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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
廿一章 EFO1000days 後

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21-12.叱られた人たち

「あ、リーダーさん、こんばんは」

「ああセリス。ちょうどよかった、今いい?」


 夜にログインしたらセリスが談話室で倉庫を眺めていた。

 セリス、気づくといつも倉庫眺めてるんだよな。白い石といい万年雪といい、中身どれくらい把握してるんだろうか。


「大丈夫です、どこか行きますか?」

「いや、ちょっと話が……会議室行ける?」

「えっと?はい、行けます」



 移動した小会議室で彼女が椅子にちょんと腰掛ける。

 正面の椅子に座って……頭を下げた。


「……へ?」

「この間のボルグの破壊配信、本当にごめん」

「え?えっと……え?何が、ですか?」


 本気で焦っている声がする。彼女は多分分かっていないんだろうと思ってはいたけど、本当に分かってないやつだな。


「ぽんすけに、色々教わってたでしょ?」

「え?あ、はい」

「その時に、口出しちゃって……」

「口……ああ、槍のスキル距離の?」

「そう。それが、本当に良くなかったから」

「ええと……すみません、そうなんですか?」

「他の人が教えてるところに横から口出すのがそもそもマナーが悪い。立ち回りの話をしていたのにスキル距離の話を差し込んだのは筋が悪い。その上でセリスの思考キャパをちょっと超えちゃってたのが最悪に悪い……。全方位一つもいいところがない発言だった。本当にごめんなさい」


 もう一度頭を下げる。

 セリスからは返事がなく、そっと頭を上げると困った顔の彼女と瞳が合った。


「ええと……とりあえず、気にしていません。というか、私は何も分かっていなくて……。ぽんすけさんがなんておっしゃるかは分かりませんが……」

「ぽんすけは、分かってるならいいよって」

「ああ、もう言ったんですね」

「先に謝りに行った。なんかもー、全方位頭が上がらなくなってきてる」

「ふふ。私もぽんすけさんには少し叱られてしまいました」

「セリスが?なんで?」

「ジュラビレッジのなななコピー戦にご一緒したのですが」

「うん」

「アサシンがいる時の敵の挙動が、通常とかなり違うんです。それで全然勝てなくて……私がいないかったら勝ててましたねって言ったら、逆の立場でもそれを言うのか、って」


 ああなるほどね。ぽんすけはプレイヤー共闘が好きなタイプだから、それは怒りそう。


「初クリアを目指す場面と、みんなでクリアを目指す場面は、違うからな」

「そうですね。そうなんだと思います」


 セリスが曖昧な顔で微笑う。

 未だにセリスからなにかに誘っているところはほとんど見ないし、多分この子は自分がいることで相手の不利益になるというのがすごく怖いんだろうな。


 一緒に楽しく遊べれば内容がグダってようといいだろうと思ってしまうのは、俺が外野だからかね。


「俺もぽんすけには宿題出されちゃったよ」

「宿題ですか?」

「そー。なんで今回は口出しちゃったの?って。原因わからないとまた同じ事しかねないから、ちゃんと原因に気づくようにって話だとは思うんだけど…」

「そう……ですね。え、でもそれって原因とかあるんですか?」

「わからん」


 昔は口出したい時にぽろっと出してしまうこともそれなりにあったんだけど、最近は俺も大人になりまして、滅多にやらかさなくなった。

 口を出すにしても最初に指導側に一言入れてから。そこはちゃんと徹底していた……はずなんだけどなあ。

 うっかりのやらかしに「原因」とか言われても困るんだけども。


「ぽんすけの言い方的になんか原因っぽいものがあったんだろうなあ」

「そうですねえ…?」


 もったいぶらずに教えてくれませんかねえ。なんだよ締め切り半年って。


「……まあ、今回に関しては」

「うん?」

「私がちゃんと槍が使えていれば起きなかったですよね……」

「その言い方はだめ」

「えっ、と?」

「練習中の人に直すところがあるのなんて当たり前なんだから、自分が悪いなんて言い方はするな。その言い方は巡り巡っていつか他の人の練習を妨害する」

「あ、えと……す、すみません」


 謝んなくていいんだけど、その言い回しは絶対やめさせないとだし…このへんは難しいな。

 セリスは少しウロウロと視線を彷徨わせて、言った。


「あの、私のプレイの話で」

「うん?」

「避けとか受け以外の、立ち回りや攻撃面を練習しようかな、と、思っていまして」

「いいんじゃない?色々やってみなよ。ぽんすけ以外も、俺も時間が合えば相手できるし。トラとかもPvP申し込むと割といつでもやってくれるよ」

「いや……トラキチさんは、リーダーさんだからじゃないですかね?」


 いやぽんすけともドドンガともやってるし、なんならロイドとやってるとこも見たことあるよ。多分あいつPvPならいつでもやるんじゃねえ?


<ワールドアナウンス>


「お?」

「ふわっ」


 ……おお、来たねえ。


「とうとうか」

「これは本格的に、次のPvP大会向けのアップデートですね」

「……かもね」


 あ。次のリスナー参加企画修正しなきゃだな。

 告知前で良かった。一応ぽんすけにもっかい付き合ってもらわないと。


「こりゃおあつらえ向きに、しばらくPvPが流行りそうだな」



<ワールドアナウンス:コロシアムにランダムオブジェクト機能が追加されました>


21章ここまでとなります!

このあと閑話をちょっと挟んで22章です。多分毎日更新は間に合わないです……

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― 新着の感想 ―
「半年かぁ、長いけど忙しかったら一瞬で過ぎる時間だなぁ。作中半年前ってどの辺だっけ?」と振り返ってたら意外と時間経ってるたんですね。 六章で2周年(730日)が出て来て1000deysのレガシーイベン…
このお話って基本的にラブコメだと思ってて、なんでこの主人公さんは力を求めに走ってるんだろう?って思ってたんだけど理由があって力を求める系の攻略ヒロインちゃんなんだと想定したら行動に納得できました。 つ…
頭小学生と、自分への好意にだけ鈍感な主人公属性持ちの2人では宿題が進まない件。 そして、もしかしてセリスの為に計画された(と勝手に私が思ってる)PvPイベントは延期ですか。
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