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Heart〜生まれつき心の声を聞く能力を持った僕は、神様のまねごとで人との絆を紡いでいく〜  作者: くろくまくん


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シンとシュウジ

関西への旅行中、静岡県浜松の手前のサービスエリアでたまたま出くわした、金髪にサングラスに片言っぽい日本語の変なオジサン。


しかもそのオジサンはシンの伯父だと言う。いったい誰なのか。


そして、無事にウナギは食べれるのか?

 いきなり現れた変な外国人風に装ったオジサンは、僕の伯父さんだと名乗った。


「え、え。誰ですか?」


 まぁ元々親戚づきあいもほとんどなかった家庭だったのと、両親も僕に何も話さなかったのもあって、両親の親類関係からは完全に無縁だった。なので、誰が伯父さんと名乗ろうが、叔母さんと名乗ろうが、すべて他人なのである。


「あー、まぁ俺が知ってるのはシンが幼稚園にも入る前くらいのことだから知らなくて当然か。俺の方はシンジとたまーに連絡取ってたからお前のこと知ってたけどな」


「あなた、オジサンだかなんだか、わかんないですけど、きちんと名乗るのが礼儀じゃないですか?」


 サヤちゃんが指摘する。


「あー、ごめんねお嬢ちゃん。あと、パパもすみません。俺は松岡マツオカ 修二シュウジ。こいつの父親 シンジの兄です」


「で、そのオジサンがなんでこんなとこで、変なカッコして、ヒッチハイクしてるの?」


「あっ、まぁまぁそれはおいおい話すんでとりあえず乗せてもらってもいいかな?こっち向きてことは西には向かってるんでしょ?奈良県てさっきも言ってたし」


 まぁまぁ強引な男である。父親とは似ても似つかない。が、僕の顔と名前を知ってるってことは、もし伯父さんではなくても、知り合いは知り合いなのかな…


「んー、まぁわかんないけど、とりあえず助手席に乗ってくださいな。早く行かないとお昼のウナギが売り切れてしまうよ〜」


「えっ!ウナギ!それは贅沢ですな〜、パパ。一応目的地は大阪なんだけど、行けるとこまで連れていってもらえたら、途中雑用でも運転でもなんでもするんで、申し訳ないんですけど、旅は道連れってことで、よろしくお願いします〜!」


 めちゃくちゃ調子がいい人だ。でも、なんだか憎めない感じなのと、現に心の中はまったく綺麗なので、何かを企んでいるとかもないみたい。こういう時は心の声を聞くことができて、よかったのかなとも思う。


 サヤちゃんは旅行の邪魔をされた、という感じでまだ不審がってはいるが、僕の親族っていうのもあって、あからさまには嫌えないような様子だ。運転しながらサトシがシュウジに話しかける。


「俺は進藤シンドウ サトシ。で、後ろの元気なのが娘のサヤです。普段は東京の練馬に住んでて、今はわけあってみんな一緒に住んでるんだけど、ちょうど旅行中だったんですよ」


「へぇ〜、そうだったんですね〜。シンがいつもお世話になってます。て、ほとんど関わってない俺が言うのも変か。俺はIT関係の仕事をしていて、普段は大阪の市内で勤務してるんです。で、仕事の関係でこっちに来てたんだけど、帰りに財布と携帯と、金目のもの全部やられてしまって…」


 こんな都会でもないところで、そんなことあるんだー!


「そりゃ災難でしたね〜。これから浜松に寄ったあとは、奈良県の天川村っていうとこに知り合いがいるんで、今日はそこで泊まろうと思ってますが、途中までなら大丈夫ですよ」


 いつもはちゃらんぽらんなサトシなのだが、もっとちゃらんぽらんなシュウジが出現したことによって、サトシがまともに見えてきている。


「でもさー、日本人なのに、なんでわざわざ外国人みたいなマネしてたの〜?」


 サヤちゃんが聞く。


「いやー、はじめ普通にしてたんだけどね。もうホントにびっくりするくらい誰も停まってくれないどころか、いないもんみたいな感じで。これはインパクトを狙わないと無理だなってことで、色々考えてみたわけ」


 芸人の考えかよ。アホっぽいんだけど、確かにインパクトはある。現にそれに引っかかってしまったのが、僕達だった。


「もぉ〜、そんなしょーもないことしてないで、普通に帰れる方法考えなかったのかな〜?」


「いやぁ〜、携帯もお金もないからどうしようもなくってね〜。あ、たぶん奈良県とかの都市部とかの携帯電話のショップとかで、端末の購入と俺のデータ復帰できると思うから、そしたら大丈夫♪」


「えっ!奈良県まで一緒に行くの!?私なんか嫌だなぁ〜」


「まぁまぁ、サヤちゃん。僕も、まだ信じられないけども、一応僕の親戚みたいだし。あとは困ってる人をほっとけないよ」


「おっ。シンはやっぱり優しいなぁ〜。シンジに聞いてた通りだよ。あ、ウナギのお店はもう少しで着くのかな〜?俺、腹減ってて…」


 まぁまぁろくでもない伯父である。送ってもらってるうえに、ウナギまで食べる気だ。


「んーとね、ウナギ食べれるお店は、さっきサービスエリアで調べて場所も見てたんだけど、あともう少しで見えてくると思うよ〜。老舗のお店らしいけど、割と手頃に美味しい炭焼きのウナギが食べれるらしい」


「わーいわーい!本場のウナギ楽しみだなー。なんか変なオジサンは余計だけど、シンくんに免じて許してあげる」


「うん、僕もちゃんとしたお店でウナギ食べるのって初めてだよ。なんか緊張してきたかも」


 サトシが説明をしてくれたところによると、ウナギの焼き方でも、関東風と関西風があって。関東は一度蒸してから焼くのでふっくらした食感、関西は蒸さずにそのまま焼くのでパリッとした食感だそうだ。今から行くところは関西風だそうだ。どっちも美味しそう。聞いてるだけでヨダレが出てきてしまった。


 かなり楽しみになってきた。

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