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Heart〜生まれつき心の声を聞く能力を持った僕は、神様のまねごとで人との絆を紡いでいく〜  作者: くろくまくん


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サトシとおでん

クリスマスイブの過ごし方で、サヤの機嫌を損ねてしまうシン。


女の子と付き合ったことがないシンは、ここで大人の力を借りることにした。

 前に番号を交換した名前を探す。えー、サトシサトシ…と。あ、あった。たぶんかけたらすぐ出ると思うんだけどな…


 プルル…


「どうしたん?シンくん」


 早。やっぱりすぐ出てくれた。


「こんばんは、お父さん。ちょっと相談がありまして…女心についてなんですけどね…」


「おっ、シンくんもすみにおけないね〜!まぁたぶんサヤのことなんだろうけど。ちょうど、おでんでも食べに行きたいなと思ってたとこなんだよ。今から来れる?」


「お、おでんですか。いや、僕もおでんは好きですけど、酒は飲めないですよ。どこ行ったらいいですか?」


「女心の相談といえば、屋台のおでん、って相場が決まってるんだよ、これが。あ、じゃああそこの商店街の終点から赤ちょうちんが見えるんだけどね、そこに来といてくれる?俺もすぐ片付けていくから」


 この人ホントに仕事ちゃんとしてるのか…いやまぁ、こういう時はありがたいんだが。この人は 進藤シンドウ サトシ。サヤのお父さんだ。あれから、何度か家にお邪魔したり、一緒に出かけたりして、そこそこに仲良くなってきたのだ。


 指定された赤ちょうちんの屋台のとこで待ってると、すぐにお父さんが来た。


「どーも!シンくんおつかれ♪」


 相変わらず人の良さそうなお父さんだ。サヤがいい子に育ったのがうなずけるような気がする。


「すみません、忙しいのに。ちょっと相談を聞いてほしくて」


 たぶん忙しくはない。でも、一応そこはそう言っておいた。


「全然大丈夫だよ〜、さぁおでん食べよ。おやじ熱燗たのむわー。あとダイコンとタマゴとこんにゃくと厚揚げね。シンくんも好きなん頼みな」


「あっ、ありがとうございます。僕も同じやつと…あとじゃがいもとスジ肉ください。あとあったかいお茶をお願いします」


 お父さんとは何回かおでん食べに行ってるんだけど、ここはこじんまりとした屋台で、4人くらいしか座れないようなとこなんだけど、ダイコンも染みてて美味い。素朴な味という感じなのだ。


「じゃああらためて。おつかれー。やっぱ冬はおでんに熱燗に限るわ〜。で、シンくん。女心がどうしたの?」


「いや、それが…」


 最近あったクリスマスの件のことを話す。


「あー、そりゃシンくんダメだわ。もう全然ダメ。うちの娘は割と強いというか、ハッキリ物言うタイプだから良かったけど、普通の子なら、何も言わずに離れていってしまうかもだったよ」


「えっ、マジですか…僕、女の子とお付き合いすることもなかったどころか、話したり接することもほとんどなかったもんで、ホントにこういう時、どうしたらいいかわからないんです…」


 サヤのお父さんは、優しくもハッキリした口調で、僕をさとしてくれる。なんか自分の父親とは違うんだけど、ホントにお父さんていう感じで、なんかいいなぁ。


「まぁそりゃ仕方ないよね…シンくんの場合、それがシンくんの良いところでもあるわけだ。んーとね、まず男とは。女とは。という話からしようか」


 え、なにそれ。でも、面白そうなので、そのまま聞いてみる。


「男とは、強くカッコよく、頼りがいがあるものだ。そして、女は、綺麗で優しく、女らしくあるものなんだよ。これは差別みたいな感じで、最近の世の中では言われたりするかもしれないけど、やはり男の役割、女の役割というのはあるんだ。その中でももちろん個人差はあるけどね」


 ふむふむ、なんとなくそれはわかる気がする。


「それでだ。それを踏まえて女心ということを話すと、女っていうのは、好きな男の前では特別でいたいものなんだ。自分が好きな人が、複数の女の人に優しくしたり、自分と同等くらいの扱いだった場合、やはり少し不満を感じてしまう」


 そういうものなのかな。


「もちろん、四六時中、自分のことばかり大事にして!とは言うことはないし、そんな女は自分勝手と避けられてしまうかもしれない。このあたりはバランスが大事なんだけどね。たとえば今回のクリスマス。こういうイベントごとはとくに、男子よりも女子のほうが気にするというか、とても特別に感じるのだ」


「ほぉ〜!」


「それでね。特別なイベントごとの時に、特別な扱いを受けることができたら、あぁ、私は大事にされてるなってきっと思うと思うよ。逆にそうでなかったら、がっかりしてしまうかもしれない」


「ものすごく勉強になります!」


「大将、熱燗おかわりねー。うんうん、だからね、あとはシンくんの気持ち次第なんだけども、サヤのことをシンくんも少なからず想ってくれているなら、そういう時は大事にしてあげてほしいんだ。もちろん毎日じゃなくていいよ」


「サヤちゃんのことは、僕も大好きです。なんていうか、気を使わず話せることも嬉しいし、思ったことを素直に伝えてくれるとこも嬉しいので、これからも大事にしたいと思います」


「あっ。もちろんだけどもね、一生サヤのことを面倒見るんだぞ!なんてそんなことは俺は言えない。俺自身サヤをちゃんと見てやれてなかったこともあったし。でも、そうやってサヤのことを想ってくれてる間だけでも、どうか大事にしてやってほしい」


「わかりました。あの…クリスマスって具体的にどうしたらいいんですかね…」


「えっ、それ皆まで言わすの。あー、まぁそうだな。まぁ最終的にどうとかは任せるとして。2人でディナーして、ケーキ食べて。あ、あとはプレゼントかな」


 ディナーと、ケーキと、プレゼント。よし、覚えた。


「あ、プレゼントは高価なものじゃなくてもいいと思うよ。シンくんが無理なく用意できる。大事なのは気持ちだからね」


「はいっ、ありがとうございます!ものすごく参考になりました」


「あはは。まぁ俺もそんなに経験豊富っていうわけじゃないから、おっさんの戯言くらいに聞いといたらいいよ。それでも少しでも参考になったんならよかったよ」


 それから、少しおでんを食べながら世間話をして、お父さんと別れた。今が12月14日だから、あと10日。お父さんに相談してよかった〜!


 サヤちゃんに喜んでもらえるように、頑張ろう!



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― 新着の感想 ―
ああ、この時期はおでん良いですね。 私はやはり大根ですね。 あとコブとかちくわぶも好きかな。 サヤちゃんのお父さん、色々と女心詳しいですね。 そうか、シン君は心の声が聞こえるから、女の子とはクリスマス…
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