隠しておきたい。―望乃夏
「ん、ここが私たちの部屋………………」
「わぁ………………」
と美鳥ちゃんが歓声を上げると、続いて月夜ちゃんが
「お、おじゃまします………………」
と、恐る恐る足を踏み入れる。………………いやいや、そんな怖がらなくても………………別に普通の部屋だからさ。
「もうっ、望乃夏。食べたゴミぐらい片しときなさいよ………………人が来た時に困るからって言ってるのに………………」
そう言って雪乃が、アイスの空きカップをゴミ箱にぶん投げる。それを見て、新入生二人がビクッと肩を震わせる。………………………………い、ちやいやいやっ、とって食ったりしないから、もっとリラックスしてよ………………。そ、それにしても、文化遅いなぁ………………
「雪乃、ちょっと来て。」
何かしら?とトコトコ寄ってくる雪乃を給湯スペースに連れ込む。………………途端に雪乃が慌てだす。
「の、ののかっ………………ここではマズイって………………ほら、新入生達にも見られちゃうし………………」
「雪乃はナニを勘違いしてるのかな!?………………まぁ、今夜はシてみたいかなとは思うけど………………………………ってそんな話じゃないからね!?………………ほら、こないだティーカップ買ってきたじゃない?あれ、どこに仕舞ったっけ、って。」
「そ、そんなことって………………望乃夏、約束よっ。今夜………………ね。」
雪乃がひとしきりモジモジすると、一つ咳払いをしてから周りを気にして、
「………………ああ、あれならそこにきちんと仕舞ってあるけど………………どうして?」
「………………いや、月夜ちゃんがなんか緊張してるみたいだからさ。………………みんなにリラックスしてもらおうと思って。」
「………………ふぅん………………?」
雪乃の顔が一瞬だけ曇ったように見えた。だけど、それからすぐに、
「いいわね。それなら望乃夏のアールグレイの方がいいかしら。………………でも望乃夏、ミルクの買い置きあったかしら?」
「あ、忘れてた。………………うーん、ストレートって苦手な子いるかな?」
「一応、聞いてみた方がいいかもしれないわね。………………かと言って私のレモンティーは………………夜には飲みたくないわね。」
「………………そ、そうだよね………………でも最近は雪乃に起こされることも無くなったよね。」
「の、ののかっ………………………………ま、まぁ最近は暖かくなってきたし………………望乃夏にからかわれるの嫌だし………………」
「そっか…………………って、早く準備しないとね。にしても文化遅いなぁ………………」
雪乃に言われた通りの場所を探すと、真新しいティーカップが4つ並んでいた。その中から3つ取り出して、手早くポットのお湯で温めていく。
「たっだいまー。………………あれ?雪乃と墨森ちゃんは?」
「ん、ここここー。」
ひょこっと顔を出すと、
「お?そんな狭い所でなにしてんの?雪乃とえっち?」
「してないわよっ!?」
雪乃もつられて顔を出す。
「はっはっは、冗談だって。」
「………………………………もう。」
雪乃はぷりぷり怒ってベッドに腰を下ろす。
「………………………………って、あんたたちはなんで望乃夏のベッドいじってんのよ!?」
「いや………………なんでこっちのベッドはぬいぐるみ置き場みたいになってるのかなって………………これどうやって寝るんです?」
「の、望乃夏はスリムだから………………それぐらい空いてれば寝られるのよ………………。」
雪乃………………流石にそのスキマには寝れないって………………
「最近はそっちのベッド使ってないからね。2人のぬいぐるみ置き場になってるんだよ。」
「ちょっ、望乃夏!?」
………………ほへ?………………………………あっ!?
「えっと、それはつまり」
「ふぅん?」
「一つのベッドで一緒に寝てるってことですの!?」
「み、美鳥ちゃん!?」
なんで急に身を乗り出すんだい!?
「いやいや、この二人の場合それだけじゃ収まんないからね〜?」
「えっと………………………………そ、それはつまり………………」
「い、いけませんわ………………そ、そんなこと………………」
あ、美鳥ちゃんが倒れた。
「あちゃー………………そこまで耐性ない子かー………………」
文化が頭をかく。………………まぁ、これが普通の反応だよね………………
(………………雪乃、どうしよ………………)
(………………今夜のこと?)
(………………うん。………………なんか、気まずいけど………………)
(………………………………私はいいけど………………)
そんな中、ボクと雪乃は気まずい雰囲気をよそに深刻な相談をしていた………………




