最終章 おまけ③
はい、長いおまけですね。
ここまできたらおまけではなく、エッセイにもできそうですね。
でも、おまけでいいんです。
だって、一布が語りたいことを語っているだけなんですから(・∀・)あはははははははははははははははは
それではどうぞ。
【設定および裏設定について】
本作での設定といえばこれしかないですよね。クロマチン能力。刑事部特別課にしても、公安特別課にしても、この能力があるからこそできた設定です。
本編と重複する部分もありますが、こんな感じ。
■クロマチン能力
細胞内には、染色体という遺伝情報を成すものがある。その染色体は、人間の場合は23対(46本)ある。そのうちの3対目と7対目のどちらか、もしくは双方に変質のある者が、クロマチン能力の素養者である。
3対目に変質がある者は、体内のエネルギーによって身体強化ができる内部型クロマチン。7対目に変質がある者は、体内のエネルギーを外部に放出して使える外部型クロマチンとなる。
外部型と内部型の双方の素養がある者もいるが、ごくごく稀。あまりに稀少で、一億人に一人しか出ないとさえ言われている。
クロマチン能力は、何もしなければ一生発現しない。特殊な注射を受けることにより発現し、その使用にはかなりの訓練を要する。
また、使用者の能力の差については、才能の根源がどこにあるのか明確になっていない。それこそ、アスリートの素質くらい不確定なものである。
ちなみに、クロマチンの名前の由来は、細胞内にあるDNAとヒストンから構成される物質から。
なお、作中の秀人、咲花、亜紀斗、藤山、他の隊員の強さの序列はこんな感じ。
・秀人>>>かなり高い壁>>>咲花≧亜紀斗=藤山>>>かなり高く分厚い壁>>>他の隊員
■先生
はい、この人に関しては、作中からは想像もつかない裏設定があります。
まず、どんな人物かと言うと。
幼い頃から正義感が強く、それが高じて警察官になった。
しかし、警察組織の内情を知るうちに、警察は正義の味方ではなく、ひとつの行政機関に過ぎないことを思い知った。
自分の職業に絶望しかけていたときに、少年課である先生は、一人の少年を補導した。
少年を迎えに来た母親は、開口一番で少年を罵り、引っ叩いた。挙げ句の果てに、「もう帰って来るな。どこかで死ね」とまで言った。
先生の中に燻っていた正義感が湧き上がり、少年に寄り添った。少年の家庭について調べると、彼は、両親から虐待のような扱いを受けていた。
すぐに児童相談所に報告し、少年は保護され、両親と引き離されて生活することになった。
先生は少年と交流を続け、やがて彼は普通の高校生となり、卒業し、就職し、まっとうに生きることとなった。
そんな出来事があってから、先生は、非行少年にもどうしようもない事情がある者がいて、正しい道に進ませればまっとうに生きられると知った。ただの行政機関に過ぎない警察。その中で、自分は、少年課という所属からダイレクトに非行少年と関わることができ、彼等のことを一から見守れると感じた。
とはいえ、全ての少年に対してそんなふうに思ったのではない。下らない理由で非行に走る者もいれば、そもそも理由なく非行に走る者もいる。本来の正義感から、先生は、そういった輩には手を差し伸べるべきではないと思っていた。
先生にとって、亜紀斗は、手を差し伸べるべき少年だった。先生が見てきた中でも、とにかく家庭環境が最悪な少年だった。だから、可能な限り寄り添い、味方になった。
本来、非行少年の更生は、保護観察官や保護司、更生施設職員が行う。そういった職に就く人には、三種類の人間がいる。1.心から非行に走る少年を更生させたいと思う人。2.「俺が立ち直らせた」と言いたい人。3.ただの仕事として、淡々と行っている人。
先生の存在は、1や3にとってはありがたく、2にとっては邪魔だった。だから、先生を嫌っている保護観察官なども結構いた。
こんな感じで、先生は、作中のような「どんな犯罪者も構成させようとする人」ではなかった。ただ、亜紀斗から語られるフィルターがかかっていただけで。
亜紀斗は先生を尊敬し、尊敬しているが故に盲目になり、そのため、先生を理解することから大きく離れてしまった。
ちなみにこの先生、割りと豪快で大雑把。作中で美しく語られている言葉も、実際の口頭にするとこんな感じ。
「償いってのはよ、許されることを期待するモンじゃねんだよ。お前は人を傷付けた。傷付けられた人は、一生お前を許せないかも知れねぇ。でも、許される許されないじゃねえんだ。お前が、壊した以上のものをつくり上げることなんだ。そうすりゃ、お前に傷付けられた人だって、お前の存在を必要だと思えるだろ。たとえ、お前を許してなくてもな」
実は先生は、切り捨てるべきと考えた犯罪者には一切関わろうともしなかった。
でも、自己評価が低く自分をクズだと思っていた亜紀斗は、自分を更生させたことから「先生は犯罪者みんなを更生させてるんだ」と幻想を抱いた。尊敬は憧れに変わり、憧れは目標になった。
・・・というのが、亜紀斗が警察官を志したきっかけである。
かなり前に死亡した先生を知る者は少なく、そのため、亜紀斗フィルターが掛かった状態でしか、周囲の人は先生を知ることができない。
結果、「素晴しい人」という先生ができあがった。
まあ、先生は、普通に正義感が強くて、普通に熱血漢のいい人なんですけどね。生きていれば、本来の藤山と息が合いそうなイメージ。
■亜紀斗の元婚約者
この人も先生と同様に、かなり亜紀斗フィルターがかかっている。
先生を亡くして塞ぎ込む亜紀斗を支えたのは事実。
でも、実は元不良少女。
ただ、弱い者いじめなどはせず、家に居場所がなくて、夜な夜な仲間とたむろしていただけだが。
もともと不良ネットワークを通じて、亜紀斗のことは知っていた。そんな亜紀斗が、喧嘩もしなくなり、夜な夜な歩き回ることもなくなり、真面目に生きていると聞いた。
家に居場所がなかった元婚約者は、何があったのか気になって、不良のネットワークを通じて亜紀斗に対面した。
そこから意気投合。二人で会うことが増え、付き合うようになった。
彼女は両親とのわだかまりも解決させ、家に帰るようになった。そこから猛勉強し、地元では難関の大学に進学した。目標に向かう亜紀斗に触発され、努力した結果だった。
そんな彼女だから、亜紀斗にとって先生がどれだけ大きな存在だったか、よく知っている。
先生を亡くして塞ぎ込む亜紀斗を支えようと、何度も亜紀斗の元を訪れた。自暴自棄になっている亜紀斗は、彼女に「もう構うな」と吐き捨てた。
彼女は亜紀斗の胸ぐらを掴み、言い放った。
「今は何もする気になれないかも知れない。だったら、落ち込むだけ落ち込みな。落ちて、落ちて、落ちて。底まで行ったら、もう這い上がるしかないんだから。それまでは、私があんたを支える。私があんたの面倒を見る。私はあんたの嫁になるんだから、それくらいさせろ」
「あんたは、どんなにドン底まで落ちても、落ちた以上に高いところまで昇れる奴だ。私の旦那になる人なんだから」
麻衣とはまったく違うタイプの、でも亜紀斗みたいな奴と一緒にいられるタイプの女性。
が、彼女も、亜紀斗フィルターを通じたことにより聖母のような女性に成り代わっている。実は肝っ玉母ちゃんという感じの女性なのだが。
・・・と、まあ。
こんな感じで裏設定まで書いたところで、またまた結構な文字数になったので、おまけ③も終了します。
滅茶苦茶長くなってますが、おまけは④で終了予定です。
ではではm(_ _)m




