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ちょっと疲れた……
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村の外に出てみると火の粉が舞っている。
時期にここも業火によって燃え尽くされるだろう。
鬼が突き破った木の塀を踏み越え村の外に出た。
ここら辺はまだ燃えていない。
だけど熱風は肌に感じている。
ため息を一つ落し逃げるかのようにその場を去った。
◇
小一時間程歩きあの洞窟に戻ってきた。
苔は熱風によりいつもより乾いていて、過ごしやすい。
太陽は暗くて見えない。
黒煙は空高く上がっている。あそこにいた人達はどうなったのか? 検討はつくが私は考えるのをやめた。
未だに気絶している美帆を苔のベットに寝かせ私は洞窟の僻に座り込み見張りをすることにした。
リックから干し肉をいくつか取り出し小腹を満たした。
焚き火は全て灰になっており火がついている様子は全くない。
手をかざすと少しだけ暖かかった。
「まだ、生きてるな」
洞窟の少し入った所に薪がいくつか置いてある。
それをすでに消えかけた灰の中にいれ、息を吹きかけた。
ブォワッと白い灰が舞いちいさな火が薪の割れ目ちいさな火が付いた。
よし、と小さくガッツポーズをし、小さくいびきをかきはじめた美帆を遠目で眺めるのだった。
「それにしてもよく燃えるな……」
少し暖かい……眠るかな。
小鳥が鳴き、朝が来る。
緑色の葉の隙間から柔らかい太陽の日差しがふってくる。
目を開けて辺りを見渡せば、一面の焼け野原。
どうやらここら辺一帯はあの火事で燃え尽きたらしい。
白くなってしまった地面を棒でつつき、熱くないかを確かめた。
よく分からなかったので、終いには手で触ってみることに。
「あんまり熱くないな……燃焼結構早かったんだな〜」
まだ口が開ききっていない寝起き声で話しているので聞き取りづらい。
洞窟の奥に目をやれば、未だにいびきを立てて寝ているあの子の姿。どうやら煙でやられなかったらしい。ま、あの子が死んでるなら、私も死んでいるか……。
眼を覚ますため、苔のささる腰をゆっくりと起こし、背筋を伸ばした。
「おーい、美帆行くぞ!」
「…………は、い」
私の声で起きた彼女は、瞼をこすりながらそうこたえたのだった。
二人の意識がしっかりと覚醒したのはそれから三十分後のことだった。
「村の様子を見てこようと思う。付いてこい」
「…………分かった」
沈んだ顔をし、何処と無くバツが悪いのか眼を地面に向けた。
そんな彼女の背中を無理やり押して少しばかり短い帰路へと付くのたった。
小一時間程歩けば、あの村の門があった所に着くことができるがここには何もない。どうやら燃え尽きてきえてしまったようだ。
中を散策……といっても柵が全くないので中とか外とかの概念が全くないので、その辺は悪しからず。
首を右に左と動かすが、見えるのは家の石垣と微かに燃え残った木、黒焦げになった人々の死体、ペットの骨……あげたらきりがないが沢山の命が死んでいた。
特に、あの時この子が匿われていたあの小屋は酷かった。
子供達の上に大人達が覆いかぶさり、火を遠ざけようとしているのだが、酸素が薄くなり皆んな死んでしまった。そして、後から来た炎達がそれら全てを燃やし尽くしてしまった。
匂い……は炭の匂いしかしない。
全て焼けてしまったらしい。
それもそうだろうな。
同情なんてしないが、ここまで酷いと花の一本は添えたくなる。
あ、
思い出したように鬼の死体をみると、骨だけを残し後は何も残ってはいなかった。
鬼の死体は燃えると骨だけになるのか……。
少しだけ賢くなった夜見と美帆だった。




