【切り抜き】サザンクロスで一番頭いいのってだれ?
『サザンクロスで一番頭いいのってだれ?』
「頭が良い……」
「難しい話来たな」
「そうだな……例えば知識面なら、一分野に絞れば、法律関係は俺が一番詳しい。音楽なら無卿だし、言語分野なら多分ニャオニャオだな。VR関連の話題に絞ればねむねむ蝉になる。物理学や数学分野も高い専門性が必要なあたりは彼だろうな」
『ねむ蝉さんってVR詳しいの?』
『VRオタクなことは知ってるけどそこまでなん?』
「彼はVR機器のハードウェアエンジニアだ」
「文字通り専門家だよ。俺も機器の購入とかは相談乗ってもらってる」
『嘘だろ!?』
『VRハードってガチじゃん』
『ばかな……あいつは俺の仲間のはずでは……』
「みんながねむ蝉をどう思ってるかはよく分かったw」
「もう少し広く浅い、例えば東大入試を解くような話になると、今度は現役学生が強いな」
「グライド、ニンカ、セリスあたりだね。マジで東大入試解く企画やったら、まあセリスが圧勝じゃね?」
「ニンカは勉強があまり好きでは無いからな」
「グライドとセリスなら、多分セリスだろ。グライドもわりといいとこだけど、現役受験生はテスト向けの勉強量が違うし」
『そこは納得』
『その手のは受験生が一番できるのは仕方ない』
「で……総合雑学や頭の回転を試すようなクイズになると、今度は受けた教育の質が関係してくる。調べ事が好きだとか読書量が多いだとか、博物館に行くのが好きだとかはもちろん重要だが、そういう場合も大抵もっと根底に幼少期にそういったものに沢山触れてきた下地がある」
「一度も行ったことのない美術館巡りに突然目覚めるってレアだからなー。ないわけじゃねーけど。この辺はある程度までかけた金に比例するから、親がどれだけ金かけたかで半分くらい決まるんじゃね」
『あー』
『教育格差〜』
『そうするとリーダー?』
「……」
「…………」
『お?』
『何で黙るの』
『顔見合せて黙るの何ww』
「…………まぁ、あいつだろ」
「セリスの可能性は?」
「彼女の環境であいつに勝つのは無理じゃね?10年後なら分からんけど」
『誰?』
『リーダーでもセリスちゃんでもないの?』
「トラキチ」
『!?!?!?!?』
『は!?』
『うそやろ!?』
『あー』
『??????』
『それはなくない???』
「ここまでは公開されている情報なので話すが……トラキチは、初等教育をギフテッド支援施設で受けている。いわゆる一期生だ」
「あそこに6年張り付いた奴の知識にはそのへんの大卒程度じゃ勝てないよ」
『え????????』
『と、とらさんってあたまいいの……?』
「ってかあいつ普通に……あ〜一応ぼかすか?旧帝大卒だよ。純粋な学歴で言ってもロイドより上」
「そこぼかす意味あったか?確か大学名はたまに話していたと思うが」
「多分学歴周りはWikiに記載がねーんだよな。話題避けなくてもいいとは言われてんだけど、どこまで喋って良いのかイマイチわからん」
『大学のことはたまーに配信で喋るね』
『飼育員間ではネタになってるよ、意外すぎて』
『(どこなんだろう……)』
『気になるならトラ小屋配信を隅から隅まで見るんだな!』
『トラって大学何やってたの?』
「そこまでは知らん。学部も言ってなかったし」
「専攻は聞いたことがないな。キャンパスは本郷だから、なんだ……数学?ではないはずだが、それ以上は分からない」
「流石に理三じゃないだろうなってことくらいしか分かんねーな」
『本郷キャンパスはもう答えなんだよww』
『本郷かー(白目)』
『最高学府なのまじ????』
『ってかギフ校卒で大学行ってるのって珍しくね?普通スキップで大学院か研究所行きって聞くけど』
「……初等教育を、高知能児支援施設で過ごしている。中等教育からは普通校だ」
「Ryuよりも前のギフ校ってマジでやばいから、あんま突っ込まないであげて。特に一期生は学校の話されるのすごい嫌がるから」
『なんで??』
「高知能児支援施設は、頭のいい子供を天才に育てようという施設ではない。他の生徒と一緒に育てると著しく発達や授業進行に問題が出る可能性がある生徒を隔離するための施設だ。学校そのものも教育実験校だし、授業内容も先進と言えば聞こえはいいが、とんでもない授業速度を実現した教育実験そのものだ。それが天才教育施設としてもてはやされ、そこだけが切り取られて喧伝され、我が子を天才学級に入れたいという親が殺到した。彼はそういう一人だ」
「授業進行は本物の天才児向けに作られてて、そこに幼児教育にじゃぶじゃぶ金突っ込んだ養殖の秀才が大量に入って、でもそういう子供は全然ついていけなくなって……俺らの世代の高学歴引きこもり、たしか前後の世代の2倍だろ?」
「きちんと統計を確認したわけではないが、そう言われているな」
『うわぁ……』
『えっぐ』
「当時は飛び級卒業認定がギフ校にしかなかったのも良くなかったんだよなー。試験導入だったから仕方なかったんだけど、あの頃は秀才児に飛び級で大学行かせるにはギフ校か海外しか手段がなかったから。集団訴訟もまだ続いてるし、一期生ってまじ地獄なんだよ。あの施設がなけりゃ自分の人生はもっとまともだったってみんな思ってる、そういう世代」
「1年時200人いた児童が、卒業時には8人だったと言われているからな」
「今は20人くらい残るんだっけ?」
「そのはずだ」
『トラさん8人の一人なの』
「学年や施設によっても多少は前後するだろうが、おそらくそうだな。一度学校について聞こうとしたことがあるのだが……PvPで対面したときのほうがまだ優しい面差しだった」
「あれが優しいって形容されんの……」
「あれ以来初等部の話題は一度も振っていない。向こうでも話題に出さない方がいい。多分一発ブロックされる」
『聞いてるとトラさんRyuみたいね?』
「書籍の書き出しにもあるが、全国の支援施設で同じことが起こっていたらしいからな。境遇も似るだろう」
「まーそういうわけで、質問意図的な頭の良さの話をするならセリスかトラだと思うよ。ただトラ呼んで知能指数測る系の企画はやらない。呼んでもこねーだろうしな!以上!」
『は、はぇぇ…』
『(ちょっと見たかった)』
『セリスちゃんの東大入試チャレンジとか見たい』
「うーん、セリスには聞いてみようか?ただなー、ガチ受験生にやらせんのちょっと抵抗あるんだよね」
「本来の受験の邪魔になる可能性があるからな……彼女の受験が終わった後でなら聞いてみよう」
『しゃーなし』
『わーい待ってる〜』
☆☆☆ サザンクロスチャンネル ☆☆☆
※「最高学府」は「大学」そのものを指す言葉で、トラの出身大学のみを指して言うのは誤用です。
「天才じゃなくてごめんなさい」 著者:Ryu
秀才児が母の意向でギフテッド校に入学し、本物の天才に囲まれて神経をすり減らしながら勉学に漬けられ、同じような秀才たちが次々に心を壊し学校を去り、自身も初等教育修了後普通校へ進学し、その過程で家庭が崩壊する様を描いたノンフィクションエッセイ。
著者は一期生であることが公開されており、本名・出身校は非公開(児童人数から関東支援校ではないかと推測されている)。執筆・出版当時は13歳であったと公表されている。
この書籍が刊行される前は「少しでも他より勉強ができるならギフテッド校へ!」と言われていたのが、刊行後は「ギフテッド校には本当に一握りの天才だけが行くべき」という風潮へ変わった。本書の前後の風潮変化を指して「Ryuの前後」と称される。
セリスの小学校進学はRyuの後。




