表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/221

第百七十八話 ロリコンじゃなくて良かった

「やっぱりあたし、悟のことが結構好きかもしれない」


「そうか。ありがとう。明日にでもその話は聞くから、とりあえずラーメンをくれ。そろそろ帰るから」


「――告白されたのになんで動揺しないの? 童貞なの?」


「むしろ童貞は動揺するだろ」


 小娘の論理が理解できない。

 突然の告白も含めて、言動が意味不明すぎて戸惑った。


「童貞すぎて、告白されたことにも気付いてないのかなって」


「気付いてはいるが、意図的にスルーしたんだ。どうせまともな告白じゃないからな」


「にひひ~。それはどうかにゃ~」


 湾内さんはイタズラっぽく笑ってから、床にあぐらをかいて座り込んだ。

 俺も座りたいところだが……この家、椅子がないんだよなぁ。来客というものを想定していないのだろう。


「悟は座らないの?」


「君に何かされたらすぐに逃げ出せるように立っておく」


「……てか、あたしと悟の立場ってなんかおかしくない? 普通逆でしょ! あんたが警戒してるのって変じゃない!?」


「湾内さんが肉食すぎるんだよ」


 俺が変ではない。この子のキャラクター性があまりにもエロ漫画すぎるだけだ。

 まるで貞操逆転系みたいである。まぁ、読者としてはこういうキャラクターも好きだがな。


「何もしないって言ってるでしょ。さっきも言ったけど、悟のことは気に入ってるのよ……普通に嫌われたくないし」


「まぁ、俺も君のことが嫌いというほどではないぞ」


「ほら。そうやって、なんだかんだ受け入れてくれるじゃん。風子も、あんたも、人が良すぎるのよ」


 最上さんはたしかに、ちょっと過剰なくらいに善良だが。

 しかし俺は、意外と普通だと思うがな。


「湾内さん。君が思っている以上に、俺みたいな人間は世の中にたくさんいるぞ」


「は? いるわけないじゃんw こんなに露骨に誘っても平気で断る男っているわけないでしょ。だって、男の脳みそって下半身についてるんでしょ?」


「全員がそうだと思うなよ」


 真田才賀はたしかにこの子の言う通りだろう。

 たぶん、湾内さんは身近な男子があいつだから、それが基準になっているのだろうか。


 真田を基準に男性という生き物を理解してほしくなかった。


「湾内さんが考えているほど性欲の価値が高くない男性もいる、ということだな」


「何それ。謙虚アピール? あたしの好感度でもあげたいわけ? 今の状態でも十分に高いから安心していいけど」


「君の好感度なんて要らん。あくまで事実だ」


 残念ながら、湾内さんはあまりピンと来ていない様子だ。俺の言葉を謙遜と受け取ったらしい……俺が特別な人間ではないのは事実だ。ありふれたサラリーマンでしかないので、彼女の高評価は過剰だと感じていた。


「俺はちゃんと俗物だぞ。ただ、最上さん一筋なだけだ。あの子に嫌われたくない、という一心だな」


「そのためには、あたしの誘いも断れるってわけね」


「いや。君は単純に、女性として好みじゃないんだ。すまないな」


 俺はもっとムチムチ体型が好きだ。

 あと、メカクレ属性で黒髪の方がいい……まぁ、最上さんそのものが好みということで。


「酷くない!? わ、分からせてやりたい……悟の体に直接聞いてやろうかしら?」


 メスガキみたいなことを言うのはやめろ。本気で何かされそうで怖かった。

 変なスイッチを入れられると厄介そうなので、ここは速やかに話題を転換しておくことにした。


「そういえば、ミスコンの件はどんな調子だ? 最上さんとうまくやってるか?」


「――そうだ! ミスコンといえばっ」


 お。良かった、食いついてくれた。

 俺に好みじゃないと言われた直後は、こちらにとびかかってきそうな雰囲気を発していたが……ミスコンというワードで何かを思い出したらしい。


「ねぇ。あんた、さやを味方に引き入れたでしょ?」


「さやちゃんのことも知ってるのか」


 さすがストーカー気質。色々と把握しているらしい。

 ただ、俺を尾行して情報を収集したわけではなく、今回は別の方向からさやちゃんの存在に辿り着いたようだ。


「才賀が言ってたのよ。『妹がロリコンに騙されてる』って」


「俺はロリコンじゃない」


「ええ、知ってるわ。あんたがロリコンならあたしに食いついているはずよね」


 なんか、自分が幼女体型だと自覚があるタイプは不気味だな。

 それすらも巧みに利用してそうな感じがする……俺がロリコンなら、とっくにこの小娘に手籠めにされていたかもしれない。そんな気がした。


 とりあえず、ロリコンじゃなくて良かった――。

お読みくださりありがとうございます!

もしよければ、ブックマークや評価をいただけると更新のモチベーションになります!

これからも執筆がんばります。どうぞよろしくお願いしますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ