16
16
校舎に着いたデブと美命はゼェゼェと荒い息を引っ提げて門を潜る。
大きいわけではないが小さいこともないその門を
潜り教室へと向かう。そこには全員が席についており、先ほど死に体だった夜見の姿も目視できた。
式神が先生の少し横に立ち、腕を組んでいた。
「えーと、昨日今日で戦闘をしかなりボロボロになった諸君には明日の入学式に備えてやってほしいことが二つほどある。と、言いたいところなのだけど、とりあえず遅いぞ二人とも。早く席につきなさい」
怒気のこもった口調で先生は怒った。
顔は笑っていたが目は怒っていた。
小さく頷くと二人は用意されている席に腰をおろした。
ごほんと咳払いをした先生はあらかたの日程を黒板に書き出した。
「まず一つ目。これは簡単だな。生きろ。この学校に入るにあたって生きるというのは何よりも大切なことだとしれ。これができないようではこれからの訓練で邪魔となる。心しておけ」
子気味よく震える子供たちを背に先生は話を続ける。
「二つ目だ。これは面倒だがやらねばならないことだ。鬼の首を持ってこい。なんでもいいこれは最重要な事柄だ。詳しいことはここでは省くがとりあえずホームルームが終わったら狩ってこい。以上だ」
その言葉を切ると先生は教室から出て行ってしまった。
ザワザワと騒ぎ出す教室で美命とデフは互いに顔を見合わせていた。
横目で夜見を見ると爆睡していた。先程の戦闘のの疲れというか痛みが完全に抜けきっていないようで息は荒い。
ご自慢の刀は机の上に乱雑に置かれている。
他の生徒たちはゾロゾロと教室から出て行き、残ったのは美命とデブ、そして夜見の3人だけになった。
「相変わらずここの連中は付き合いが悪いな」
デブがそう、陰口を言うが美命はそれを特に気に留めることなくズカズカと夜見の机の横に立つ。
「ねる子は育つって言うけど死にかけで寝ると人はどうなるのかしらね?」
そんな小言を言いながら夜見の体を揺さぶり起こそうとするが、揺らすたびに歯を食いしばり痛みに耐えている様子だった。
その様子をはたらかみていたデブは深く席に腰掛け腕を組んだ。
「美命これからどうする。スリーマンセルが今の俺たちには合ってるというか、ここの鬼のレベルは相当にたかい。おれ一人ではまず太刀打ちできない。無論雑魚もいるがそれ以外のやつが桁違いなのは周知のことだろう」
夜見を揺するのをやめた美命は深くため息を落とし少しだけ項垂れてみた。
もちろん美命やデブも先程の戦いの疲れが抜けているわけではないのだ。かなり力と体力を持っていかれてるし、尚且つ一番槍の夜見がこんな感じではここの連中とは戦いにすらならないと言うことも知っていた。
だからこそ、今は夜見を休ませてやらなくてはならない。
しかし、明日の入学式に鬼の首一つを一人一つと言われた時点で既に自分たちが遅れていると言うことも自覚していた。だからこそ功をあせるのだろう。
美命の額には大粒の脂汗が浮いている。
「どうする……ここから出て首を一つ持っていくことには変わりない。だけどしかし夜見を置いていくのはナンセンスだ」
デブが煩わしそうに美命に呟く。
それを美命はめんどくさそうに聞き流すと短剣を取り出し集中してながめている。
「デブ、あと一時間だけここで待とう。少しでも体を休めたいのは私もそしてお前も一緒だろう。少しでも休もう。それが今の私たちには必要だ」
目を細めて美命を眺めるデブは怒ることなく自前のハンマーを横に置く。机に寝そべりすぐに寝息をかきはじめた。
「私も休もう」
美命も後ろのロッカーにもたれ掛けゆっくりと目を閉じた。




