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フォルトゥナ・エクスプローラ・オンライン  作者: 須藤 晴人
第六章: とにかく借金返済!

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006_05_ようやく復帰探検家

「あれ? 何か広くなってる……?」


 ギルドの拠点に戻ってきて、酒場のような空間を見渡してみると、ずいぶん雰囲気が変わっていた。ついこの間拠点づくりをしたときは、この半分くらいの大きさだったと思うんだけど。中に並んだテーブルの数も増えているし、そこにはなんだかずいぶんたくさんの、わたし達がデザインしたマントを着た探検家がいて、活発に話し合いをしていた。


 制服を作ったのはついこの間だと思ってたけど、そんなことはなくて。わたしの知らない間に拡張して、人も増えたみたいだ。だけど、知らない人ばっかりって言うのもなんだか居心地が悪いかも。


 どうしていいか分からなくてきょろきょろしていたら、ホールにいた人々の視線が一気に入り口の方に向いた。みんなざわついている。なんだろう?


「あっ、ジョーさん、リカさんもお帰りなさい!

 今日のギルド連絡会議、どうでしたか? あの話、どうなりました?」


 見れば入り口のところにジョーとリカが立っていた。ジョーは相変わらずイケメンな上に、なんというかギルドのトップをやっているという風格が漂っている。ついでにマントもちょっとわたし達一般のより長く、装飾も豪華で偉そうな感じのに変更されている。


 それにしても、あの話ってなんだろう?


「喜べ! いよいよ解禁だ!

 奴らを倒せば街の支配者として、港を含む色々な施設が使えるようになるし、違反プレイヤーの取締や特別なクエストも受注できるようになるって話だ!」


「おぉおお! よし、みんなで頑張りましょう!」


 ジョーの言葉に何か盛り上がるギルドの人々。なんかよくわからないけど、イベントがあるらしい。


 ていうか、わたし完全についていけてない。ジョーやリカが、すごく遠い人に感じられる。どうしよう、やっぱり間が開いてしまうとだめかも。


「お、リン。戻ってきたんだな! だいぶギルドも大きくなって、ビックリしただろ? 今次のイベントに向けて頑張ってるところなんだ。戻ってきてくれてうれしいよ。

 今日はセイ、いないけど、確か明日来る予定だから……そうだ、もし暇ならセイと一緒にクエスト頼めないか?」


 不安になっていたところに、ジョーが声をかけてくれた。遠くにいってしまった、と思ったけれど、そんなことはなかった。相変わらず面倒見がいいというか、イケメン力の高い人だ。話しかけてくれてすごく嬉しい。


 周りの人が「え、あいつ見たことないけど、ジョーさんの知り合い?」みたいな感じでざわついている。


「明日はヒマだから、大丈夫だよ」


「じゃ、頼むよ」


 そういうとジョーは上の階へ上がっていった。わたしもそろそろログアウトしよっと。と、二階にいこうとしたところで、近くにいた男性が怪訝な顔で声を掛けてきた。


「あのー、あんたジョーさんとかセイさんの知り合い?」


「え? あ、うん。そもそもセイに誘われてフォルトゥナに来て、一緒に仕事してたんだけど、この間の開拓村整備の仕事で借金負っちゃって、今まで返済してたんだー」


「ふぉおおお……! そうだったんですか! セイさんのお友達……!!」


 突然興奮して目を輝かせニヤニヤする男。うわー、どうせわたし経由でセイと話したいとかそういうことかな。まあ、あんまりいいことは考えてなさそうだから、さっさと逃げよう。


「じゃ、わたしそろそろログアウトしなきゃなのでこれで」


 そういって足早に、ちゃんとまだ残っていた自分の部屋に向かい、ベッドに寝転び目を閉じる。いつも通りに意識が途絶え、わたしは無事ログアウトした。


 よかったあ! ちゃんとギルドに復帰できたぞ!!



 ……けど、思い返してみるとホント、なんだったんだろうな。変なことばっかりだった。


 借金返済イベント自体、なんのためにあるのか分からなかったけど、それ以上に分からないのがあの少女と遺跡らしきところの異変だ。


 レイさんはバグって言ってたけど、ホントにそうなのかな? 運営のレイさんも突然現れた彼女――それにタイラントドラゴンを倒した男もかな――の行動は全く把握できてないっていうか、何が起きてるのか探してる感じだったと思うんだよね。


 それに、何となくみんな――運営のレイさんだけじゃなくて、ソリドゥス南の遺跡で会ったマドカさんや教授、それにどういうわけだかカンも――少女や遺跡の異変、それに竜人のことを隠そうとしている感じだし。いくら未公開のイベント関連だから、って言っても、絶対変だ。


 それから竜人……わたし達より前からフォルトゥナに住んでいる人、だっけ。


 うーん……ホントはフォルトゥナはゲームの世界なんかじゃなくて異世界で、ホントの現地の人が知らずに紛れ込んじゃった、なんて考えた方が変な話だけどしっくりくるんだよね。


 だってそうだとしたら言葉通じないのも、彼らの行動が読めないのも当然ってことになるし。


 それに異世界だとしたら、ホントに肉体労働しなきゃいけないのも、そりゃ仮想現実じゃないんだからそうだよね、ってことになる。まあ、変な考えだって言うのはわかるけどさ。


 そういえば、前に本当に異世界にいるみたいってセイに言ったことがあったな。彼女には、そう思っちゃう人はいっぱいいる、でも異世界だとすると、自分たちが死なない理由とか、傷薬でさらっと回復しちゃうとか、やたら身体能力がアップしているとか、いろいろ説明がつかないことになってしまうからあり得ない、バカな妄想だって笑われたっけ。

 多分、それはセイの考えじゃなくてジョーに同じこと言われたんだろうと思うけど。でも、逆にこの辺が説明出来たら異世界だって言えるんじゃないかな。


 うーん、なんだろうなあ。異世界転生したときに神様がくれたチート能力とか、異世界にいる自分と瓜二つな人物に憑依しているとか? 父が捨てずに持っていた昔のライトノベルみたいな展開だなあ。なんかしっくりこない。


 ひょっとして、その辺が解き明かすべきフォルトゥナの謎、だったりするのかな?


 よし、考えてみよう。そのためには、もっとこの世界(フォルトゥナ)を知らなくちゃ。それに、彼ら竜人のことも。


 そうだ、もっともっと探検しよう!


いつもお読み頂きありがとうございます。ようやく復帰したら、ギルドの方でも新たな話が進んでいるようです。本章はこれで最後で、次からはまた友達と一緒にギルドの活動をしつつ、こっそりゲームの謎解明に挑みます。


今後の執筆の参考に、皆さまの忌憚ないご感想を是非いただけたらと思います。

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