質は確かに()()()()()ね」

「そうですね、もともとの性質は魔法を食べるということなので、第二形態が本来の姿ってことですよね……」

「追加情報は吟遊詩人かあ。過去世界側だと見た事ないっすね……」

「表世界側で聞いてみたら、意外と口伝で残ってたりするかー?」

「1000年だかんな……どうかなー」


 少し復帰したらしいみんなもぽつぽつと喋り出す。

 倒すのに使った武器の情報は吟遊詩人が知っていると言っていたから、そっちを探さないといけないかな。


「いや、落ち着いたら是非探したいけど、今は必要ない。それよりも武器を作り直さないといけないから、手伝ってくれるかい」

「え、あ、はい」


 あ、もう情報いらない感じですか?専用武器作成って、どの素材がいるんだろう。


「さてじゃあ、買い物かな」

「分かりました!」


 ……あれ、素材狩りではない?


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― 新着の感想 ―
前話で『魔法職が〜』って感想打ったけど、まさにソレでハマった話だぁw
この章まだいちゃいちゃ以前にリーダーがかすりもしてない件笑 リーダーはセリスの察しの良さによってほぼ告白してるのに気づいてないからあれですけど… 告白の後にほっとくとか、された方も不安になるやつ いや…
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