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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
二十章 Happy Birthday

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20-3.お誕生日準備中

リーダー→ニンカ

「ドドンガ~、セリスどこにいるか知らん?」

「さっきニンカと出かけていったよー」


 ギルドにログインすると、最近いつもいるセリスが見当たらない。

 ニンカが先に連れて行ったらしい。うーん、一歩遅かったか。まあ急ぎの用事じゃないから明日でいいか。


 そして翌日。


「無卿、セリス見なかった?」

「さっきおもちが素材採取に誘ってたよ」

「そっか、あんがと」

「なんか用事?」

「ちょっと前に撮った動画の許諾取りたかったのよ。オフショットだから一応許可取りたくて」

「ああはいはい。んー……メッセで送っといたほうがいいんじゃね?」

「まあ急ぎではないんだ。今度でいいわ」

「そっかー?」


 8月に入って社会人組がちらちらと夏休みを取り出したので、ギルドは全体的に人が多くなってきた。

 どうもそれに合わせてセリス(タンク)が引っ張られているらしい。

 まー、しゃーない。


 さらに翌日。


「あれ、ぎんがー、セリス知らん?」

「さっきドムナチャレンジに引っ張られていきましたよ」

「まじかー」


 まじで全っ然会えねえ。

 彼女は割といつでもソロ行動かギルド内にいるから、こんなに会わないことも珍しい。

 ソロ行動だったら呼んでもいいんだけど、パーティ行動中だと呼びにくいな。


「あー……アレ、用があったらメッセ入れといたほうが多分良いよ」

「ん……?なんかやってんの?」

「なんかやってんの。」


 なるほどね。なんかやっ(わざとつれだし)てんの。そりゃ会えねえわけだわ。

 ああ、タイミング的にアレか。


「誕生日の準備?」

「そ。リーダーもやる?」

「場所だけ教えて。準備は手伝えないから他はいいや」

「ロイドには言ったけど、■■■■■■」

「あー…………」


 そりゃ確かに、連れ出さなきゃ駄目だわ。

 あとロイドだけじゃなくて俺にも言ってくれ。


「まあ状況は分かった。がんば」

「あいよーすまんね」


 俺の方はゲーム内じゃなくて外でメール入れとくか。


 ちらっと覗いたその部屋は、皆がなかなか本気の飾りつけをしていた。


 ……俺のときよりガチでは?いやいいけどね?


「愛されてんねえ」

「お、リーダーもやるー?」

「いや様子見に来ただけ。ってか共有しといてくれ、うっかり配信で入ったら困る」

「ロイドには伝えたよ?」

「まじかー……」


 まぁ、ロイドも今ちょっと忙しくて別行動多かったからな。――――立ち入り禁止のメッセージとか来てないよな?……見逃してる可能性出てきたな。

 あとお前も普通に俺にも教えろ。なんで皆して俺飛ばしてロイドにだけ教えとくんだよ……。


「ま、こういう状態なんで、よろしく」

「はいよー」



 ログアウト後メッセージを見返したら、四日前の日付でロイドから立入禁止情報が来ていた。

 あぶねえ、気づいてよかった。ロイドに怒られるとこだった。ギリセーフ。


 それはそれとしてオフショットの利用可否の確認メールしてっと。

 あとあれだな、誕生日当日ログインするか聞いとくか。


 みんなと遊べるようになって、色々と連れ出されて、みんなも、あの子も楽しそうだ。

 自分にだけ懐いていた野良猫が、いつの間にかみんなの輪にすっかり溶け込んだ。

 そのことが嬉しくて誇らしくて、


「少し、さみしいかな」


 不思議な寂寥があった。



 □■□■□■□■□■□


「せっりすー」


 談話室で倉庫端末をいじっているセリスを見かけて後ろから飛びついた。


「ひゃっ!?あ、ニンカさん、びっくりしました……」

「そりゃすまん?何してたとこ?」

「ちょっと探し物を…うーん、あんまりないんですね」

「何探してんの?素材とかだと中央倉庫じゃなくて錬金室の倉庫かもよ?」

「いえ、ハウジングアイテムを探してて…」


 ひやりとした。

 今ハウジング系のアイテムはギルメンが大量に引っ張り出して飾り付けに使っている。倉庫に入っていた元の量をしらないけど、かなり減っているはずだ。


「何のアイテムー?あたしが持ってるのとかもあるよ」

「使っているものだったら別にいいんですよ。一輪挿し系の花瓶が欲しくて」

「花瓶。お花でももらった?」

「はい、シアさんから」

「なるほどね。花瓶は結構みんな使ったりしまったりしてて入れ替え激しいからな。タイミング悪かったのかも」


 ほうほう、花瓶がほしいとな。


「そうですよね。どうしようかな…」

「ねーそれさ」

「はい」

「あたしがプレゼントしてもいい?」

「え?」

「プレゼント特にいらないって言ってたけどさ、ハウジングアイテムならちょうどいいじゃん?」

「え、あ、は、はい」

「よっしゃ!ちなみにお花何もらったの?」

「プリズムフラワーです」

「ある意味課金アイテムよりアレなもん来たな」

「ええ、はい」


 効果なし系レアアイテムは取りに行く人があんまいないから、ユーザーマーケットにもほぼ出回らない。プリズムフラワーもたまに出品があるとちょっと引く値段がついているし、それでも速攻でトレードが成立している。

 アネシアはたまたまドロップした感じかね?

 あ、あとで飾り付けからプリズムフラワーは削っとこ。


「ふっふっふ、一番いいのを用意してしんぜよう」

「お、お手柔らかにお願いします?」

「それは無理!こういうのは全力出すところ!ところでセリスは今日はどうするの?」

「今日はそろそろ落ちます。しばらくイン時間短いかもしれないです」

「あいあい、誕生日当日って何時くらいに来れる?ってか来れそう?」

「あー、えーと日中は家族で出かけるので、夜の9時とかになると思います。来るつもりですよ。なんかこう、来てねって結構言われてしまっていて」

「そりゃそうよ」

「誕生日を外で祝われたことがあまりないので、こう、面映ゆいです」

「そうなんだ?」

「そうですね…もしかしたら幼稚園以来かもしれません」


 ほうほう、つまり初めてのお誕生日会だね!やっぱ気合い入れないとな!


「みんなもお祝いしたいんだろうしさ、楽しみにしときゃいいのよ」

「ふふ、はい」


 セリスはふわりと微笑って、それから少し話してログアウトした。


 ――――よし。



ギルドチャットルーム セリスお誕生日準備委員会

<このチャットルームは招待制です>


ニンカ:速報〜セリスイン時間しばらく減るそうです。誕生日当日は21時ごろ来る予定。

ニンカ:今欲しいものは「プリズムフラワーに似合う一輪挿し」

まっしろおもち:イン時間了解

ぽんすけ:プリズムフラワーか〜!

ニャオニャオ:にゃにゃ?わたしの花瓶コレクションが火を吹くよ?吹いちゃうよ?

無卿:プリズムフラワーなんて持ってんの?

ニンカ:アネシアにもらったんだって〜。飾りに入ってたら削っといて。

ニャオニャオ:プリズムフラワーは入れてなかったと思うけど、みとくにゃー

ENVY:セリスが一番気に入る花瓶を差し出した人が勝ち?

まっしろおもち:なるほどそういう勝負

グライド:そういう勝負だったか?

ドドンガどん:お?花瓶だったら参戦できるな

ボロネーゼ:これは負けられない

無卿:ハウジングアイテム勝負で生産に勝てると思うてか。

ニャオニャオ:まっけないにゃ〜!

グライド:……そういう勝負だったらしい。

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― 新着の感想 ―
数日会ってない上に、「不思議な寂寥」ね… ハウジングアイテム勝負w
またまたハブられるリーダー。 そして133話の「ギルドってなんですか?」を読み返しながら会場の部屋を予想中。 談話室じゃないってことはあの部屋かな。
セリスのお誕生日会準備がすごく楽しそうでいいわぁ ギルチャに鍵部屋すらあるんかいw
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