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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
廿二章 第六回ギルドオフ会

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22-3.ギルドオフ会 上

セリス視点

 受付から一番近いテーブルでニンカさんグライドさんに挨拶をする。本当に会えた。もうこれだけで来てよかった。乾杯用だというオレンジジュースを受け取ると、受付時間が終わりらしくびっくり箱さんとドリアンさんが席に入ってきた。

 ロイドさんは一度こちらに会釈して遠くの席へ。

 周囲を見渡すと、一クラス分、30人ちょっとだろうか。それくらい人が集まっていた。

 リーダーさんはグラスを持って中央まで進んでいき、マイクを手に取った。


「よーし時間になりましたんで、始めて行きたいと思いますおはようございますカッコキョウベン、毎年恒例ギルドオフ会にお越しいただきありがとうございます!この一年つつがなく、いや色々ありすぎて語れないくらいあったけど、大禍なく進行できたのはギルドのみんなのおかげです!今日は楽しんでってください!みんなグラスいってるかー?じゃあ――――乾杯!」


 乾杯、と言い合ってテーブルのみなさんとグラスを合わせる。

 くぴりと一口ジュースを飲むと、爽やかなオレンジの香りに甘酸っぱい味が口いっぱいに広がった。


「このオレンジジュースなんかすっごい美味しいね!?」

「本当に……」

「ほんまか。あとで飲んでみるわ」


 ビュッフェと言いつつ最初の一皿はウェイターさんが運んできてくれた。

 そういうものなんだ?よくわからないけどそういうものらしい。


「まあ、マナーとかないので気にせず食べてください。貸切ですし」


 恐る恐るナイフとフォークを手にした私に、ドリアンさんが苦笑した。


「最初の一皿が来るのは多分いっぺんに取りに行かせないためだな。食べ終わるタイミングは少しバラけるから」

「ああ、なるほど…」


 最初の皿には手を付けないのか、あるいはこの速度で食べ終わったのか。数人がビュッフェスペースへ向かっているのが視界に映った。


 グライドさんは腕に介助員と書かれた腕章をつけている。

 聞くところによると最近車椅子介助の資格を取ったらしい。

 すごいですねえ。愛ですねえ。


「まあこのベルで呼べば多分取ってきてもくれるで」

「いやっ……いやあ、いいです……」


 お店の人に好みを伝えると取ってきてくれるということですかね?ちょっとハードルが高いかな……。

 ベルの隣にはドリンクスペースにないらしいお酒のメニューが置かれているので、本来はお酒の注文をするためのものだと思う。

 わたわたとする私の横で、ニンカさんは気にせずベルを押してオレンジジュースのおかわりを頼んでいた。


「グライドは今日は飲まないんやったか?」

「っす。今日車なんで」

「ごめんね?」


 申し訳なさそうに眉尻を落としてしまったニンカさんの頬を、グライドさんがむにと抓った。


「そういうときはごめんじゃなくて?」

「――ありがと」

「はい、どういたしまして」

「……なんかしょっぱいもん取ってくるわ」

「私は追い甘味と行きますか」

「何さ追い(・・)甘味って!?」

「いえ、とっても甘かったですよ。ごちそうさまです」

「セリスまで!?」


 くすくすと笑っていると、リーダーさんが席に来た。


「よーっす」

「どもっす」

「どもどもー」

「おつかれさまです」

「来てくれてありがとね〜迷わなかった?」

「実はちょっと迷ったっす」

「あ、あはは……」


 私もちょっと迷いました。ここだと思ってエレベーター上がったら別のお店でかなり焦りましたね。


「だよね、いい店なんだけどビルの入口がわかりにくくて……今ケンさんから泣きのメッセが来てる」

「大丈夫それ?」

「あと5分で来なかったら迎えに行ってもらう…ま、楽しんでってよ。みんないるし。飯もうまいからたくさん食べてな」

「はい、ありがとうございます」


 じゃあまた、と言って別のテーブルへ向かっていく。

 リーダーさんこそちゃんと食べられるんだろうか。


 ケンさんは、それから3分ほどで到着した。



「はっろー」


 大きな氷の入ったグラスをカラリと鳴らしながらやっていらしたのは、ねむ蝉さんだった。


「のんでるー?」

「主催と二十歳未満と介助役の席やぞ、そんなに飲んどるわけねえやろ」

「そりゃそうだw」


 出来上がっているときの父と同じ香りがする。楽しそうだけど。


「今日は飲まれるんですね」

「うん、ニャオ姉にも今日くらい楽しんでおいで~って言われたしねえ」

「ニャオ姉は月末くらいに帰って来るのー?」

「20日帰宅予定!」


 ニャオ姉さんは産院は退院して、産後ケア施設?というところにいるらしい。

 保健師さんやシッターさんが常駐するホテルのようなところで、赤ちゃんと一緒にのんびり過ごしているとのことだ。

 ――――お陰様でねむ蝉さんは一ヶ月ひとり暮らし状態で、毎晩のようにさみしいと言いながら大量のサブキャラを育てている。


「1ヶ月コースはなかなか思い切っとんな、結構かかるんちゃうか?」

「会社からかなり助成が出るからまあまあくらい?新生児期のニャオ姉の負担が減るなら大した額じゃないよ」

「なんであんたはそのかっこよさが常に維持できないんだよ」

「え、今かっこよかった!?」


 本当に……ニャオ姉さんのために動いていらっしゃる時はかっこいいんですよねえ。


「そうそう、セリスにどおおおおしても聞きたいことがあってさ!」

「え?あ、はい、何でしょうか?」

「VRポッド、どこの買った!?」


 あ、あ〜……誤魔化してたんですけどねえ。駄目ですか……。


「――――ZONIIです」

「っしゃあああああ!」

「なーんーでー!!!!!」

「あかんかー…」

「あ、あの……私イヤーカフがZONIIなので、同メーカーのほうが操作しやすくて…」

「くっ……」

「はっはっは、分かります、分かりますよ。ZONIIは小物が充実してるからなあ!」


 グライドさんは大変楽しそうに笑い、ねむ蝉さんはとてもとても悔しそうに席を離れた。

 その後も代わる代わるいろいろな人が席にきておしゃべりをして帰っていく。ドリアンさんとびっくり箱さんは時折カメラを持って他の席にも挨拶に行く。こちらからも行ったほうがいいのだろうかと思うのだけれど、あまり人が途切れずに来るので立ちにくい……。


 食事が進み、もう大体の人が食事というよりは飲み物とおしゃべりになったところで、またリーダーさんが中央に出てきた。

 びっくり箱さんとドリアンさんがなにかカード配りに席を立った。……ビンゴカード?あれ、でも番号が…1〜24までしかない。順番はバラバラだけれど。


「のーんでーるかー?」


 リーダーさんの掛け声に合わせ、ワイワイとしたおしゃべりの中から歓声が上がった。


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― 新着の感想 ―
なんだろう、読み返してたら唐突に.hack//のミストラルが脳裏にw
ねむさん、サブキャラの枠を増やしてなきゃいいんだが…… まーた確率が存在をするものをしてる……(ニンカを見つつ
31アイス食べながら読んでたので突然追い甘味されました
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