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少女は刀を握り姫となる!剣姫〜いざ行かん  作者: 榊 凪
1章 幼少期 殻を破る時
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今回は短め……次回へとつなげるためー

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 迫り来る鬼達に剣を向けるカタカタと震える剣先は己の未熟さを語る。それとも、武者震いなのか……?


 一匹の赤鬼が私に気が付いた。

 喜んだ顔をし、ウキウキランラン気分でスキップ混じりに私へと向かってくる。


 他の赤鬼達は私の姿に気がついていないのか分からないが、その辺をうろちょろし彷徨う。

 口から血を垂れ流す。


 踏まれた瓦礫は重さで砕け散る。

 怪獣かよ……とツッコミを入れたくなるような現状に、私は血をたぎらせていた。

 腕につけられた腕輪は怪しく紫色にひかる。


 私は出来るだけ身を低くし、クラウチングスタートの体制になる。

 刀を口に咥える。口の隙間から涎が垂れた。

 瞳孔が開き、眉間に皺を寄せ一気に駆けた!!


 光の如く私は走った。それは、鬼には見えない速度だ。

 私がお爺様に教えてもらった技の一つ……瞬光しゅんこうだ。

 鬼の視界から私は消えた瞬間に鬼の首は飛んでいる。

 そう言う技なのだ……まだ、未完成ではあるがこの程度の鬼ならばいける!!


 走る走る!!

 口に咥えた剣を手にとる。景色が素早く見える様に、私の動きも早くなる。

 そして、早くなるにつれて鬼は私の姿を捉えることは……出来ない!!!


 普段の歩き方では出来ない走り方……。

 私が四年の歳月をかけて身につけた技。見破られてたまるか!


 手に持つ刀を芯に構え、鬼の眼前まで迫る。


 風吹雪が砂を舞わせる。


 力いっぱい刀を振るう。

 肉が切れる。骨が砕け割れる。

「あぁぁぁぁぁぁああああ!!!」



 叫び、絶叫し、鼓膜が弾け飛ばんがばかりに声を張り上げた。


 刀を振り切った時、一寸の静寂が耳に聞こえた。

「ありがとう」と……「殺してくれてありがとう」と聞こえた。

 鬼の目には悔し涙か嬉し涙か分からない。だけど、その鬼は人の様に泣いた。自身が起こした罪をやっと償えると、やっと解放されると愛する人を殺さなくて済むと……彼は解放された。

 鬼という醜い檻から解放されたのだ。



 そして、死んでしまった。


 人の形をした鬼は最後の最後に人となる事が出来たのだ。これ以上の幸せわあるまい……だけどこの心に残るしこりはなんなのだろう……。罪悪感か高揚感なのかはたまた疲れからくる息切れなのか……分からないが、ただ一つ言えることといえばまだ戦場での殺しはまだ続く様だ。


 一匹の鬼が死に、倒れた。

 その音を聞きつけた鬼達がわらわらと集まって来る。先ほど見つけた人間が、はたまたただの気のせいか? 分からなが見てみたい……生き物が持つ最も愚かで愚行とも言える興味心はどうやら鬼にも備わっているようだ。

 小さく舌打ちをし、自らの殺し方を激しく悔やむ、一度に相手ができるわけもない……逃げた所でまた音や匂いを嗅いで来るに違いない……それに、ここへ訪れた人々が奴らに喰われるのもあってはならない事……いま、私の中にある選択肢は二つある。


 一つ目は、鬼達を殺す……いかなる卑怯な手を使ってでも将来のために鬼を殺す。


 二つ目は自身の命を大切にすべくこの場から引く……命あっての物種だこんな所でむざむざ死ぬ訳にはいかない。


 いま私の脳裏に浮かんだ選択肢はこんなもの……。

 お爺様なら何と答えただろうか……つい最近まで話したり剣を交えたりしたのだけど今となっては遠い記憶にしかない。

「ふっ」

 笑みが溢れた……そして、涙が頬を伝う。

 お爺様なら迷わず前者を選ぶだろうな、私もお爺様みたく強くてカッコよくて優しい人になるんだから。





 裾で涙を拭う。土の付いた袖は草木の匂いがした。

 剣を鞘にしまう。体制低くする。心を落ち着かせ風と一体になる。


 …………瞬光ーー




 そして、坂巻流剣術……居合、参式……神威カムイーー








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