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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
二十章 Happy Birthday

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20-1.イベントの残りは

 

「セリスちゃんの誕生日今月なの?」


 談話室でいろいろな画面を開いていたら、ぽんすけさんが声をかけてきた。


「あ、はい。13日です」


 ドリアンさんからギルド内で誕生日を言っても大丈夫かと問われた翌日。

 ギルドチャット内で今月だけど外部に漏らさないように、誕生日祝いは内輪で行うように、という書き込みがされ、そんなこんなで本日三度目の質問に、本日三度目の返事を返した。


「そっかー。18歳?成人だね」

「全然実感ないですねえ」

「そりゃそうだ。高校生で成人ですーなんて言われても何もわかんないよね」

「本当にそうなんですよ」


 選挙権が付与される以外は、あまり違いを感じない。強いて言うなら自分名義のクレジットカードが作れるようになるので作ろうかな、という程度だ。

 特にうちの自治体は18歳で成人式をやらないからな……。成人年齢が変わってから40年も経つけれど、お酒が飲める20歳の方が未だに成人感が強い。


「ってか夏休みほとんど毎日ログインしてるっぽいけど、受験は大丈夫なの?」

「ああ、私は大学は内部進学なので、受験はないんです」

「ほー」


 受験の心配はないですということは、公開したほうが色々な心配コメントがなくていいのかなと思いつつ、大学までエスカレーターの学校となると数が限られるのでさくっと身バレする可能性があって少々尻込みしている。

 学校では置物のように生きているので、今のところ多分気づかれていないと思う。

 10月くらいに推薦で終わりましたって言おうかな……よその推薦もそれくらいには終わるんだろうし。


「なんか欲しいものとかあるー?」

「特にはないですねえ。ゲーム内のアイテムなら、いただくより一緒に取りに行ったり作ったりしたいです」

「あはは、まあみんなで遊ぶの楽しいもんねえ」

「はい」


 お喋りをしながら細々配信されているお知らせを開いては閉じ、開いては閉じる。

 このところはイベントを優先していたのであまりきちんと見れていない。常設化が決定したので本当に急ぐ必要はなくなって、ようやくゆっくりと見ることができた。


「結婚式場、またパンクかー」

「なんででしょうかねぇ……」

「誰のせいだろうねぇ」

「――あ、海神ドルディーダ、クリアされたんですね」

「ですぺなの、新生パーティの方でのクリアだあね」


 結婚ラッシュの隣で、今度はボス攻略ラッシュが起きている。


「ボルナデラの表側の神殿がきれいになっていたときに気づければよかったんですけどね」

「まあ流石に無理だろー」


 信仰そのものがボスの力になるのなら、信仰が未来に強く残る土壌を作れば作るほどボスが強くなるわけで。

 EFOにはボスのハードモードがないんだな、と他のゲームの配信を見ていたときに思っていたけれど、このイベントで「神」と名のつくボスのハードモードが一気に解禁された。

 過去世界側での復興具合に応じたボス解禁なので、初回クリアはかなり構えていないと難しく、サザンクロスは最初のアクアと、無慈悲な慈母神フリアナだけ初回クリアが取れた。

 ですぺなるてぃや777、あとはRTA友の会と、他にもあまり名前を聞かないギルドなどが初回クリアを取っていて、これ、もしかしてギルドランキングのテコ入れの一種なのかな、と思う。


「残りはラフェルとボルナデラのハードモードですか……」

「まあ、無理」

「クリアさせる気がないですよね、本当に」


 ハードモードは各ボスともに挙動変更はほとんどない。純粋にHPが増え、純粋に火力が上がり、純粋に挙動クールタイムが減り、純粋にファンネル系の個数が増えた。


 そもそも強かった超上級と呼ばれるボスたちの一部は手が付けられない状態だ。


 ラフェルの避けタンクをまたやってみたのですけれど、ちょっと厳しかったですね……。もう少し上手なヘイト管理ができるようになればリーダーさんとロイドさんが全力で殴れるようになるので、もっと精進しないといけない。


「ほんっと、イベント多いよなー。でもこれで一応一段落か?」

「あと、遺跡を作らないといけません」

「ああ、ボルグ遺跡か。あれも作るのかな?」

「そうでしょうね。遺跡の奥に太陽に関する書物を封印するんでしょうから」

「……なんて?」

「あ、あー、えーと、ほら、ボルグ遺跡にはアンデッドが湧くじゃないですか」

「うん」

「つまり、あそこには太陽に関するものが残ってるんです」

「…………なる、ほど?」

「リョハンナ村はどうするんですかねぇ…でも元々砂漠化が進行してて住めないかもみたいな話を過去側のNPCがしていたので、解体予定だったんでしょうか」

「あー……あー、なるほど?」

「司書さんが太陽に関する本をすべて持っていかれたと言っていたのですが、燃やしたという話はまだ聞いていないので、保管場所として砂漠化が進行する場所に封印場所を作るというのはいいと思うんですよね。元々村があった場所なら人足の宿泊場所に問題がないわけですし。それとも村自体を解体して石材にしちゃうのかな?どのみち村はすべて生存しているから建材不足が出ると思うんですよね。次の調達クエストは木材石材あたりになるんじゃないかと思っていて。時限トリガーなのか、それともキー行動をまだ取っていないのかがわからないんです。そろそろ始まってもいいと思うんですけど。あとは建設途中の間アンデッドから書物を守る様なクエストがあるんじゃないかと思っていて。将来的な話なんですが表世界側で今の王様たちが残っている書物を紐解くための護衛クエストとか絶対来ると思うんですよね。その時に自分たちが作った防衛機構を突破する必要があるので、ボルグ遺跡自体の構築クエストがかなり重要になるんじゃないかと。こういうのってユーザー側からギミックいじれたりするんでしょうか?」

「あ、あー…………」


 ぽんすけさんが困った顔で笑った。

 ……しまった。


「すみません、喋りすぎました」

「いやごめん。僕まーじでまったく謎解きできないから分からん。だけど異世界型だと遺跡構築で自分で一からギミック作ったりするよー」

「あ、するんですね」

「ただここストーリー型だから、まあそこまではないんじゃないかなー」

「納品クエストを頑張り過ぎたら、遺跡のギミックがもりもりになったりするんでしょうか?」

「あはは、それはしそうwでも最高完成度までってやりたいよねー」

「ふふ、そうですね、やってみたいです」


 後で苦労するのが自分だと分かっていても、そこに最大完成度があるのなら積んでみたい。その気持は、とても分かるようになった。


「さーてそんじゃあ、みんなで遊びたいセリスちゃん」

「えっと、はい」

「僕まだジュラのボス勝ててないんだよね。パートナーお願いできる?」

「もちろんです――――アサシンミラー本当にひどいですけど」

「毒アサなんだっけ?wランサーもさー、なななさんなんだよ」

「……それ、勝てますかね?」


 完コピ並みの精度なのはリーダーさんだけらしいですけども。それにしたってこのオールスター編成はひどくないでしょうか。

 毒アサシンはさすがに避け編成ではなかったですけれど、10秒で復活するのに避けもなにもないですからね……。


「ソードマンランサーとかいう前衛人気トップツーが完全に地雷でぜんっぜんクリア出来ない」

「一番クリアが楽なの、傀儡師ソロって話ですものね…」

「不遇職がいるほうがクリアしやすいのは、まあいいんだろうけどねぇ」

「そうですね。まあ、クリアできるかは不明なんですが、行きますか?」

「おうー、他の面子集まるまでちょっと遊ぼ~」



 ――――なななさん(トップランサー)のガードを抜くのは、まだちょっと難しそうでした。

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― 新着の感想 ―
まーたシナリオの流れを分析解析してる……
武器チェンファイターならランサーにも勝てるかな。 でも300%バフ無いし防御に回ったランサーを突破できないのか・・・
やっぱりこの娘を野放しはダメだな(白目 トップギルドでノホホンとしてる(ように見える)からこのくらいだけど、下から頂点を目指す形だったら仲間と運営側がどれだけ振り回されるやらw
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