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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
廿二章 第六回ギルドオフ会

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22-10.秋の夜長の相談会

リーダー視点

「終わった~お疲れさま」


 配信を終了してはーと息を吐く。

 全員がふうと落ち着いて、姿勢を崩した。


「お疲れさま。お休みは満喫できた?」


 無卿が笑って聞いた。


「ぜんっぜん休めなかったけど、やらなきゃいけないことは大分終わった!」

「本当に助かった。ありがとう」


 1週間配信企画。初日をロイド、最終日を俺にすることで、間の平日5日間は全休にすることができる。

 配信時間を23時に設定したのは、用事がどれだけ遅くなってもその時間なら最低でもつぶやいたーは動かすことができるからだ。配信開始直前と終了直後のつぶやきを行えば、サザンクロスが休んでいるようには見えにくい。

 おかげで新しい事務所探しはなんとかなった。1週間詰め込んで大忙しだったところに第六夜のセリス配信が飛び込んできて夜は完全に寝落ちたんだけども……。


「ソロ配信はほぼやってないんで、ちょっと緊張したっす」

「グライドはなー。なんかやるときもアタッカー一緒だもんね」

「っすね。一人で喋る内容思いつかなくて、結局人巻き込みました」

「いいよいいよ。他所のギルドと交流もできるよーってのも、いい配信だし」

「あたしはいつもと完全に一緒だったから緊張とかなかった」

「だろうねw」


 ニンカはかんっぜんにいつも通りだったもんな。


「セリスは?どうだった?」

「焦りました……」

「はい、本当にごめん」


 ほんとにそれしか言いようがない。あんなにガチ寝するとは思わなかった……。

 ボイス販売希望とか来んのかなー。サザンクロスでは音声データ販売はしたことがないんだけど。


「その、すまない……」

「いえ、配信自体は……まあ、困ったんですが、諦めもついたのですけども……実はつぶやいたーが」

「なんかあった?」

「お誕生日おめでとうハッシュタグ?みたいなものができていて……これ、どうすれば……」

「「「「「「ほっとけ」」」」」」


 あーなるほどね。お誕生会をつぶやいたーでやってんの。まあ、やってんだろうな。


「え、ええと……」

「ほんまにほっといてええで。ファンがお祝い勝手にしとるだけやから」

「いいんでしょうか?」

「禁止したいなら止めるけど、そうじゃないならお祝いくらいはさせてあげな。ファンアートが流れてるんでしょ?」

「あ、はい。禁止とかは別に……」

「じゃ、何も言わないで黙認してあげな。一応うちの方から9月22日は誕生日ではないですってことは書いとくから」

「分かりました。よろしくお願いします」


 セリスがほっと息を吐く。

 セリスの誕生日に関するコメントは今日の配信でもわざと一つも拾わなかったので、わかってほしいところだ。


「セリスにお願いがあって」


 無卿が真剣な顔で言った。


「え?は、はい、なんでしょう?」

「例のメトロノームアプリが欲しい。公開しないにしても俺にだけはくれない?」

「え、あ、ええと、お渡しするのは別にいいのですが、本当に授業で作っただけのブラウザアプリなので、外部公開するには少々その、安全面がどうかが分からなくて……」

「あー…………」


 アプリ公開するってなるとそのへんちょっと面倒なんだよな……。


「一旦1時間の状態を録音して、音声データとして公開しようか?」

「ああ、なるほど。それなら大丈夫ですね」

「音声データに直すのも俺がやるよ。うちが一番慣れてるし早い。公開はサザンクロスでいい?」

「無卿がガチの顔してるw」

「ガチだよ!誰よりも早くこのメトロノームを使った入眠音楽を作らないといけないんだから!」

「ふ、ふつうに、人の一般的な心拍数のあたりから、安静時心拍に移行していくだけですよ?」


 へー、あれそういう意図なんだ。


「そういうメトロノームアプリ自体は沢山あるし、動画も山ほどあるけど、こういうのは存在するかよりも話題になったかの方が大切なんだよ。話題になった時に話題になったものを使ってるってのが重要で、新規性は別に求められてないの」


 身も蓋もない事を言いよる。


「ほんっとにちょうだい」

「え、あ、はい。ど……どうぞ?」

「ありがとう!じゃあ俺はこれで!」


 セリスが何か画面を操作して、受け取ったらしい無卿は速攻でログアウトして行った。

 うん、がんばれ。


「セリスは読み聞かせ配信やる?」

「えっと……やるつもりなかったのですが……やった方がいいんでしょうか……?」

「んー……セリスが個人チャンネル持ってたら積極的にやったらって言ったんだけど、ウチでやるのは微妙かもなあ」

「この際チャンネル開設したら?一緒に趣味配信やろうよ」


 ニンカが笑う。

 いやー、セリスがチャンネル立ち上げちゃうと、趣味配信にするのは多分無理かな、人気的に……。


「う、うーん……一旦保留で……。絶対やりたくないという訳では無いので、アンケートが荒れてしまったら教えてください」

「了解、じゃあ一旦先延ばし(それ)で」

「びっくり箱の方はどうする?」

「それなあ」

「これについては確実に起こる未来として聞いて欲しいのだが、絶対に、荒れる」


 ロイドの淡々とした言葉に、びっくり箱はぐったりとソファに寝転んだ。

 いつまでも秘匿しているのもどうかと思って公開したけれど、やっぱ荒れるよなぁ。


「ほんまに、どんだけ組み合わせあると思てんねん」

「実際どれだけある?」

「二属性素材がランク問わずだと58種っすから、まあ、1700通り……」


 グライド、今なんか見てた?素材数把握してんの?


「今回の配信でどれ位できた?」

「100はいってへん」

「んー…………」


 残り16時間、アイテム探す時間とかを圧縮すればもうちょい行けるにしても14時間?……さすがにさせられないなぁ。分割?


「今見つかっている組み合わせが……30ですか」

「全ての組み合わせパターンを準備して、リスナーにも協力してもらって今回やった組み合わせをリストから除去。サポーターを二人付けて素材を渡す役とリストをつける役をやってもらって、びっくり箱は完全にエンチャントをするだけに徹してもらう。それで、7時間2日かな」

「しんっっっっっっっっど」

「ムリにやりきらないで、辛くなったら終了、3、4日に分けてもいい」

「やるんは確定かあぁあぁぁぁああぁぁ」

「公開した以上はやる以外の選択肢はないっしょ」

「わーっとる。わーっとるけどいざ直面すっとやっぱしんどいねん……」

「とりあえず業務時間扱いにはするから、頑張れ」


 こればっかりはやってもらうしかない。本人も企画に出した以上はやるのは分かってたはずだし。


「隠してんのもどうかと思うとったんやけど、やるんかぁ……」

「実際数にするとすごいよね」

「毎日二時間くらいの一週間企画とかじゃあかんか?」

「あたし長時間錬金企画やってるから言うけど、絶対序盤で数稼いだほうがいいよ」

「ニンカさんが言うと説得力が違いますね……」


 あかんかあ、と、びっくり箱は再度ぐったりと倒れ込んだ。


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― 新着の感想 ―
別に秘匿するつもりはないですって言うのが伝われば許されるんだから毎週水曜日はびっくり箱の日とか感じで忙しい中来てもらいましたってやればいいんじゃないだろうか? いやだ〜〇〇の書類が明日までなんだ~みた…
何がひどいって今後素材が増えたらパターンが乗算で増える事よね。
なるほどなぁ、メトロノームのBPMは心拍数だったのか そして授業で作っただけの自作だから、安全性の方は確かに…… だからあくまで外部に出すのは録音なんですね、なるほど びっくり箱は……マジでがん…
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