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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
十六章 地震と落涙

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16-10.男三人寄れば

※サブタイトルナンバリングは正常です。

※リーダー視点

『動画完成したよー。チェックOKだったら今夜告知、明日の夜投稿します~』


 休み明け、トシさんからメールが届いた。

 いつもやらないことをやったので、動画自体は結構楽しみだ。


「こないだのコラボ動画来たよー」

「おー、楽しみっすね!」

「会議室行こ!」


 4人だけ入って会議室をロックする。

 トシさんから送られてきた動画を再生すると、開始挨拶からトシさんらしいバライティ味の強い編集の入った動画が流れた。


「セリスさんコケてんじゃんw」

「こ、この一回だけですよ!」

「まーあるある場面だからむしろ撮れておいしいまである」

「ああ、この構成で倒したのか」

「魔法居ないとしんどくてなー」

「そちらはやはり余裕ですね」

「タンクがいてゴーレムに負けることは、まあない」

「ユール苦戦してんなー」

「クリティカル率一番高いのジン君だったからな……」

「ランサーはクリティカルというよりは防御貫通側っすからねえ」

「スキル寄せの遊び人系はMPが厳しいな」

「ほんそれ。EXポーション使えねえのが完全に響いてる」

「そちらもユールは結構苦戦されてますね」

「レンジャーはクリティカルは出るけど、火力アップはあんまつかないからなー。そんなもんよね」

「メイン火力ロイドだから、魔法イマイチだとやっぱキツめ」

「メイジ系はクリティカル率は低めだからな」

「おおう、魔人は一乙か」

「初回は無理でしたねえ。私のセージは火力ほとんど振っていないので」

「まああれはなー」

「ぶっ、覚醒使ってんじゃんw」

「それが一番できそうでしたから」

「武器チェンジをこうやって使うのか……」

「便利ですよ、ポーション取り出し。ショートカット以上のポーション並べておきたいときとかはたまに使ってます」

「そんなポーション何種類も持ちたいことある?」

「そんなにないです」

「ないんかいw」

「お、Bチームも全滅してんね」

「まあパラディンだとだめっした」

「マコトさんとロイドいるから、こっちは後衛火力過剰か」

「っすね。前衛アタックが実質フミヒコさん一人で削りきれなかったんすよね」

「あー、それでブレイダー」

「これも一回失敗したな」

「まあお陰で倒し方は分かったけど」

「どうやって……おおう、羅刹大旋風……」

「溜め開始からきっかり30秒で取り巻き超減らしてもらって、フミヒコさんと二人で奥義飛ばしが正解っした」

「楽しげなことしてんな」

「時間管理がかなりシビアだった……」

「バッファーが一人いりゃもうちょい楽だったかもっすね」

「で、ラフェルなあ」


 画面では続々と蒸発する様子が4人×4回ほど、コメディカルな音楽に合わせて流れている。


『……リーダーさん』 ※呼びかけただけ

『うん……俺もそう思うんだけど』 ※まだ何も言ってないだろ

『ええ、そうですよね』 ※何が!?


「ぶっ」

「え、ええええここ撮られてました!?」

「なんだこれwww」

「……まあいつも通りだな」


『どうしたのさ』

『えーと、トシさん、この後パーティを入れ替えて、サザンクロスチームで挑んでもいいでしょうか?』

『え……えーと、まあ、良いけど』


 ※追加のラストアタック、参ります


「お、ラスト来るね」

「おおー、セリスさんの避けはやっぱ絵になりますね」

「お恥ずかしい限りです……」

「スイッチタンクはもうちょい練習してもいいなー。こことかもう少しタイミング遅くても良かったよね」

「どうでしょう……ラフェルは本当にカスッたら死にますから……」

「今回はビショップ覚醒が必須だったしな。リトライができないなら安全優先のほうが良いんじゃないか?」

「そうかー」

「プネウマのタイミングは完璧でしたね」

「敵意使わないヘイト管理結構きつかったっす」

「ああ、これやっぱ4回目のプレゼント爆撃終わるまでヘイト取らないようにしてた?」

「もちろん」

「すげえわ」

「グライドさんのヘイト管理は本当に真似できません……」

「そのうち真似てくれ」

「……精進いたします」


 最後にMPが切れて全滅の様子が流れ――――



 ※結論!


<del>※サザンクロス頭おかしい!!!!</del>


 ※超上級はやっぱ無理でした!!






 最後まで視聴し、OKってことでメッセージを返す。


 セリスはこのあとアネシアさんと遊ぶらしく、会議室から出ていった。


「それで」

「うん」


 グライドがこちらを見る。


「あのくじは仕込みっすか?」

「そうだな、再現モードになっていた」

「一応俺とロイド逆にはしておいた。狙いセリスだったから、ホントはあの子の順番変えたかったんだけどな」

「まあ無理っすね。セリスさんは最後以外では引かないっしょ」

「うん」


 くじ引き君には裏設定で再現モードが存在する。事前に引いておいたくじと全く同じ順番になるモードだ。

 裏面の特定の場所の色味が少しだけ変わるので、よく見ていればわかる。


「別にさ」

「ええ」

「俺達プロじゃないから、プレイヤーとしてナメられてんのは、別にいいんだよ」


 EFOの大会には懸賞がないので、プロは基本的に出てこない。大会日程も普通に3連休合わせとかで他の大会と被っていることも多いから、出ないというより出れないが正しいのだろう。

 俺のPvP1位はその前提で成立しているので、実際に本当の1位は別の人だろうと思っている。

 ()()()()()が笑顔で対応してるときは相手をナメている。それはまあ、別にいい。


「ただ、会社としてナメられんのはな、今後のために良くない」

「っすねえ。マネジメントしてるつってんのにサザンクロス飛ばす気まんまんなのは、ちょっと」

「お互いの信頼に関わるからな。どっかで釘刺さねえとなーとは思ってた」


 セリスについては未成年だし、高校生だし、開業届すら出していない白色だしで、出演についてはリスト化して選んでもらう形式を取っていて、本数もかなり絞っている。小さいパイにありつけない人の中には、横紙を破れそうなら破りたい奴らはそれなりに出てきてしまう。

 女性の動画映えする前衛プレイヤー、少ないからな……SF的にVRアバターの身長が変えられるようになれば、またバ美肉よろしく中身男のかわいいプレイヤーが溢れるんだろうけど。リアルと全く同じ体格のアバターの歩行補助すら実現したばかりでは、身長や体格を大きく変えるのはまだ難しそうだ。


 別に普通に仲良くなって普通に共同プレイするのは良いんだけどさ。「仲良くなればウチを通さなくても動画に出せる」ってのはダメなんだよ。結果的にそうなるのと、最初からそれを狙ってるのは全く別の話だ。

 配信に野良企画にファンサービスその他諸々、伊達にフレンド何百人も繋いでない。そういう空気や情報はどこかで漏れてどこからか入ってくる。セリスがソロでレベリングする場所にやけに出没する配信者とか、やたらセリスのフレンドを探しているプロチームとかな。

 その中にトロイライトの名前を見たときは本気で嘘であってくれと思ったし、トシさんから送られてきた企画書を見て少々がっかりもしてしまった。

 トシさんはそういうタイプじゃないんだけど、どうもトロイライトのスポンサーにちょっと性急なとこがあるらしいんだよな。


「トシさんは横の繋がり強いから、これでウチ飛ばすやつらは減って欲しいとこだな」


『気付いてんだよいい加減にしろ。それとも西生寺(おれ)と喧嘩するか?』


 言いたくねえんだよこんな事。まじで本当に言わせないで欲しい。

 読み合わせなしのプロレスに付き合ったんだから、横への牽制は期待したいところだ。


「セリスさんには伝えないんすか?」

「……気付いてた」

「まじか」


 思ったよりがっつり気付いていて、なんなら俺の事にもずいぶん気を使わせてしまって、申し訳無さの方が大きいくらいだ。

 あの子はあんまりゲームや配信の事情に詳しくないから、出来れば知らないままでいて欲しかったんだけどな。


「ジン君、ちょっと焦ってたな」

「ああ、聞いてたか。17歳?18歳だっけ?にはちょい悪いことしたな。まあそのへんはトシさんがフォローするだろ」

「ちなみにセリスさん自身がプロになりたいとかは?」

「プロって何する人ですか?だそうだ」

「あ、はい……」

「将来的になりたいって言うなら好きなだけなればいいと思うよ。あの子のプレイはプロ向きだしね」

「プロオファー自体はかなり来ているから、選び放題だしな」

「ただ本人知識皆無なのもあるし、時期的にも今は勘弁してくれって感じ。当人これから高3だってのに、マネジメント担当としては負荷上げらんねえって。それにニャオ姉の騒動がようやく終わったのにセリス引っこ抜かれるとか、ギルメンの士気に関わる……」

「まあニンカは明らかに凹むわな」

「一番影響が出るのがサポートメンバーというのもな……」

「完全にサポメンのアイドルっすもんねえ」

「うん……姫になってないのが本当に助かる」

「あの人が姫になる時はこのゲームの女プレイヤーが全員姫になるときっすよ」

「オーバーワークの方が懸念だな。誰か正式にストッパーにしたいところだ」

「ニンカはストッパーにならねえからなぁ……」


 気がつくと3時間くらい素材を狩っている彼女を誰がどう止めるのかという、VRアクションにおいてはなかなかレアな悩みを抱えている。

 ニンカは一緒になって2時間素材狩りとかしかねないのでストッパーにならない。


「アネシアさんがギルドを作っていなければ、そのためだけに彼女を呼ぶのも選択肢だったな」

「トップ奇術師だしな、アリ寄りのアリ。ただ、セリスが誘って断られたらしいんで、無理だね」


 アネシアさんは基本的に学業優先でイン頻度が低く、最前線に張り付くのは難しいらしい。

 サポート体制があればなんとかなるレベルだと思うけど、まあ無理強いするところではない。あと女性プレイヤー入れるとまた面倒になりそうでちょっと嫌ではある……。


「ところでさ、グライドは就活どうすんの?」


 次点の懸念事項はお前なんだけど。


「あー、それなんすけど、実は相談があって」

「おう」

「チャンネル分離してもいいっすかね?」



 ――――お、そういう感じ?



<del></del>は取り消し線か二重線かバッテンあたりのイメージでお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] いよいよ二人の愛の巣が(違 グライドには実績も実力も十分あるし、ニンカも卒業後に自立するうえで配信で稼げるのは相当でかいのか……砂糖ダダ漏れな空間になりそうだけどw
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