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大和型戦艦が活躍した世界  作者: 敵機直上急降下


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戦後から現代

戦後から現代


終戦後、満州は粛々と中華民国に明け渡された。

満州国は解体され、邦人は日本に引き上げる事になった。


軍は満州と朝鮮半島の国境まで下がり、予想された共産化の波に備えた。

もちろん停戦がなったため、動員は解かれ兵士は復員していった。


政府は総力戦、根こそぎ動員で死力を尽くした国民に報いるため、民主化を進める事にした。

その事は米英も支持しており、国際協調という陛下のお気持ちにも沿うものであった。

女性参政権もその一つであり、それらは台湾や朝鮮半島にも適用され、外地人といわれた人々も日本人同様の扱いがなされるようになった。


憲法が改正され、戦時内閣の最後の仕事となった。


民主化に伴い、国民の世論がより政治に影響を及ぼすようになっていった。

そしてそれは総力戦を戦った事で、戦争はもうこりごりだ、大陸に手を出すべきではない、といった民意が反映され政府の方針となっていった。

また、大陸での軍の独断専行が改めて問題視され、綱紀粛正が行われた。


満州事変以降の支那事変・三国同盟締結も問題視され、アメリカと戦争になった一因だと関係者は責任を問われた。

かつて南進を主張していた永田鉄山元首相も、この事を機に国防大臣を辞任している。

そう、永田鉄山は暗殺を免れ対米戦で首相に就任していたようだ。


まあ、夢の中のおじさんに歴史の年表一覧を見せていたので対応していたのだろう。

犬養毅も高橋是清も暗殺されていない。

それどころか、五・一五事件が起きてない。

海軍内でどうにかしたのだろう。


永田鉄山を助け、二・二六事件から高橋是清を救い、海軍は政治力を強めたのかもしれない。

それが大和型戦艦4隻建造と仏印進駐回避だったのだろうか。



戦後日本は莫大な債務と貿易赤字を抱えていた。

インフレと大増税の始まりであった。

それでもその後の国共内戦に乗じて、日本の経済を立て直す事に成功したようだが。


中国と停戦後、中華民国に武器などを売り、食料と資源を輸入していた日本は、終戦後そのまま国共内戦で儲ける事になった。

アメリカが中華民国を支援し、ソ連が中国共産党を支援し、中華民国に近い日本にアメリカからの発注も相次ぎ、大いに日本は潤った。


日本の予測どおり、ソ連に近い満州は中国共産党に奪われ、中国の北部は共産化した。

日本は自治州化した朝鮮半島の防衛強化と、共産化させないための施策や教育を行っていった。


数年に渡る国共内戦は、米ソの代理戦争の様相を呈していたが、終盤に中国共産党が優勢になり、中華民国に米軍が直接関与し始め、劣勢を覆すため核兵器が使用されるまでに至った。

その破壊力は凄まじく、国共内戦は中華民国がある程度領域を取り戻した段階で、休戦を迎える事になった。


ソ連が核実験を成功させたためである。


核兵器保有は、米ソの後、イギリス、日本、フランスと保有していった。

イギリスは早くに終戦を迎えていたため、核保有が早まっている気がする。

日本は海軍が中心となり、研究していたようだ。


核兵器が使用されたことで、戦艦の戦略兵器としての歴史が幕を閉じる事になった。

しかし戦艦は、各国で近代化改装が続いており、現役の兵器でもあった。


核兵器は各国が保有する事で牽制しあい、うかつに核兵器を使用できない情勢が出来上がっていった。



宇宙開発はドイツが先行し、アメリカとソ連がそれに追随。

英日仏がそれに続いた。

第二次大戦後、米英はドイツのロケット技術者には興味を示さなかったからこうなったと思われる。

夢の中のようにV2ロケットが、使われなかったからだろう。


日本も研究はしていたが、戦中の莫大な債務等の影響で、開発が遅れたと思われる。



夢の中同様に北ベトナムが独立し、ベトナム戦争が起きて、また日本は好景気に沸いた。


それが数年続いていた頃、日本でとあるアニメが作られた。

大和型戦艦が宇宙戦艦に改装され、人類を救う物語であった。

ただでさえ人気のあった大和型戦艦の人気が、さらに高まる事になった。


そんなアニメを視聴していた世代が政財界の上に立つようになり、大和型戦艦が現役であり続ける事を望んだ。

近代化改装がなされ続け、大和型戦艦を脅かす兵器に対する対抗策が常に模索され、研究開発に余念が無かった。


第二次世界大戦当時、戦艦を脅かすものに対し制空権を持って対応した。

現代では制空権はもちろんの事、海中を含む制海権や制宙権も考慮され対応していった。

それはつまり、常に最先端の研究開発が求められ続ける事であり、政府は投資を怠らなかった。


結果、日本は世界最先端の技術を保有する国であり続ける事になり、それに引っ張られる形で経済も成長を続けていった。

一方で国民生活は、金持ちなどは稀で大多数が庶民であった。

徴兵制度は残っており、軍事費もそれなりであったため、夢の中のように中流階級といった階層は増えなかったようだ。

また、少子化なども問題になっていない。



世界ではいまだに戦艦が現役である。

夢の中の記憶がある私から見ると異常に思えるが、戦艦がある事で維持費が嵩み、戦艦保有国の足を引っ張るという役目を果たしているように思える。

もし戦艦が不要な時代となっていたら、夢の中同様アメリカ一強の時代が来ていた事だろう。

アメリカの戦艦保有数は世界一であり、掛かる維持費も相当なもので、いい足枷となっているように見える。


現実では、第二次世界大戦でイギリスが力を維持したまま終戦し、現代でもアメリカに次ぐ軍事力を保有している。

冷戦期のソ連は強大に見えていたが、今では総合的に見れば日本と横並びといった印象だ。次いでフランスと再建されたドイツになる。



いつまで大和型戦艦の時代が続くかは分からないが、少なくとも今は大和型戦艦が現役の時代である事は確かだ。

もし今の首相が、大和型戦艦は金が掛かるから廃艦にしますと言おうものなら、与野党連合して内閣は倒されてしまうだろう。そんな時代だ。


私としては夢の中の記憶があるせいで、この現実の見方が変わってしまったが、悪くは無いと思っている。

日本は平和だし家族もまあ普通だし、食うに困らないし、夢の中ほどではないと思うが娯楽もあるしね。

お読みいただきありがとうございます。

評価・ブックマークしていただき大変嬉しく思います。


現代でも現役を張れる戦艦となると、とんでもなくお金が掛かりそうですよねw

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