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Heart〜生まれつき心の声を聞く能力を持った僕は、神様のまねごとで人との絆を紡いでいく〜  作者: くろくまくん


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旅行の計画は楽しいな

ユキちゃんから母親の亡くなった事の真相や、自分の父親とのことを聞いたシンは、自分の独りよがりだった考えを見直した。


途中サトシから関西旅行の話を聞き、夕方にいつもの赤ちょうちんで集まることとなった。

 三角公園の近所の鉄塔で、ユキちゃんのお母さんの声を聞いたあと、そこを去る。またちょくちょくここには寄ってみようかな。もしかしたら僕の父親とのノロケ話を聞かされるかもしれないけど。


 17時にはすこし早かったけど、きっとサトシは来ていると思って赤ちょうちんに来た。


「シンくーん。早く早く〜!待ちくたびれちゃったよ」


 やっぱり来ていた。いつも思うけど、ホントにこの人、ちゃんと仕事してるのか。


「お疲れ様です。いきなり旅行ってどうしたんですか?」


「うんうん、あ、それはみんな来てから話そっかな。大将、熱燗おかわりと、シンくんにもおでん入れたげて〜」


 いつもの、ダイコン、たまご、こんにゃく、厚揚げの他に、ロールキャベツ、ちくわ、はんぺんも頼んだ。


「シンくんおつかれ!いやぁ〜、4月であったかくなってきても、やっぱりおでんは美味いね〜」


 きっと、年中何か理由をつけて、食べる気がする。この人の身体の栄養は、おでんから採っているのかもしれない。まぁ色々な食材があるから可能といえば可能なのか。


 はじめに頼んだおでんを食べているうちに、サヤちゃんとユキちゃんが到着した。2人とも着替えてきたみたいだ。相変わらず2人ともかわいい。


「シンくんおつかれさま。パパとの秘密の会合場所がここなのね」


「そうなんですね〜。私も聞いてはいたけど、来るのは初めてです。おでんおいしそ〜」


 2人はおでんと、飲み物は缶チューハイを頼んでいた。


「じゃあ、綺麗どころも揃ったところで、あらためまして…かんぱぁ〜い!」


 父親が言うセリフじゃないだろ。まぁサトシのこういうところが、いいところでもあるのかな。


「パパ、関西旅行ってどこにいくの〜?そういえば遠出自体ほとんどしたことなかったもんね」


「あっ、その前になんだけどね…申し訳ないんだけど、できればユキちゃんは今回留守番をしてほしいんだよ。フォトの依頼の方の、作業とまでは言わないんだけど、やり取りとかだけしといてほしくて…俺かユキちゃんじゃないとできないからね〜」


「あっ、そうなんですね。旅行いけないのはちょっぴり残念ですけど…それは大丈夫ですよ。私も留守番のほうがカホンの練習いっぱいできますし」


 やっぱりカホン叩きたかったんかい。あ、でもユキちゃん1人で留守番も危ないよな…


「旅行はパパと私と、シンくんの3人で行くのかな?もし、ユキちゃんがよければなんだけど、旅行中の間、コウヘイにうちに来てもらおっか?」


 ユキちゃんの顔が、少し赤くなるのが見えた。え、なんでだろう。


「えっ!来てくれたら嬉しいかも〜。でもコウヘイくんは大丈夫なのかな〜?」


「ゴールデンウイークあたりでしょ?まだ日にちあるし、無理でもあけさせるわ、予定」


 こういう時、サヤちゃんはとても頼りになる。確かにコウヘイくんが来てくれたら安心だな。


「うんうん、じゃあまぁそういう感じで行こうか。あ、旅行の理由なんだけどね、観光目的というか、一応仕事の目的もあるんだよね〜」


「仕事??」


「そうそう、仕事。ユキちゃんは一緒にしてるから知ってると思うけどね。少し前からやってみてる、写真撮影と背景の合成フォトを作るサービスでね。元々俺が撮っていた写真を使ってしてたんだけど、それが最近ネタ切れというか、もっと色々背景が選べたら、っていうリクエストも多くてさ〜」


 そんなことをしてたんだな~。楽しそうだし、すごいと思う。


「あっ、それで背景になるような景色の写真を撮りながら、ついでに旅行もしようっていう感じ?」


 サヤちゃんが聞く。


「その通り。ついでに地元の色んなお酒も飲めるから、いいことばっかりだろ〜」


「わぁ〜!あっ、関西の方に行くなら、サトコちゃんのいる天川村にも寄ろうよ〜」


「おっ、それいいねぇ!シンくんがお土産に買ってくれた、あのお酒は美味かった!景色もいいって言ってたもんね」


 結局サトシはお酒だけのような…まぁサヤちゃんも喜んでるし、天川にもまた行けるのも嬉しいな。


「お父さん、天川村に行くならタケばあちゃんも連れて行ってあげたらいいんじゃないですか?」


「あー、それなんだけどね、俺も少し考えてたんだけどね、サトコちゃんのこともあるし。ただ、タケばあちゃん、まぁまぁ歳だから、遠出はちょっとキツイと思うんだよね〜」


 まぁそれもそうだよな。天河神社でトオルさんに会わせてあげることも少し考えたけど…確かに何時間も移動したり、って考えるとしんどいか。


「じゃあまぁ3人で行くのがいいですかね」


「パパ、移動は新幹線?車?飛行機?」


「ん〜、費用のことと、やっぱいろんなとこ行きたいのも考えて、車だな。幸いみんな運転できるし、長距離のところは、交代で頑張ろうか。あっ、はじめの東京から奈良への行程は、俺が先に運転するね〜」


 ん?なんで先…?


「パパ、はじめに運転の順番済ませて、あとは飲んだくれるつもりでしょ…」


「さすがサヤ!よくわかってるね〜♪」


 ただ飲みたいだけかい!


「じゃあまぁパパの希望は聞いてあげるかわりに、静岡の浜松くらいまではパパが運転だからね〜」


「え、それってほぼ半分くらいじゃない…?」


 まぁ、そんなこんなで、仕事の撮影のためなのか、遊びなのか、ただ飲みたいだけなのか、メインの目的を見失いそうな旅行にいくことになったのである。


 サトコちゃんにも連絡したところ、本格的にゴールデンウイークが始まる繁忙期は旅館がかなり忙しくなるらしくて、もし調整できるならGWの手前あたりがいいという意見も聞き、GW数日前の朝から出発して、だいたい2〜3泊くらいしてから帰るということになった。その方が車の渋滞も避けれるもんね。


「ユキちゃんのことは任せてください!しっかり守るっす!あとゴミ出しの方と、依頼の方も任せてください!」


 コウヘイくんに、ユキちゃんのことと、ゴミ出しの依頼と、どうしても日にちが決まっている依頼だけお願いした。


「ゆっくり楽しんできてくださいね〜!サトコちゃんにもよろしくね」


 旅行の行程はざっくりとしか考えていなかった。練馬から奈良県天川までは、だいたい7時間〜8時間くらい、東名高速から名阪をずーっと、静岡、愛知、三重と走って行って、初日は天川村で宿泊予定。朝から出るので、途中静岡の浜松で、お昼ご飯にウナギを食べようという話が出た。


 天川で泊まった翌日は、大阪に行くか、神戸まで足を伸ばすか、そのあたりはその時の気分で決めようと言うことになった。サトシもサヤちゃんも、もちろん僕も基本的にはあまり深く考えないタチなのである。




そして、出発当日。

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