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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
十七章 EFOに血の降る日

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17-6.メンテナンスが明けて

※セリス視点

 月曜日の朝から始まった緊急メンテナンスは丸一日掛かっても終わらず、翌火曜日の昼頃に終了した。


「ゴールデンウィーク本番には間に合ったな」

「明日から連休ですものね、良かったです」


 5月2日火曜日夕方。

 チートツールの無効化、並びにチートツール使用プレイヤーの強制アカウント失効が完了した旨が通知され、試合時間と一部のスキルに対するバランス調整も発表された。現在女神の森は大変に賑わっている。

 一方で、サザンクロスの主力チームはお休みだ。

 流石に少々暴れすぎたし、ポイント自体はもう一旦良いかなというくらい溜まったし、なにより今このタイミングで私達とマッチングしたら他のプレイヤーを萎縮させかねない。

 最後の方、私達を見た瞬間に一般プレイヤー全員降参してましたからね……。


 談話室にニンカさんとリーダーさんと3人腰掛け、雑談をしていた。

 ロイドさんは現在()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()らしく、遊び(出向)に行っているらしい。


「ロイドさんってさ」


 ニンカさんが首をひねる。


「ほんとに人間?」

「流石に疑わしくなってきましたね…」


 この場にいない人に対してこんなことを言うのはお行儀が悪い気がするけれど、50の同時チャージを「少し疲れた」程度でやり続けるのは、本当に宇宙人なのかもしれない。


「VR過剰適応症って名前になるらしい」

「え、びょーき?」

「うーん、今のところ病気じゃなくて、体質?かな。システムアシストがないのに何故かリアルよりも劇的に速く思考できたり、とんでもないマルチタスクを実現したりっていう人達のとりあえずの呼称。さすがのあいつもリアルであそこまでとんでもじゃないよ」

「ロイドさんのためにある呼称ですね」

「それがなにか悪いことがあるのかどうかすら、まだ分かんねーんだよね。フルダイヴ出てからまだ10年だからな」

「……あれ、それってもしかしてトラキチさんも入りますか?」

「あーどうだろう……俺もそんな詳しくない。今度ロイドに聞いてみるわ」

「リーダーは入んないの?」

「入んない。リアルで体はこんなに動かないけど、反応速度はベストな状態ならちょい下くらい出るよ」

「リーダーも人外疑惑出てきたね」

「反応って反復訓練だから、ぶっちゃけプレイ時間依存だよ。俺もともと体動かすのも反復訓練も好きだしね。ソードマンしかやってないから他のは全然鍛えてないし」


 だから俺のランサーはあんま強くねーのよ、と言ってのける。いえ……うーん、そうなのかな……本当かな……。後で論文調べてみよう。


「第五回大会はお預けかー」


 ニンカさんが追加発表された内容を見ながら言った。


「まあ、仕方ありません」

「そもそも第一回、第二回、1周年記念特設フィールド、第三回、第四回、の次だから、もしかしたらもともとPvP大会じゃなかったのかもしれないしな」

「あー言われてみればそうね」


 今日追加で発表されたのは7月の後半から1ヶ月行われる特設イベントの案内だ。

 7月28日に迎える1000Days記念と夏休みを合わせた大きなイベントになるらしい。詳細は小出しになるのかまだ決まっていないのか、ComingSoonとだけ書かれていて分からない。ただタイミング的にPvP大会の第五回はなさそうだ。

 PvPは参加可能プレイヤーが限られるし、たしかに元からこちらの方針だったのかもしれない。

 ……元の予定がPvP予定だったとしても、今この流れでランダムマップPvPはできないだろう。急遽の予定変更だとしたら中の人の忙しさが心配になる。


「そういやリーダー、今なんか欲しいものある?」

「え?……平和?」

「そういう話じゃなくてさwwww」

「なんですか平和って」

「いや最近ちょっと、短期に色々起き過ぎで。平和が恋しいなと」

「なんかこう、申し訳ありません……」


 なぜか心当たりがあまりに多すぎて、頭を下げた。


「うん……何故か半分くらいセリス関係なんで否定するのも難しいんだけど、具体的にどこを直して欲しいってわけでもないんだよな……」

「セリスが巻き込まれ体質な感じだよねー。最初にリーダーに見つかったあたりから」

「やべ、じゃあ俺のせいか……」

「でかいブーメラン来たね?」

「いえあの、リーダーさんのせいとは、ちょっとしか思ってないです」

「ちょっとは思ってるか~」

「いやそうじゃなくてさ、もうすぐ誕生日でしょ?」

「あ、あー、そういうやつか」


 リーダーさんの誕生日は5月20日。あと3週間を切っていた。


「他に何があると思ったのよ、5月入って聞いたら誕生日に決まってんじゃん」

「いやうん、今まさに誕生日配信の準備してるとこだから多少意識してるけども」

「で、今年はどーする?」

「いつも通りでいいよ」

よく使う消耗品(いつもどおり)ね」

「ってか去年も言ったけどいらんのよ別に。特に欲しいものもないし」

「くそ、お金持ちめ……」

「いや26とか27にもなると誕プレとか普通いらんのですよ…」

「そうなんですか?」

「必要なものなら都度自分で買うからさ、あえて誕生日だから欲しいものってないんだよね。気持ちが一番うれしい。配信も感謝デー的な感じだしな」

「配信は何をやるんですか?」

「うーん…結構悩んでる。当初予定が崩れちゃって、組み直しが必須になっちゃったんだよね」

「当初予定は?」

「仲いい配信者何人か呼んで歌枠」

「ああ、いつもの誕生日配信だね」

「だめなんですか?」

「…………おるが来れない可能性が高い」

「「あー…………」」


 おるさんの状況は「わからない」。

 チャンネルは生きているけど、配信はないし、サブチャンネルのギルメン配信も全てストップしている。つぶやいたーもおるさんやねころさんどころか、オルタナティブのほとんど全員の書き込みが止まっている。

 GWで右も左も配信ラッシュの中でぱたりと動きが止まり、いっそ他の配信者より目立っている。

 配信で事務所を辞めると言っていたらしいのだけど、該当配信はアーカイブ非公開の上にR18設定が入っていたらしく、私からは切り抜きも閲覧できなかった。

 タイミング的にはチーター騒動でなにかあったらしいということは分かるのだけど、魔王とか虐殺しろ(・・)とか色々言われていて、詳細状況はよくわからないままだ。


「おるさんの状況は、リーダーさんは聞いてらっしゃいますか?」

「……言えない」

「分かりました」


 連絡はついているらしい。言えないのなら仕方ない。


「おる抜きで仲良し配信者呼びましたってのも違うし。ってかよくコラボする仲ではあいつが一番歌うから、おるだけ来れればよかったのにな……それでまあ、どうしようかと」

「ロイドさんと二人で歌枠はやんないの?それでもいいんじゃない?」

「ロイドに何曲も歌わせんのはなー……1曲だけ付き合ってもらってほかは全部俺のソロのほうがまだ現実的かな……ただ俺も歌そんな上手いわけじゃないし、ゲスト何人か呼ぶ前提で考えてたから、ソロ曲まで含めてセトリ全部組み直しなんだよ……」

「一曲二曲でいいんならさー」

「んー?」

「ギルドで歌う?セリスとか無卿とか歌上手いじゃん」




 ――――ちょっとまってもらってもいいですかね?


リーダーは歌えるけどゲームのほうが好きだからあんまり真面目にやってない

ロイドは歌える曲が限られるタイプ(転調の激しい曲は外しまくる)

おるくんは事務所のライブに出るタイプ


幕間挟んで18章入ります!

18章は配信に寄ったお話になります。ゲームっぽさはないです、ごめんね


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― 新着の感想 ―
[一言] ポケモン赤緑RTAに比べると、並列タスク数は多いが同種のタスクかつ肉体制御を必要としないロイドは、現実で存在してもおかしくはなさそうだなと思ってしまった
[一言] VR星人爆誕しててワロタ_(:3」∠)_w ……まあ将棋星人達に比べればまだ人間の範疇だろうけどw しかもオファーがすっ飛んできて、世界を一つ救いに行くのがまた……あっち側も( ゜д゜)って…
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