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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
廿五章 サザンクロスのいないサザンクロス

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25-2.招待選手たち

「招待選手、おるくん達かー」

「まー妥当?100万チャンネルの配信主で、ギルドもランク内だし」

「メン限だけど顔も出してるしなー。全体に顔出すのはもしかして初か?」

「かも?まあ顔知りたいならワンコインでいつでも見れる人だから、いいのかもね」


 ギルドの会議室で、現実を一旦棚に上げてみなさんと新しく公開された招待選手の一覧を眺める。


「オルタナって今6位?」

「7位か8位だと思う。ハードモード連続解禁の頃に潜れてなかったから」

「あー……」

「水無瀬ジュンって誰だっけ?名前は聞いたことある気がすんだけど」

「プリンシプルウォーズやってるアイドルさん。プリウォの方はまあまあガチかな、向こうのおる君ってか、ぼっくん・けっとC的な感じ?公式配信にたまに出てる」

「なるほどねぇ」

「動画結構おもろいよ、ハイジャンプでびゅんびゅん飛ぶタイプの人」

「へー」

「アイドル業の方は何してる人?」

「知らん」

「知らんってwwww」

「なんかのグループの一人のはずだけど、ぶっちゃけアイドルの顔の見分けつかない…ジュン君もアバターの方しか顔分かんない」

「アイドルの顔が全員一緒に見えたあたりがおっさんの入口だぞ」

「それだと俺生まれた時からおっさんってことになるんだけど」


 今日もギルドは賑やかだ。

 この騒がしさの中にリーダーさんがいないのが、少し――とても、寂しい。

 寂しさを振り切るように、会話に入ろうと表示されているお名前の一人を指さした。


「この、浜田徹さんという方はどなたでしょうか?」

「CCOとファークロ中心でやってるプロゲーマーさん。ファークロのソロPvPだと入賞したりしてるかな」

「プロの方ですか」

「そーそー。ファークロじゃ魔法剣士系やってるはずだから、多分ソードマンで来るかね?」

「まー、ソードマンかパラディンじゃん?徹さん盾持ってるイメージ」

「だな」


 新しく公開された情報には数人名前を全く聞いたことがない方が入っていて、誰だろうと思っていたのだけれど。皆さんEFO以外の情報もお詳しい。


「人数的にもう一弾発表あるよね」

「そうですね、私が載っていないので」


 私と、ハムさんも載っていないので、もう一回発表があることは確定だ。


「セリスちゃんは現地行くの?」

「えっと、はい、行きたいと思っています」

「「おおー」」


 どよめきの声が上がる。


「変な人についていかないようにね、この人おかしいなって人がいたらすぐにスタッフさんのとこに逃げるんだよ」

「え、あ、えっと、はい?」

「お誘いは全部サザンクロスを通してくださいって返して、返事しちゃだめだからね」

「できればニンカとかリーダーとかといつも一緒にいるんだよ、なるべく一人にならないようにね」

「舐めたこと言ってくるヤツがいたらスタッフにチクるんだよ。その場で言い争いとかしないようにね」

「私、小学生ではないのですが……」


 え、なんですか皆さん……。


「いやまじで心配してる。それリーダーは知ってる?」

「いえ、最近全く会えていないので」

「早めに伝えときなね」

「えっと、はい」


 ニンカさんには話したんだけど、リーダーさんやロイドさんにはまだ伝えられていない。

 ただ、リーダーさん達は今回主催側なので、お返事をした時点で共有されているんじゃないだろうか。


「そういえばサポーター参加ってどなたになったんですか?」

「決着がつく前にリーダーもロイドも来なくなっちゃったから、保留〜」

「けどまあ、無卿じゃん?」

「あれはなぁ……」

「はっはっは」

「は、はあ?」


 無卿さんが非常にわざとらしい笑い声を上げた。えっと、無卿さんだとなんなんでしょう?


「こいつロハで3回サザンクロスに出ていい、って言い出したから……」

「そ、そこまでですか?」

「うーん……セリスがなにかイベントをやるとするじゃん?」

「え、あ、はい」


 無卿さんがつい、と指を二本前に出す。


「ここにそのイベントに出たいです!っていうアーティストが二人います。実力も、ファンの人数も同じくらい。出せるのは予算的に一人だけです」

「はい」

「片方は過去に同じ会場でのイベントに参加したことがあり、もう片方はその会場は初めてです。はい、どっち採る?」

「…………」


 あ、ああ……えーと、


「会場慣れしている方のほうが、嬉しくはありますね……?」

「そういうことです」

「まーシンプルに無卿はサポートスタッフ的にもかなり動いてる方だし、無卿で決まるならいいんじゃん?」

「決めて欲しいね~。ホール映像にピアノ見えてたから会食時間とか弾いてたいんだよねえ。露出時間すごそう」


 なるほど、つまり、営業活動なわけですね。


「グライドどうなるかねー?」

「タンクで勝つの結構厳しいルールだよな」

「それなあ」


 今回の予選ルールは勝利ポイント制で、細かい計算は対戦相手とのポイント差や連勝ボーナスなどで変わるのだけれど、試合結果によって入手できるポイントの係数が異なる。


 一番高いのが5分以内に被ダメゼロで勝利するワンサイドゲーム、150%。

 そこから時間経過や被ダメによって係数が下がって、15分以内被ダメ50%以内だとグッドゲーム、100%。

 30分時間切れで判定勝ちした場合、ポイント係数は75%まで下がる。


 グライドさんは「絶対に自力で行く」と言っていたけれど、ワンサイドゲームを決めることが難しいパラディンではなかなか勝てないと予想されている。

 ソードマンやウォーハンマーも持っていると言っていたから、そちらで行くんだろうか。


「ま、グライドだしなんか考えてんだろ」

「そうだな」

「そうですね」


 なんたって前回大会で運営に覚醒技(ゴートコーチ)の仕様変更をさせたグライドさんですからね。


「さーて……」


 ぽんすけさんがウィンドウを閉じて、同時にアタックメンバーのテンションが急激に落ちていく。


「いい加減現実逃避終わるか……」

「そう、ですねえ……」


 目を背けていた新ボス(げんじつ)をもう一度見て、こちらはこちらでため息が漏れた。

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― 新着の感想 ―
読み直ししてて気になったのですが(重箱の隅をつつくようで申し訳ないのですが…)「うーん……セリスちゃんがなにかイベントをやるとするじゃん?」って無卿のセリフだとちゃん付に違和感を感じてしまって…。別の…
更新ありがとうございます! リアルセリスを見た企業勢からの勧誘がまたすごいことになりそうですね。一般参加からのナンパもありそうなので、ヒーローがさっさとかっさらって行ってほしいところ……やれますよね…
アイドルの顔? まったく見分けが付かないです。名前覚えるのも無理。 エレベーターで一緒になっても絶対気付かないです。 そして本会場でセリスがナンパされたところにヒーローは来ることが出来るのか・・・
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