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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
十三章 バレンタインのメッセージ

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13-7.バレンタインの向こう側

「どうだった!?」


 リーダーのところから戻ってきたセリスに、ワクワクしながら声をかけた。

 彼女は耳を赤く染めて、だけど顔は困惑気味だ。


「いえ、あの、ありがとうとだけ……特にほかには何も……」

「うっそでしょ!?え?メッセージなんて入れたの!?」

「…………大切な貴方へ、って」

「もう一歩くらい行けよ~~~」

「ムリです!ムリですから!!!」


 フレンド:セリス から バレンタインチョコレート が届きました♡

 メッセージ『大切な友達へ』


「おっと?」

「ニンカさんもどうぞっ!!」


 ちょい待て!似たようなメッセージを入れるな!!!


「ギルメン全員に渡しますっ!」

「えっ」

「そっちのほうが私のメンタルに来ない気がしてきました!チョコ作り足してきます!!!」

「それじゃリーダーが特別にならないじゃんよ~!」

「いいんですっ!」



 珍しく語気を強めた彼女が飛び出していって――――しばらくしてギルチャにぽこぽこと無卿の自慢が書き込まれ、もうしばらくして、ギルド全体がバレンタイン一色になった。



 ・・・



「セリスさんからチョコもらった」

「ああ知ってる。ギルメン全員に配ってるってー」


 プライベートルームで孝宏(グライド)が言った。


「"ニンカさんと仲良くね"だってさ」

「みんなメッセージ違うのがんばってるよな〜」

「それな。ねむ蝉は"ニャオ姉さんを怒らせすぎないように"って書かれてて、ニャオ姉が爆笑してた」

「ウケるw」


 ニャオ姉に怒られないねむ蝉とかイメージできないんだけどw


「――――で、何企んでんだ?」


 孝宏が愉しそうにこちらを覗き込んだ。


「ナンノコト?」

「チョコ配る前にセリスさんとなんか話してただろ?」

「大したことは話してないよ~」

「ほーん」


 ずっとにやにやとこちらを見ている。

 なんだこら、やんのかおら。


「リーダーさ」

「ん?」

「メッセージ、超速で流れちゃって読んでないってさ」

「はぁああぁあああ"?!?!?!?」

「隠す気ならその反応は出さないようにしような」

「ふっぐ……」


 やられた。あああもう。どうせ孝宏には隠せないとは思ったけど、一発抜きはズルでしょ。


「セリスさんそういう感じ?」

「…………他のみんなには内緒」

「まあ、本人が和を乱さないなら言わねーよ」

「乱さないっていうか……あの子は乱せない(・・・)でしょ」

「本人にその気がなくてもそういうことはあるんだよ」

「そういうもん?」

「そういうもん」


 孝宏は元々上の方のギルドの出身だからなぁ。なんかあったのか。あんま過去のMMOの話したがらないから、聞いてないんだけども。


「まーなんかそういう感じになっちゃったら相談乗って」

「ん、そうだな。で、何企んでんだ?」

「たくらんでないよ。鈍感男にどうやってアタックするかって話で、とりあえずバレンタインチョコあげただけ」

「鈍感男ねえ」

「傍から見てそれはもう告白じゃんみたいな発言に、勘違いされるからそういうことは言わないようにって返したらしいですわよ」

「どういう口調だwまあリーダーならそうだろな」

「なんでよ」

「26歳男が17歳女の子からちょっと意味深なこと言われて舞い上がってたらむしろキモいだろ」

「むー…」


 そう言われるとそうなんだけどさ。


「リーダーはその辺のガード硬いしな」

「じゃあどうすりゃいいのさあ」

「セリスさんがどうしたいのかによる。お前当人の意思無視してないか?」

「うぐっ」

「友達の恋愛に関わるのが楽しいのは分かるけど、ちょい落ち着け。リーダーと付き合うって言うほど簡単じゃねえしな」


 今そういう大人の意見は求めてないんですぅ〜。いや孝宏の意見が正しいのは分かるんだけどさぁ。


「相手の状況と向き合うのに、1年かかる事だってあるんだから」

「それ、自分の話?」

「うるせ」


 照れ隠しのように頬を摘んできた。

 ほーん。ほおおおん。


「……14日、ちゃんと会える?」

「あんま長時間は無理だけど、死守する」

「よかった。チョコ、頑張って作ってるから」

「あー……これは心構えのために聞くんだが」

「うん?」

「胃薬の準備はいるか?」

「いーらーなーいーでーすー!!!!!」


 失礼なやつだな!!!


「試作それなりにおいしくできたし!!」

「そりゃよかった。最悪ダークマターでも食べるつもりではあったんだが」

「そのレベルだったら素直に買いますけどっ」


 失敗してセリスに泣きつくまではしたけどねっ!?それだってダークマターにはならなかったからねっ!?


「楽しみにしてる」

「それなりくらいの期待度で頼むね!お菓子作ったの初めてだからさっ!」


 美味しさもそれなりなのでな!

 試食係おとうさんが何か連日微妙な顔してるけど、気にしないことにしている。味は普通のはずだ。


「本命チョコなんて、貰うの初めてだからな」

「……孝宏、モテそうなのに」

「ないない」

「絶対怒らないから素直に教えて欲しいんだけど、彼女とかどれくらいいたの?」

「いねえって。男友達とバカ騒ぎばっかしてたし、家ではずっと柔道かゲームだったし。バレンタインは、ダチがモテるから俺もオマケで貰うことはあったけどな」


 それ、孝宏が本命に気付いてないだけじゃないか?

 まーいっか。孝宏的には初めての本命チョコってことだし!


「さって」

「んー?」

「悪い、まだ課題が残ってて」

「ああ、そっか。頑張れ」

「17日で全部終わるから、そしたらどっか行こう。行きたいとこ考えといてくれ」

「ん、分かった」


 孝宏はそう言ってログアウトして行った。


ニンカ「セリス〜チョコが上手く作れないよ〜〜」

セリス「ええと、何を作ろうとしてますか?」

ニンカ「普通の、溶かして型に入れて固めるやつ……」

セリス「なるほど、油が浮いちゃいますか?」

ニンカ「そうなの……」

セリス「じゃあ温度管理が出来てないですね。もう日もないので、一旦諦めて生チョコを作りましょう」

ニンカ「難易度あがってない!?!?」

セリス「いえ……多分ニンカさん勘違いされてますが、溶かして固める工程(テンパリング)は、チョコレート菓子の中で最難関の1つです。生チョコの方が難易度はずっと低いです」

ニンカ「うそでしょ……」

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