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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
十九章 EFO1000days 前

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閑話 勝てない相手

セリス視点

「リーダーさんは、この人には勝てないなっていう相手っていらっしゃいますか?」

「勝てない相手?」

「はい、相性が悪い相手とか、いるのかな、と」

「んー……CCOだと超遠距離型とは絶望的に相性悪かったけど……EFOでかー……ソードマンは汎用では最強格だからさほど不得手はないんだけども」


 リーダーさんとロイドさんと3人で動画出演の予定決めを終え、少し暇を持て余した昼下がり。

 なんとなく興味本位で聞いたことに、リーダーさんは本気で考え込んでしまった。


「ロイドさんはなにかありますか?」

「1on1だと、ブラックマジシャンはファイター系には勝てない。こちらのチャージが溜まる前に初期地点の距離をクイックダッシュやランナップソードで詰められると無理だからな」

「なるほど」

「それ以外だと構成の問題になるから、絶対に勝てないという相手は多分いないと思う。そういう意味ではショートダッシュの指輪で初手クイックダッシュをすかせる可能性が出てきたので、もしかするとモンクあたりには勝てるかもしれない」

「それは楽しみですね!」

「俺が前衛職とPvPをすることはあまりないけどな」


 なるほど。確かにPvP企画はリーダーさんの方がやっているイメージですね。


「ああー!!」

「ふわっ」


 リーダーさんが突然大きな声を上げた。


「どうした?」

「勝てない相手な!いる!」

「ほう?」

「どんな相手でしょうか?」

「あっはは、ナイショ。他の人に聞いたら分かるかもだけどねw」


 えーと、それは当ててみろって意味ですよね?トラキチさんではないでしょうし……。


「ま、ゆっくり考えてよ」

「うーん……?はい、考えてみます?」


 ソードマンが圧倒的に相性不利というジョブは多分ないので、個人名が答えだとは思うんですが……PvPで強い相手……ちゃんと戦闘を見たことがない人だとぼっくんさんとかでしょうか。でも第2回大会では勝ってるはずなんですよね。


「ああ…………そういう問題だったか?」

「そういう問題でもいいだろ?」


 うーん、ロイドさんは分かっているらしい。ええ、どういう問題なんでしょうか……。






「ということで皆さんにお聞きしたくて」

「リーダーが勝てない相手~?」


 談話室で他の人に声を掛けると、みなさんが一様にはてなの顔をした。


「トラだったら絶対勝てないとは言わないよね?」

「言わないと思う。お互い絶対負けないくらいは思ってそう」

「だよねぇ」

「他にトッププレイヤー?でもスキル構成じゃんけんぽんはあり得るけど、勝てないってほどの相手は多分いないよね?」

「リーダーに絶対勝ちますって人がいたらシンプルにPvP企画やってほしい」

「それな」


 やっぱり同じ様な感想ですよね。リーダーさんが3連敗するような相手はどうにも思いつかない。


「そういう問題…どういう問題?」

「戦闘面の話じゃなさそうかねぇ」

「あー…………あー!分かった!わーかった~!いっちぬけ~」


 無卿さんがぱちんと指を鳴らして立ち上がった。


「えっ!?」

「まっ、まって、教えて!?」

「はっはっは、いやースッキリ~みんな頑張れ~」

「ヒント!ヒントくれ!」


 ぽんすけさんが無卿さんにすがりついて聞き出そうと頑張っている。


「えー、ヒントー?」

「ヒント!ヒント!」

「あー、俺も勝てない」

「無卿が?」

「そー。俺も勝てねーわ」


 じゃ、そろそろ配信予定だから~とひらひらと去っていった。


「…………だれ?」

「無卿が勝てないー?え~この言い方は完全に戦闘系じゃないね?」

「んー……でも生産系の話だと勝てる勝てないって話にはならんじゃん?配信の話?」

「配信に勝ち負けってなくなーい?」

「もやもやする~」


 分かった~って納得するような相手なんですね?どなたでしょうか……口が上手いとかそういう方向の話ですか……?それで勝てないって納得できるような相手……?


「あーわーったわーった。俺もおっさき~」

「まて!ヒントを言っていけ!」

「これヒントいるか~?まあギルドの人だよ」


 ぎんがーさんも席を抜けていった。


『勝てないっていうか、勝とうと思わない相手?』

『向こうは勝ちに来てるわけではないね』

『勝負してるわけではないよw勝てないだけw』


 パラパラと分かったと言って人が抜けていく。

 何か違うゲームが始まってしまっている……あの、え?これ分かった人から抜けていくゲームでしたでしょうか……?


「おつっすー。今何やってます?」


 背後からグライドさんがログインしてきて輪に加わった。


「お疲れ様です。えーと、リーダーさんが勝てない相手って誰でしょうか、と」

「いるんです?」

「ご本人曰く、いるらしいです」

「EFOで?」

「え?あ、えーと、はい。分かった人は、ギルドの人だよ、と……」

「んー……あー、はいはい、了解」

「えっ」

「誰!?!?!?」


 えっ、そんな、あっさり分かります!?


「ヒント!ヒントくれ!」

「時間的にそろそろ来るんじゃないすか?じゃあ俺ニンカのとこ行くんで」


 グライドさんが席を立ち、そしてテーブルには私とぽんすけさんだけが残った。


「分からん……」

「分かりません……」


 ギルド内?勝負するような人ではないけど、勝てない?本当にわからなくなってしまっている。なにか、考えてない話があるってこと、ですか?


 うーんうーんとギルドメンバーリストを眺めていると、またログイン音が鳴った。


「おつおつにゃー」

「あ、ニャオ姉おつかれ~」

「…………」


 ログインしてきたニャオ姉さんが談話室の面々と挨拶を交わす。


 あ。


 あー…………。なるほど、勝負をするわけではないけれど、勝てない相手。


「セリスちゃんこんばんはー」

「あ、はい、こんばんは。お加減いかがですか?」

「あばれんぼうな子がよくお腹を蹴ってるけど、元気だにゃ~」


 にこにこと幸せそうな顔をしていて、こちらも嬉しくなってしまう。

 予定日はもう少しだけど、もう臨月には入ったと言っていたっけ。


 はー。なるほど、スッキリしました。

 リーダーさん、というか、皆さん勝てないんですね。でも確かに、勝てないかも。


「はー、すっきりしました」

「え?」

「にゃ?」

「えっ?え、まってセリスちゃん置いていかないで!?僕を見捨てないで!?」

「えっ、見捨ててないですよ?いや、もう、これが答えじゃないです?」

「なになに?クイズでもしてたにゃ?」



 いやなんというか、別に全然クイズのつもりじゃなかったんですけどね。

 という話をしたら、ニャオ姉さんは「ちょっとOHANASHIしてくる」と言ってリーダーさんを探しに行ってしまった。

システム変換が「OHANASHIしてくる」になっていた。


閑話ここまでになります!

未消化リクエストが数個あるのですが、「今じゃない」ということで後日消化させてください!

20章は鋭意執筆中です、それほどお待たせせず公開できる予定ですので少々お待ち下さい。


ep.250の100の質問ですが、初期から36個くらい増えております。

お暇でしたらどうぞ。

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― 新着の感想 ―
その人に勝てるんなら十五章の騒動は起きてないなw
OHANASHIはちとやりすぎじゃないですか?姐さん。 それを言い出しちゃうと他にも勝てない人って出てきそうですよね。限定条件で怒ったロイドとか、知識量勝負でトラキチとか、謎解き勝負でセリスとか作業…
ぽんすけwwwさすが謎解きは無理を公言するほどはありますねww ニャオ姉にはギルメンは誰も勝てないwそりゃそうw 幕間更新ありがとうございました! 20章も楽しみに待ってますー!
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