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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
十三章 バレンタインのメッセージ

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13-6.大切な貴方へ

 談話室の大きなテーブルに、メンバーが数人座っていた。


「ふへへ、リアフレに自慢しちゃろ」

「それはどうなんだよw」

「ギルドメンバーにもらった義理チョコ自慢するって逆にさみしくないか?」

「そういう事言わないの!」

「あ、リーダーおつ~!」

「おう、おつかれー」


 ぽんすけがこっちに気付いて声をかけてきた。

 他のメンバーとも挨拶を交わして輪に加わる。


「なにしてんの?」

「バレンタインチョコ!」

「ああ、セリスのか」

「そうそう!これみんなメッセージ違うんだよ!すごいよね!」

「あれそうなのか。やべ、メッセージ見てねえわ」

「は?ひどくない?」


 おもちの非難の声に苦笑する。いやそうなんだけどさ。


「今一時的にフレンド外からもチョコ受け取ってるから、ログ一瞬で流れちゃうんだわ」

「あー」

「俺ね!また遊んでくださいって書いてあった!」

「ふふふん。剣のエンチャント助かりましたって書かれてるぜ!覚えられてるぜ!」

「まあ今んとこ一番羨ましいのはニンカだけどな」

「大切な友達へ、だろー?麗しいよな~」

「可愛い女の子同士の絡みとかいくら有ってもいいですからね!」


 そこの百合好きは。本人には言ってないとは思うけどちょっと自重しろ。


「結構気使わせちゃってるなー、無理すんなって誰か言った?」

「みんな言ってる」

「うち今トラ小屋いれて60人?70人?いるから結構大変そうだよね」

「けどまあ、本人的には挨拶回りのつもりっぽいから、止めんのもなー」

「ああ、そういうやつなの」


 俺もメッセージを読もうとログを遡る。

 遡っても全く出てこない。


「うん、一度も喋ったことのないメンバーもいるからこれを期に一回くらい喋っておきたいって言ってた」

「頑張ってんなあ」

「話しかける時めちゃめちゃどもってるから、絡み少なそうなやつにはそっちから声かけてやってって一応言ってる」

「ああ、さんくす。しかし急に始まったな」


 死ぬほど長いログを遡るより、セリスからもらったチョコを探すほうが早い気がしてきた。

 プレゼントボックスも全く同じ見た目のチョコレートが並んでるけど。


「まあ始める前にニンカとなんか喋ってたし、ギルメンの名前がわからん相談でもしてたんじゃね?」

「あんま気にしなくていいのにな」

「僕未だにトラ小屋のメンバーの名前わかんねーわw」

「覚える気がねーだけだろこないだケンさん名前覚えられてなかったってちょっと凹んでたぞ」

「そろそろおぼえてやってなー」


 ―――――――――ん?


「リーダーはさっきからコンソール見てるのはログ?セリスちゃんのあった?」

「あ、あー……そうなんだけど、ちょっとログ見つかんねえわ。今度プレゼントボックスちゃんと探す」

「ちゃんと読めよ~」

「わーってるよw」


 あちらでもこちらでもセリスのチョコレートが話題になっていて、タイミング悪く受け取れていないメンバーはひどく悔しそうにしていた。


 今度モンク教えて下さい

 〇〇ありがとうございました

 ほしい素材があったら教えて下さい


 グライド宛は「ニンカさんと仲良くね」だった。


 各人宛に色々考えて書いているらしい。



 ・・・



「って感じで、ギルドがセリスのチョコレートの話題一色だわwロイももらった?」


 ワークスペースでロイと話す。


「ああ、もらったな」

「メッセージなんて書いてあった?」

「…………トリプルキャストバレット無理でした、だそうだ」

「なんだそれwwww」

「サブキャラでメイジを作ったらしい。ブラマジにするかセージにするかで他のメンバーの意見が割れていて職安で色々やっているようだ。それにしても、全員違うメッセージはなかなか凝っているな。君の方は何だった?」

「あ、あー……、実はログ超速で流れちゃって見つかんなくてさ」

「ああ、季節プレゼント受け付けているからか」

「そうそう。むしろなんでロイは読めんの?」

「文字は何でも読んでしまう。むしろ読まないということが難しい」

「一瞬でも読めんのはすげーな」

「アンチコメの類もすべて見えるから、便利かは微妙なところだけどな」

「……お前が気にするなって言うから言わないようにしてっけど、ほんとにメンタル面大丈夫か?」

「全くとは言えないが、さほど問題ない」

「相変わらずの寝れば平気派か」

「そうだな。まあ眠れないとだめらしいと言うのは最近知った」

「寝れない状態になったらなる早で教えろ」

「分かってるよ。……セリスのチョコレート、メッセージちゃんと読んでおけよ。さすがに不憫だ」

「わーってます!ちゃんと探すよ!」

「お疲れ様で――――どうしました?」


 打ち合わせの時間になってドリアンが入ってきて、仕事が始まった。






 部屋に一人、EFOからローカルストレージに落としたログを開く。

 文字検索を引っ掛けていく。セリスに言及するメッセージが異様に多いので結構数引っかかるけど、プレイヤー名としては間違いなく一人だった。


「見間違いとかナリキリじゃねえのか……」


 他のメンバーへのメッセージは、なんと言うか、無難だった。

 ……これ話題にしていいのか?だめでは?


「あー、だめだめ」


 パシパシと頬を叩く。


「アラサーの勘違いはキモいぞ」


 声に出すとちょっと落ち着いて、ログを閉じた。




 フレンド:セリス から バレンタインチョコレート が届きました♡

 メッセージ『大切な貴方へ』



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― 新着の感想 ―
[一言] リーダーお前…… ホワイトデーまでにはちゃんと気付かないと流石にセリス可哀想だ… 初恋はほろ苦いというけど、これは苦すぎるよ…
[一言] 好感度を稼ぎつつ、そっと本命を忍ばせる……十分作戦勝ちなはずなんだけどなあ_(:3」∠)_w
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