第十一話 大問題
申し訳ありません。
今話には、所謂「両性具有」的要素が出てまいります。
ソフトに書いているつもりですが、苦手な方はご遠慮ください。
ケヘルさん自身はもう何ともないとは言うけれど、叡竜に負わされた大怪我のこともあるので、もうしばらくは、ケヘルさんの家にお世話になるつもりだったのですが。
「出発するのなら、早い方が良い。準備でき次第、レントに向かいなさい」
昨夜、そう強く勧めてくれたので、明日出発することになった。
ケヘルさんが、一緒に行くと言ってくれたのだけど、レントから一人で帰る途中にまた魔物に襲われたらと心配だったので、丁重にお断りしました。
「そんなこと言ってたら、これから私はどこにも出掛けられない」
ケヘルさんは苦笑いしていたけどね。
さすがに、あんな怪我の後では心配になるってもんでしょ。
異例中の異例で、そうそうあることでは無いと言われてもね。
俺が一人で行くのは危険なのかというと、叡竜を一撃で倒せる力を持っているならば、まず問題は無いらしい。
それならば尚更一人で行くってもんですよ。
過信しているのかな?
ちょっと心配。
ということで、今日は一日準備に充てることにする。
準備といっても、持ち物も少ないので、すぐに終わるのですけどね。
レントには、朝早く出発すれば夜には到着できるとのことなので、旅支度という程でもないしね。最低限必要なものはケヘルさんからいただいたし、昼前には完全な自由時間になっちゃいました。
それではと、日課の訓練を軽く済ませて。
今は2時ころ。
そうそう、時間といえば。
都合が良いことにこの世界、前世世界とよく似た暦、時間なんですよね。
秒と分の概念は無いのだけど、時間、日、年がほぼ同じ。週と月が違うと。
もう一つ、刻という概念がありますね。
こんな感じかな。
1時間は10刻。なので、1刻は6分になる。この世界に分は無いけど。
1日は24時間、1週は10日、1月は4週で40日、1年は9ケ月で360日。
1時間が前世と同じ時間だとなぜ分かるかというと、携帯電話についている時計ですよ!
比べてみたところ、ほぼ同じ。
おかげで、規則正しい時間行動をしております。
朝も目覚ましで起床と。
では、今日の2時からは初狩りです!
本当にそれなりの腕があるのか試してみないとね。
明日は一人旅だし、それからは一人暮らしだし。
早速、裏山に出発。
勇躍狩りに出たのはいいんだけど、拍子抜けしたね。
なぜだか、あまり遭えなかったし。
最初の1時間は遭遇せず。1時間を少し過ぎたくらいで、やっと1匹(1頭かな?)と遭遇するも、逃げられる。
その後、なんとか3匹を仕留めたんだけど。
ホント、あっけなかった。
1匹目は虎徹で一撃。豆腐を斬るような手応えの無さだったよ。
もちろん、刃に損傷は全くなし。
2匹目は水魔法で、親指大の先端を尖らせた水弾を放って一撃。
3匹目は火魔法で、球形の火の玉で一撃。
いずれも高密度、高速と威力を高めたもので、現時点で俺が扱える最高威力を誇っているとは思うのだけど、一撃とはね。
これなら、魔法も戦闘に使えるかな。
ただし、俺の魔力量は少ないので、このレベルの魔法となると、数発しか撃てないんですけど。
しかしなぁ・・・。
俺が強いのやら、魔物が弱いのやら・・・。
ちなみに、仕留めた魔物は猪を一回り大きくしたようなヤツ。
本当に魔物なのかな?
ただの野生生物だったりして。
一応1匹持って帰ったところ、正真正銘魔物らしい。
しかも、そこそこの強さだと・・・。
この猪風はグラノスという魔物で、弱い魔物ではなく、成人男性を軽く殺すだけの強さはあるとのこと。
ホントか?
グラノスの肉は美味らしく、2匹も捨ててきたのは勿体ないと、ケヘルさんが嘆いていた。
一応、魔法を使えるとは言ってないので、虎徹で倒した魔物以外は持ち帰りたくなかったんだよね。
そんな感じで、狩りを終えて、日が沈む前に帰ってきました。
明日は新たなる出発の日。
是非ともしなければならないことがある!
身を清めるのです。
そう、風呂に入るのだ。
この世界にやって来て、実はまだ一度も風呂に入っていない。
だいたいが、濡らしたタオル(布?)で身体を拭く程度。
たまに、桶に水を入れて頭からかぶるのだけど、あまりさっぱりした感じがしない。
石鹸もシャンプーもこの家には無いしね。
なので、近い内に風呂に入ろうと決めていたのだ。
明日は出発なのでちょうどいい。
まあ、風呂といっても、穴を掘って、魔法で砕いた小さい石を敷きつめて、水魔法で作った水を入れただけのものなんですけどね。さっき作っておいたんですよね。
あまり濁ってないし、いい感じ。
この水魔法で生成した水。
たまに飲んでいるのだけど、全く問題ない。
風呂にしても問題ないはずです。
ケヘルさんにグラノスを渡したらすぐに、裏庭に戻ってと。
さすがに水風呂は避けたいので、試しに低威力の火の玉数発を水の中にぶち込む。
いいねぇ!
魔力温存した甲斐があるってもんだ!
お湯になってるよ。
早速入浴。
おぉ~!
極楽だぁ~~~!!
こんな風呂でも、やっぱり風呂はいいなぁ~~。
などと楽しめたのはそこまで。
大問題が発覚!!
手で体中の垢を擦り取っていた俺の手が、下半身に伸びて大事な部分の下を・・・。
「っ!?」
なっ、なんだ?
何か覚えの無いモノが?
・・・!?
あってはならないものが、そこに・・・!
男性にはあるはずの無いモノが、そこに・・・!
・・・。
男性の大事なモノの下に女性のアレがありました・・・・・!
かなり小さくて、良く分からない程度だったんだけど、確かにそこにはアレが・・・!
この世界に来て最大のパニック、ショック、茫然自失、顔面蒼白!!
汗が止まらない。
でも、胸はないぞ。
平らだ。
全くの平面だ。
どういうこと??
胸は無いのに・・・。
ホントか?
夢じゃないよな??
・・・。
何で今まで気付かなかったんだ?
いや、そもそも、いつからこんな状態に?
前世では、もちろん違う。
こちらに来てからだよな。
最初はどうだった?
うーん・・・。
問題無かったよな。
こんな状態じゃなかったはずだ。
トイレに行く時も何も気付かなかったし。
水浴びの時も何も。
見逃してた可能性は?
・・・。
さすがにそれは無い。
気が付くわ。
なら、いつから?
昨日か今日か・・・判らない。
「・・・」
はぁ~、一体何なんだよ。
いつからだよ。
まいったなぁ・・・。
でも・・・今はいつからこうなったとか、どうでもいいよな。
そんなことより、問題はこれからだ。
どうすんだ?
どうなるんだ?
ちょっと、落ち着こう。
深呼吸だ。
「ふぅぅぅ」
大きく息を吐いてと。
こんなことで冷静になるわけないけど、少しはましか。
まず、あれだ。
え~~~。
思考的には、男だよな。
女が好きだし。
あそこも、あそこも・・・。
うん、大好きだ!
男は・・・。
おぇ~~。
気落ち悪ぃ~。
そんな気は全くないぞ。
とりあえず、良かった。
欲的にはどうだ?
・・・。
そういえば、こちらに来てから、そういう気持ちが湧いてこないな。
25歳、いや、14歳男なのに・・・。
でも、ありえない体験の連続で、それどころではなかったし。
疲れていたし。
うん、そうだ。
疲れていたんだから仕方ないよな。
だから、おかしくない。
で、そういう欲求は・・・。
・・・。
うん、大丈夫。
ある。
確かにある・・・はず。
でも・・・。
サニア村でビキニ美女見た時・・・。
それ程でもなかったような・・・。
でも、気持ち的には、盛り上がったよな。
思わず・・・、ってな気持ちになったよな。
いかん、これは、もう今すぐ検証だ。
傍に置いてあったスマホを取り出して。
確か、それらしい写真や動画を保存してたはず。
・・・。
何と言っていいか・・・。
安心と落胆と・・・。
まあ、少しだけそういう欲求もあるかな・・・ってところだ。
・・・うん。
悪くないじゃないか。
前向きにいこう。
俺は女が好きだし、男に興味は無い。
大丈夫。
俺は男だ。
・・・。
男なのか?
主人公の肉体的特徴を不快に思われた皆様。
申し訳ありません。
主人公は、これからも男性的思考、行動をとっていきます。
ハンデを負った男性と思っていただければ幸いです。




