表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
廿三章 合同会社サザンクロス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

301/375

23-8.ワークスペースにて 上

リーダー→セリス視点

 ほぼ3日ぶりにログインしたEFOで開幕禊フィツィロ12連戦を行い、気がついたら戦闘4時間とかいう、間に休憩入ってるとはいえアホだろみたいな配信時間になっていた。


 ようやく終わった配信を切りギルドに着けば小学生が来たのなんのとからかわれ。はいはいどうせ小学生ですよ何か文句ありますかとあしらいながら周囲を見れば、今にも泣きそうな顔のセリスと目が合った。

 複数人からセリスがめちゃめちゃ心配してしまっているというメッセージは来ていたし、本人からも状況を尋ねるメッセージをもらっていたんだけど、こりゃ本当に相当心配かけちゃったな。


 ロイドは流れるようにサポメンからの報告を受け始め、輪から外れていく。

 やべ、こっち一人か。


「おら謝ってこい小学生」

「はよ行けすかぽんたん」

「辛辣っ」


 複数人に背中をどつかれて転げるように前に進むと、彼女のアバターの黄色の瞳がウロウロと泳いだ。


「あー……心配かけました、ごめん」

「い、いえ、あの、私が勝手に、心配してた、だけなので……その、ぁ、えと……何もなくて、良かったです。本当に」

「うん。あー、あの、今度ちょっと打ち合わせ時間作りたいんだけど、そっちの予定ってどう?」

「え?あ、はい、いつも通り、です。夜とか、土日なら言っていただければ。何なら今からでも」

「流石に今からは勘弁してwあー……えっと、後でメール送るから確認して」

「?はい、わかりました」


 駄目だ頭も舌も回んねえ。切り上げよ。


「っし、悪い今日は落ちるね。もうむり」

「お疲れ様でした」

「おうー。さすがに12連打はヤバかったわ」


 ヒラヒラとなるべくなんでもなく手を振って、ほかのメンバーにも声をかけてログアウトを押した。



 さて。

 メール。

 メール文面。




 □■□■□■□■□■□


Subject: 打ち合わせの件

 サザンクロスの西生寺理人です。

 さっき言った打ち合わせなんですが、ちょっとEFO上で話しにくい話なんだ。

 こちらのワークスペースに来てほしいのですが、FLAGROOMforVRというVRアプリって使ったことありますか?


Subject: Re:打ち合わせの件

 お疲れ様です、川内紬です。

 FLAGROOMforVRは無料版のみ利用したことがあります。

 確か立っているルームに入る分には問題なかったかと思います。


Subject: Re:打ち合わせの件

 ああ、よかった。

 じゃあゲストキーを発行するのでそこでやろう。

 時間明日の夜でも大丈夫?




 聞かれたアプリは無料版だけ使ったことがあるVRワークスペースアプリだ。

 無料アカウントでも招待されてルーム入る分には問題なかったはずなので、お話する分には平気ですね。


 EFO上でしにくい話……よほど大きな案件が来たか、それとも普段の配信出演の話ではなく、契約にかかること、かな?成人したから契約条項の見直しとかあるんだろうか。


 翌日指定された時間にゲストキーで入室すると、応接室風の部屋の中、リアルアバターのリーダーさんが待っていた。


「……あれ、他の方は」

「ロイドは別の打ち合わせ。ドリアンとびっくり箱は二日止まった業務で色々と……」

「あ、ああ、なるほどです」

「あー、えーと、座って。VRだから飲み物とかは出ないんだけども」

「あ、はい、おじゃま、します」


 ソファに腰掛ける。

 正面に座ったリーダーさんが優しい顔でこちらを見ていて、視線を合わせづらい。


「あの……本当に、大丈夫でしたか?」


 皆さんに大丈夫だと言われて、昨日もリーダーさんに大丈夫だといってもらって。何度も聞くのが鬱陶しいのは分かっているのだけれど、どうしても心配してしまう。


「あー……実は俺側がちょっともたもたしてる内容があって。いい加減腹くくれって言われてうっせえだまれー!ってちょっとこう……わーっとなっちゃってな?」

「…………リーダーさんもそういう事あるんですね」

「たまにはあるって事にしといて。ロイドもただの八つ当たりだって分かってて付き合ってくれたから、ホントに喧嘩ですらないんだよ」


 苦笑して肩をすくめる姿に、ようやく息を吐くことができた。


「八つ当たりと言うには激しかったと思います……」

「ごめんごめん。そんなに心配されると思わなかった」

「心配はします。……前にも、言ったと思いますけど」

「言ったねぇ。――――でね、腹くくれって言われた内容についてちょっと相談したくて」

「え、あ、はい。私にですか?」


 何だろう。これというものが思いつかない。

 リーダーさんはゆっくりと呼吸を整えて、言った。



「今度、サザンクロスで正式に配信事務所を立ち上げる。君に、オープニングメンバー、いわゆる一期生になって欲しい」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
へたれ?
「腹くくれって言われた内容についてちょっと相談したくて」 まで読んで思ったのは、 『告白する相手に告白の相談するの?』 でした。 それから最後まで読んで 『そうだよね。話をするならそっちだよね...』…
「今度、サザンクロスで正式に配信事務所を立ち上げる。君に、オープニングメンバー、いわゆる一期生になって欲しい」 >>一生養うし環境全部整えるから、俺のとこに来てくれって音声が聞こえたんですけど副音声…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ