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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
間章・3

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第一回サザンクロス女子会

「第一回!サザンクロス女子会~!」


 部屋一面にラグが敷き詰められ、たくさんのクッションが散りばめられ、可愛らしいぬいぐるみが飾られたいかにも(・・・・)という装飾がされたニャオ姉さんの部屋に、ニャオ姉さん、ニンカさん、ハムさん、私の4人が集まった。


「え、っと……」


 それは、言って大丈夫ですか?


「まあ、ここにいるメンバーは全員気付いていますよね」

「あ、そうなんですね」

「まー走り方違うし」


 ニンカさんがサラッと言う。

 それはそうなんですよね。走り方はちょっと男女差出ますよね。


「笑うと女の子っぽくなるにゃ」

「もう女の子という歳ではないのですが…」

「そーなの?」

「そうですね……リーダーより年上、ニャオニャオよりは年下です」

「へー」

「あら、リー君と同じくらいだと思ってたにゃ」

「少し上ですね、さほど変わりませんが」


 そうなのか。そのくらいの年齢だと1,2歳くらいの差は正直良くわからない。


「さーさー、みんなお着替えするにゃ!」

「え?」

「わざわざお部屋模様替えしたんだから!パジャマになるにゃ!」


 え、ええ……?



 はい、お着替えになりました。

 意外と皆さん色んなパジャマっぽい衣装お持ちですね。私は少し前にやっていたアニメコラボのパジャマアバターしか持っていないんですけれども。


「ニンカさんの恐竜可愛いですね」

「きぐるみパジャマ好き」


 緑の恐竜きぐるみ風パジャマ、かわいいな。リアルじゃ流石に着れないけど…。

 そして年上お二人は大人っぽいネグリジェ風のアバターだ。かっこいい。


「普段レディースアバターは使っていないので、新鮮ですね」

「持ってはいるのにゃ?」

「収集自体はしていますよ。時々こういうアイテムが激レア素材のトレード希望品になったりしますから」

「限定アイテムって後ですっごい値段ついたりするもんね」


 うーん、アバターは通貨なんですね。


「さてさてふふふ、女の子いっぱいいるの、いいねぇ」

「楽しそうですね」

「とっても楽しいにゃ!みんなの恋バナ聞くの楽しみだったの~」


 ……はい?


「はい?」

「え、女子会ってそういうものにゃ?」

「あーえー、そうなの?」

「そうなんでしょうか?」

「もしかして経験者が一人もいにゃい?」


 えーと、EFOの外に友人のいない私と、足が悪くて遠距離移動や宿泊の難しいニンカさん、ニャオ姉さんとハムさんだから…


「お二人に経験がなければ、ないんじゃないでしょうか?」

「流石にわたしはあるよー。ハムさんは?」

「うーん…高校の頃は女友達と集まってなにかすることもありましたが、当時は誰も彼氏がいなかったので……専門学校に上がってからは異性の話より絵の話の方が多かったですね」

「絵の専門学校だったの?」

「デザインの専門学校です。一応本業はデザイナーですので」


 あ、そうなんですね。存じませんでした。


「かっこいい~」

「おそらくニンカの思っているようなのではないですよ。VRゲーム向けの家具作成なので、デザインしている時間よりパラメーターをいじっている時間のほうが長いですね」

「一瞬でイメージできなくなった」

「VRゲームの家具では、プレイヤーが程よく使えて、程よくそれっぽく破壊できるようにいろいろな強度を調整するんです。デザイン自体は上流で考えたラフが降りてくるので私が一からデザインすることはあまりないですね」

「ほえ~」

「そういうのって、内部はAIで作ってしまうんだと思ってました」

「完全にリアルを追求する…例えば不動産屋がやっているVRモデルルームなどですと、リアルと同じ物理演算でいいので一括計算です。でもゲームだとプレイヤーが利用できる力の大きさが違いますし、リアリティよりもユーザー体験が優先されますから、人間がプレイしながら調整したほうが現状早いんです。自分でもデザイナーなのかコーダーなのか分からなくなりますね」


 なるほど…デザイン業一つとっても知らないことばかりだ。


「トラ君は絵の話とかできるのかにゃ?」

「トラですか?古典芸術には明るいですよ。美術館に一緒に行くと歴史や時代背景の話は特に詳しくて、私が勉強になるレベルです」

「ぜんっぜんイメージできない…」

「歴史お詳しいんですか?」

「勉学に属する内容ではあまり得手不得手なく満遍なく詳しいですね」

「ギフ校出身ってほんとなの?」


 ニンカさんの質問に、ハムさんが薄い笑顔でそっと指を唇に当てた。


「んー……了解」

「ありがとうございます」


 えーと、まっすぐお話が進んでいるんですが……


「あの…」

「はい」

「そもそも、付き合っていらっしゃるんですか?」


 いや、まあ、美術館に一緒に行くような関係なのは分かったのですが…そういうことでいいんですかね?

 なんというか、ニンカさんやニャオ姉さん達と比べてお二人は全く空気が甘くないので、よくわからないんですよね。


「さあ、どうでしょうか」

「にゃ~~~~~ん」

「いやそこで付き合ってないは嘘でしょ~~~」


 ハムさんは涼しい顔で聞き流している。

 んー、分からない。恋愛何もわからない……。


「セリスこそ、リーダーとはどうなんですか?」

「ひゃっ!?」

「気になる~」

「何もないですっ!」

「じゃあさじゃあさー、リーダーのどこが好きなの?」

「どっ」


 どこって……いや、どこって……


「気になるにゃ~~~きっかけとかってあったの?」

「あの…えっと……」

「ほらほらはけはけ~」

「あまり…きっかけらしいきっかけは、なくて」

「ふんふん」


 え、これ話すの?話さなきゃダメなヤツですか?皆さん黙っちゃった…え……。あ、あの……。


「あの、ラフェル討伐の後、結構メッセージやり取りさせていただいて」

「うん?」

「どうも私がまともにプレイできていないの心配してくださっていたようなんですが、遊びに出るのに誘っていただいたりして」

「ほうほう」

「終わったらありがとうございます的なメッセージは送るじゃないですか」

「まあ?」

「リーダーさん結構マメで、毎回ちゃんとお返事くださってて」

「……へえ?」

「動画の感想とか送っても、お返事くださるので、メッセージ自体はかなりやりとりしてて、それが、楽しくて」


 あの日までずっと、友達とメッセージのやり取りを楽しんでいるんだと思っていた。

 だけど今にして思うと、ニンカさんよりも、シアさんよりも、リーダーさんのメッセージ返信が来ているかを一番に確認していた。シアさんから返事がないことは気にならなかったけれど、リーダーさんからお返事がないのは少しさみしかった。

 話題が欲しくて動画を見漁ってしまったのは、自分でもちょっと気持ち悪いなと思ってはいるんですが……。


「……」

「へ~~~」

「でもたまになにかされているところを見かけても、こちらから声はかけにくくて」

「まあ、かけられても困るんじゃない?大抵配信してるし」

「ええ。それが…多分、寂しかったんですよね」

「ほ~」


 年末に大会に出ることにしましたと連絡した時、動画で話して大丈夫かという確認だけされて、それからぱたりとメッセージのやり取りが止まってしまった。オルタナクロスで紹介しましたという報告もロイドさんから頂いて、忙しいんだろうなという気持ちの横に、言いようのない苦さがあった。

 ギルド員だったらきっともっとたくさん喋れるんだろうな、とぼんやり思っていて。


「私ずっと、自信を持って()()()()()()()入りたいって思ってる、と思っていたんですが」

「言ってたねー」

「多分、自信を持って、()()()()立ちたかったんです」

「ん~~~~」

「あまずっぱいにゃ~~~~」

「可愛らしいですねえ」

「……もう、もういいでしょうか……」

「も~若返っちゃう!いっぱい聞きたい!」

「――――」

「ニンカさん」

「おっと、はーい?」


 今こそ、この言葉を言う時でしょう。


「顔がうるさいです」

「セリスちゃんwwwwww」

「セリスも言うようになったじゃんwwwwww」



 □■□■□■□■□■□


「あの、ラフェル討伐の後、結構メッセージやり取りさせていただいて」


 ……うん?


「うん?」

「どうも私がまともにプレイできていないの心配してくださっていたようなんですが、遊びに出るのに誘っていただいたりして」


 あー、まあリーダーは気にしてそう。


「ほうほう」

「終わったらありがとうございます的なメッセージは送るじゃないですか」

「まあ?」

「リーダーさん結構マメで、毎回ちゃんとお返事くださってて」


 ……は?


「……へえ?」


 ニャオ姉が楽しげな声を出した。


「動画の感想とか送っても、お返事くださるので、メッセージ自体はかなりやりとりしてて、それが、楽しくて」

「……」

「へ~~~」


 あー、うん、なるほどね。セリス知らないんだ。え、これ教えたほうがいいんじゃない?

 どう思うにゃおね…ああ、はい、内緒なのね。えー、ダメ?これクリティカルだと思うんだけど。ダメなの?


「でもたまになにかされているところを見かけても、こちらから声はかけにくくて」

「まあ、かけられても困るんじゃない?大抵配信してるし」

「ええ。それが…多分、寂しかったんですよね」

「ほ~」

「私ずっと、自信を持ってサザンクロスに入りたいって思ってる、と思っていたんですが」

「言ってたねー」

「多分、自信を持って、彼の隣に立ちたかったんです」

「ん~~~~」


 めっちゃ分かる~~。すごい人の隣に立っていたいって、大変なんだよね~。


「あまずっぱいにゃ~~~~」

「可愛らしいですねえ」

「もう……もういいでしょうか……」

「も~若返っちゃう!いっぱい聞きたい!」


 ニャオ姉その言い方はどうなのw

 ってかあれなー。え、ホントに黙ってるの?言っちゃダメ?

 グライドにあんまつっつくなって言われてるんだけどさじ加減が全然わからん。


「――――」

「ニンカさん」

「おっと、はーい?」


 いかんいかん、おしゃべり全然できないわ。


「顔がうるさいです」

「セリスちゃんwwwwww」

「セリスも言うようになったじゃんwwwwww」


 なるほどーそういう事言うかー。じゃあもうちょっと内緒にしとこ。





 リーダー、フレンドから動画の感想が来ても返事なんて絶対しないよ、やってたらキリないし。

 メッセージラリーしてるなんて聞いたことないよ。



 何だよ、ギルド入る前から特別扱いなんじゃん。



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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます〜!! 女子会めっっっちゃ見てみたかったので、嬉しいです!!!! 恋バナもうすっごいきゅんきゅんしました( ; ; ) リーダー!!!そういうとこ!!!!!ほんとに!!!はや…
リーダーww 読んでてニヤニヤが止まらなくて、感想書いてる今もニヤニヤしっぱなしで顔が筋肉痛になりそう(←
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