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Heart〜生まれつき心の声を聞く能力を持った僕は、神様のまねごとで人との絆を紡いでいく〜  作者: くろくまくん


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本場のウナギ♪

ついにウナギ屋さんに到着したシン達。


さて、本場のウナギを召し上がれ。

 ウナギ屋さんに到着した。ちょうどお昼時くらいで賑わっていたが、道中で予約の電話を入れていたおかげで、待たずに入れた。自分の番の運転が終わったサトシはすかさずビールを注文していた。


「どうするどうする〜?この1番人気っていう、うな重セットにする?肝吸いもセットになってるみたい」


 ハーフサイズのうな重もリーズナブルだったが、せっかくというか、たまにしか来ないところだし、お腹いっぱい食べたい気もする。1番人気のうな重セットは3900円だった。確かに東京のほうだと、だいたい5000円は超えるので、まだお得な方かもしれない。


「俺、この特上うな重くださーい!」


 シュウジが頼む。サヤちゃんがすかさずそれに反応する。


「なぬっ!それ1番高いやつ!6000円もするじゃん!」


「こういう思い出ってね、お金では買えないものなの。もちろんノーマルのうな重より2000円くらい高いかもしれない。でもね、たまにしか来ないお店でせっかくの楽しい旅行。その時に食べた特上のうな重は、きっと何年経っても忘れない思い出になるよ〜!」


 まぁ、言われてみればそうかもしれない。ただ、一文無しのコイツが言うセリフではない。


「あのさー、お金ないくせに偉そうに言うなっての!」


 やはりサヤちゃんが食いつく。先に来ていたビール飲んでいたサトシが止めにはいる。


「まぁまぁサヤ。俺も特上食べてみたいなと思ってたし。せっかくだから、みんなで特上いっとく〜!?」


 サトシはきっと、運転の解放感と、ビールが入ったので、もうあまり気にしなくなったのだ。


「あはは。サヤちゃん、お父さんが出してくれるし、せっかくだから甘えちゃおう」


 というわけでみんなで、特上うな重を頼んだ。結果どうだったかと言うと…


 シュウジではないけども、ほんとにほんとに特上頼んでよかった。めちゃくちゃ美味しかったし、何しろボリューム感も全然違う。ノーマルうな重が1段に対し、特上は2段になっている。しかも、お食事のあとにはデザートも出てきた。


 そもそも、関東風とか関西風とか食べ比べたこともないから、違いはわからなかったんだけど、サトシの前情報通り、パリッとした食感で、それでいて中はジューシーで。特別、僕はウナギが大好き、ってわけじゃないんだけども、とにかく美味しかった。


 サヤちゃんもはじめの不機嫌なんてどこに行ったのかというくらい、ご機嫌だった。


「私幸せ〜!美味しいウナギを、しかもシンくんと一緒に食べれるなんて。また今度は2人でも来たいね〜」


 僕もそう思った。


「ごちそうさまでした!お腹もすごく減ってたのでホントに助かりました。あ、これからの行程は俺が運転するんで、みんなくつろいでくださいね〜」


 シュウジはフレンドリーだったり、横柄な態度かと思うと、急にしっかりしたような大人な態度をしたりもする。見た目チャラチャラした感じだから、それが余計にギャップですごくしっかりしてるように思えてしまうのが不思議だ。


「シュウジさん、ではお言葉に甘えてよろしくお願いします〜。元々運転もうできないけど〜」


 サトシは完全に、もう飲みモードになっている。高速に乗る前に缶ビールとハイボールとアテを買っていた。ウナギを食べながら、シュウジさんをどこで降ろすかを相談してたんだけど、奈良にはいって、天川に行く途中に、高速を降りたすぐのところに、榛原ハイバラという近鉄電車の駅があったので、そこで降りてもらうことにした。そこからなら天川まで1時間くらいなのと、駅の近くに大きめの携帯ショップもあるので、シュウジの携帯も復活できるということだ。


 ウナギを食べてお腹もいっぱいだったのもあって、浜松を出てから、僕もサヤちゃんも寝てしまっていた。目を覚ますと、高速を降りて、駅の近くまで来ていたようだ。


 車は携帯ショップの駐車場に停まっていた。シュウジは携帯の手続きをショップの中でしているようだ。そのうちサヤちゃんも起きた。


「今、榛原っていう駅の近くで、ここから普通の道で天川村まで1時間くらいみたいだよ」


「ん〜、よく寝た〜。あ、もうすぐ着くならサトコちゃんに連絡しとこっか?」


 サヤちゃんからサトコちゃんに電話をかけてもらった。まだ仕事中らしく電話には出なかったので、もうすぐ着くことをメールで送った。その間にシュウジが戻ってきた。


「シュウジふっかぁ〜つ!ホントに助かったよ〜!サトシさんもありがとうございました」


「うんうん、ちょうどあのサービスエリアに寄ってなかったら出くわしてなかったもんね〜、よかったよ」


「これで無事自分の力で帰れます。あっ、そうだ、シン。スマホに電子決済のアプリいれてる?」


「あー、うんうん、入ってますよー」


 決済アプリを開いてみせる。


「連絡交換ついでに、助けてくれたお礼を送っとくよ」


 連絡先を交換して、入ってきた金額を確認する…


 え。


「ご、ごじゅうまん…」


 気軽なピッという音とともに、僕のスマホに50万が送金されていた。


「なんか一度にできる送金額が制限あるんだってさ。あ、そうそう、俺の会社が大阪の本町っていうとこにあるからさ。明日もし大阪あたりも寄るならよかったら遊びに来てよ」


「この金額間違えてない??大丈夫!?これもらっちゃっていいの?」


「大丈夫大丈夫〜!お金なんて大事じゃないって言ったでしょ?それよりも大事なものがあるって」


 シュウジただものではない。なんか怪しい商売でもやってるんじゃないのか…


「あっ、怪しい商売はやってないよ。言っただろ、IT関係って色々儲かるんだよ」



 え。


 今、僕、口に出して言ったっけ?心で思っただけなのに。


 サトシが横から僕のスマホをのぞいてびっくりする。


「えっ!マジ!シュウジさんって超金持ちじゃないの?」


「いえいえ、そんなことないですよ〜。一応社長だけど、ほとんど個人でやってるだけだし」


「ありがとうございます。こんなにたくさんもらっちゃって…あ、明日はどうするかはわかんないんだけど、もし顔出せそうなら、本町?の会社行ってみます」


 シュウジに会社の名刺をもらっておいた。


 それよりも気になるのは…。


「んじゃまぁ電車乗って帰りますね!ホントに助かりました!ありがとうございました!シンもサヤちゃんもありがとうね。仲良くするんだよ〜」


 ちょうど来ていた、近鉄の急行に乗ってシュウジは行ってしまった。


 天川までの運転は僕がすることにした。横にサヤちゃん、サトシは後ろで寝転んでいる。


「シンくんのおじさん、割といい人だったね〜。はじめはすっごい不安だったけど」


「うんうん、僕もそう思ったよ。でもなんかいきなり50万ももらっちゃうと、びっくりというか、怖くなるんだけど…」


「なんかやばい商売してたりして〜。シンくん会社来いって言われてたけど、気をつけなよ〜」


 そう、僕はもらった金額以上に驚いていたんだ。


 たぶんなんだけど、


 僕の伯父さんのシュウジは、




 僕と同じ、心の声を聞く能力を持っている。




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― 新着の感想 ―
特上うな重6000円……高くて手を出せない……。 でも、サトシは奢ってしまうのか。太っ腹だぁw (´ε`) へぇ~、関西風は食べたこと無いかも? 高いから鰻を食べる機会が少ないんですよね〜。 宇奈と…
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