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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
廿一章 EFO1000days 後

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21-2.ランサーと協力クエスト

 

<ワールドアナウンス:協力クエスト『禁書を封印せよ』が発行されました>


「お」

「ほう」


 別クエストを遊んでいる最中、ワールドアナウンスが鳴った。

 禁書の封印……おお、あれか!来たねえ!


「ボルグ遺跡だ!」

「えっ」

「えっ!?!?」


 思わず叫んだ言葉に、一緒にいたENVYとおもちが驚愕の目でこっちを見た。

 なになに?何が言いたいのかなそれは?


「何が言いたい」

「え……いや、え?ぽんすけ、クエスト内容分かってる……?」

「ボルグ遺跡に太陽の本封印するんでしょ?未来側の世界であそこだけゾンビいるし」

「………………っ!?!?!?!?」

「大丈夫?頭打った?風邪引いた?あの、今日ログアウトしとく?」

「どーうーいーうーいーみーだぁ~~~~?」


 人がたまたま知ってりゃあ好き放題言いやがってコノヤロウ。えーとクエスト内容は…石材調達、燭台の納品、一時保管場所の防衛その他。まあ、普通か。


「え、まじで自力で気付いたの?明日雨?」

「……セリスちゃんが先に教えてくれた」

「あ~なるほどね」

「明日も天気は晴れそうでなによりだ」

「お~も~ち~?」


 おもちのぷにっとした少し丸っこい頬を全力でつまむ。ひねり揚げにしてやろうか。


「あの子は気づくのが早いよねえ」

「ほんとにね」

「手を離してから会話しろ~ちょっと痛い~」


 あの子の半分でも気付けりゃ、まだ前のゲームやってたかな、なんてことはたまに思ってしまう。

 そうだったらきっと……


 てててん♪


「ん、ああ、リーダーが集合だって」

「クエスト関連かな。戻るかー」


 最後に周囲の敵をもう一度蹴散らして、おもちの手を取る。


瞬間転移(テレポーテーション)


 世界がふっとゆらいで、一瞬で街まで戻った。





「クエストの順番無視したら駄目だと思う?」


 ギルドに戻るとリーダーは非常に困った顔で、そう言った。

 えーと?


 クエストの順番無視する。またぞろセリスちゃんがなんか気付いたやつ?


「無視の程度によるんじゃねー?」


 無卿が言う。

 こいつが程度による、なんて言い方をするのは珍しい気がする。いつも割とやったれやったれ言ってない?


「生産の人間としては、あんま飛ばしてほしゅうないな」


 めずらしくびっくり箱も難色を示している。ほー。みんなそっちなの?なんで?


「やっぱそうだな。ごめんセリス、今回はその案はなし」

「はい、大丈夫です」


 セリスちゃんはさして興味なさそうにさっぱりとそう言った。


「誰か解説ぷりーず」

「ぽんすけはぽんすけだったか」

「お前らだけで分かり合うな、解説をしろ!解説を!!!」

「えーと、今回のクエストは、ボルグ遺跡を作って中に太陽に関する書物や物品を封印するクエストです」


 セリスちゃんが言葉を選ぶように喋りだす。解説助かる。


「うん、それは分かる」

「クエスト進行は大きく別けて遺跡に必要な建材を取ってくる調達、遺跡に必要な物品を作成する生産、封印前の書物の周囲のモンスター討伐の3ルート同時進行になります。これはすでにクエスト表でもこの3パターンのどれかに類するものが発行されているので、確定です」

「うん」


 まだクエスト表チラ見した程度だけど、そうね。


「ところで……普通の建材で作った遺跡じゃあ、遺跡の外にアンデッドって出てきちゃいますよね?」

「え?えー……ああ。そう、かも?」

「今クエストで発生している資材調達は、全て通常素材なんです。おそらくですが、一度封印に失敗すると思います。遺跡内に次々にアンデッドが発生して、まあ、スタンピード的なものが発生して、作り直しになるはずです」

「ほう…」

「太陽……蝕の力をきちんと弱めて、外にアンデッドが出てこないように封印しなければならないので、おそらく月の力を使った遺跡を作らなければいけません」

「月の力」


 月……月……月の石?そういうアイテムは多分ないよな?


「例えば、月光を映す湖の石とか」

「ほーん」


 月光が映る場所…グレンポートの海とか?


「マルミス湖の近くで採取活動をすると、クズとして白い石が沢山取れるのですが」

「うん」


 あるよねそういうの。白い石だと多分染料で使うけど、基本的に消費しきれないから倉庫でとんでもない数眠ってるよね。


「既存の白い石とスタックしないんです」

「…………まじ?」


 スタックしない?アイテム名同じなのに、別アイテム扱いなの?


「言われるまで気付かんかったな…」

「一瞬で倉庫行きだからなぁ。白い石なんて何十スタックもあるし……」

「あとは見つけた範囲だと、霊峰の万年雪も、既存のものとはスタックしませんでした」

「なるほどねえ」


 そりゃさすがになんか(・・・)あるね。


「多分さ、この白い石をNPCの前にどーんと積み上げたら、クエストの順番すっ飛ばして話が進行する気はするんだよ」

「しそう」

「でもそれだと、生産職が取れるはずのクエスト報酬が単純に半分になりかねないだろ?」

「あー…………。あー………………」


 一度作って駄目で作り直したら、クエスト2回出るもんな。1回になったらそりゃ半分か。

 採取採掘や生産が主体のワールドクエストなのに、突然出番を半分にするのは、さすがにだめかも。


「俺達が立ち上げたクエストだったら多少無理を通してもよかったんだけどね。今回はクエストの起動ですぺなだから、流石に」

「そりゃナシだね」


 生産側が難色示してる理由は分かった。

 生産行動にそれなりの価値があるゲームで生産プレイヤーが育たなくなると、ある一瞬から本当に坂を転げ落ちるようにゲーム人口が減るんだよね。そういう意味でも生産がしっかり輝くワールドクエストは、スキップしないほうが多分良い。


「僕は普通に順番通りクエストやれば良い?」

「うん、クエスト表の順番通りに着手してくれ。今回は普通に遊ぼう」

「りょーかい」


 おーけーおーけー。普通に順番通り、見えてる道を遊びましょ。


 それだって、楽しいんだからさ。


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― 新着の感想 ―
何回か読み返していてふと思ったんですが、イベントが終わった後に、講師役にセリスとアルマジロ先生、生徒役にぽんすけで『今回のシナリオのまとめ解説』とか動画出しても面白そうですね。たぶん良い反応してくれる…
ぽんすけの見た目のイメージがガウリイになっちゃったw
なんでスタックしない同名アイテムからここに繋がるのが推察できちゃうのか…… 推理力がカンストしてるよね、やっぱり
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