精霊と魔法の関係って何なの?
精霊と魔法の関係って何なの?
例えば魔法陣。異世界物に限らず、魔術師モノ、魔法使いモノで頻繁にみかけるあれです。
元ネタは、悪魔の『召喚陣』であるようです。
その切っ掛けは水木しげる御大の著作『悪魔くん』が初出と言われておりますが、どうやら日本のファンタジー、それも比較的新しい時代のものにしか頻繁に登場しないようです。この場合、『魔方陣』とされているとか。
魔法は基本、詠唱により発動するのであって、魔法陣はそれを紋章化したものなのでしょう。何で両方必要なのかは謎ですが、例えばハリーホ〇ッターには登場しません。指輪物語やナルニア物語にもです。
占星術のホロスコープなどは魔法陣に似た印象を受けますが、魔術というか占術です。陰陽師も似たような八卦を用いていましたが、同根かもしれません。とはいえ、これも魔法を発動する事とは関係ないようです。
さて、『妖精騎士の物語』の世界において、魔術は二系統に別れます。自らの体内にある「魔力」を力の根源とし、その身体能力を向上させ、また周囲に魔力による変化を与える『魔術』。リリアルで主に使う物はこれですね。魔法陣は存在しませんが、召喚陣はある可能性があります。
魔力を体の中で使い、身体を活性化させる『身体強化』、体の表面に纏う事で、体の外側及び装備する武具に魔力を纏わせる『魔力纏い』などです。
魔力纏いの発展形として、『魔力走査』『魔力壁』といった技術に発展していきます。勿論、魔力そのものを消費し、火の玉や水の塊を飛ばす事は可能ですが、あまり効果的な能力の発現ではありません。
魔力そのもので大気中から水や炎を現出させるのは多くの体内に蓄積された「魔力」を消耗します。故に、連続して使う事は難しくなると考えて下さい。
リリアル初期の冒険では、油に小火球で引火させる方法を頻繁に用いましたが、少ない魔力で同じ効果をあげることができるからでもあります。彼女の姉の『大魔炎』と同じ効果を発生させると考えれば、魔力の少ない子供たちにとって有効な手段であることが分かって頂けると思います。
また、『魔銀』というのは、本来は流れにくい体外への魔力の出力を容易にする性質を持つ金属であり、鉄やその他の金属に加える事で魔力を体に纏うのと同じように武具に魔力を通す事ができる金属です。
柔らかく重たい金属として同じ性質を持つ『魔鉛』が存在しますが、これは、銅や鉄、鉛に加える事で魔銀に似た性質を発揮します。
魔力抵抗が小さな物質とお考え下さい。体から放たれた魔力を、抵抗の低い魔銀に流し込む事で、体の延長線上として魔力が容易に流れる。その魔力を用いて物質を切断する……といった装備になります。
【四大精霊とは】
四大精霊と聞くと、「火・水・風・土」でしょ?と答えたくなりますが、その通りです。でもこれ、どこかで聞いたことがある内容です。歴史もしくは倫理の授業でギリシャ哲学などを学ぶと、出てくる物質観『四大元素』が元になっているのではないでしょうか。
それを基に、ルネッサンス期に活躍した『錬金術師』たちが、その考えを広めたのでしょう。『錬金術師』自体が、十字軍によるイスラム世界との接触や忘れ去られた古代の科学の再発見により始まったものですから、当然なのでしょう。
ファンタジー世界の『賢者』のイメージはイスラムの学者がモチーフになっているのですから当然です。
ここに、魔術の系統が加わります。
『白魔術』と『黒魔術』。前者が治癒で、後者が悪魔の力を借りたうんぬん、というのはファンタジー作品の中のお話であり、レアな召喚魔術が『黒』、それ以外のほとんどの自然由来の魔術が『白』と分類されます。
はい、悪魔を召喚し、他者の力を借りる事で容易に手に入れることができる反面、対価を要求させるものが『黒魔術』ということでしょうか。
それ以外の『善』なる存在である「天使」「精霊」等を召喚する者、錬金術や自然の力を利用する科学も含め『白』魔術と見なされます。神様やその使徒である天使にお祈りする=白魔術という図式も成り立ちます。けど、「ファイアーボール」も白魔術なんだなこれが。
ルネッサンス期を代表する錬金術師パラケルススは、『四大エレメント』=精霊という考え方を確立しましたが、この人は十六世紀の人物であり、それほど古い考えとはいえません。
これは、パラケルススが『妖精の書』という著作の中で、四大元素の中には、それぞれ精霊がいると主張した為です。それ以前には、精霊と元素を結び付けた話はなかったのではないでしょうか。ないよね絶対。
マジよりの話をすると、オリヴィと同時代人です。とはいえ、四大云々と精霊を定めたのがこの人であるというだけであり、それ以前から当然、精霊というものの力を借り受けた魔術という発想はありました。
自然神を祀る系統は、ほぼ精霊魔術と言ってもよいでしょう。
例えば『水』の精霊。ウィンディーネやルサールカ、ニクシーなどが代表的な存在です。セイレーンなども含まれるようです。
『風』(空気)の精霊は、シルフ、エアリアル、その他『鳥』の姿をした精霊が含まれるようです。
『土』の精霊はかなり多く、ノームを始めとし、ゴブリンやコボルドや、山野にみられる多くの精霊……ドライアドやエントなども該当すると考えられます。
精霊は「土」や「水」に関わる存在はとても自然神に近い感覚なので数多く存在しました。「風」もいないわけではありません。ですが、「火」に関してはほぼいなかったようです。
神話辺りを紐解いても、火は神から与えられたりしますから、精霊との関わりが薄いのでしょう。太陽神は自然信仰に存在しますが、火は原初の道具であり、自然崇拝にはそぐいませんものね。
それ故に、パラケルススが定めた『火』の精霊であるサラマンダー以外に、その精霊に能うような存在はほぼいません。というより、無理やり著作の為に設定を作ったようです。
イーフリートがあるじゃろって? そうです、イーフリートは創作上、炎の精霊とされることが多いのですが(『ビル』さんもそうなのです)、アラブ圏の精霊『ジン』の中における、五つの階級のうち、上から二番目の精霊を指す言葉を意味します。
魔法のランプに出てくる魔神が『イーフリート』なのですが、炎の精霊と限った存在ではありません。ほら、アニメのイメージですよ。あれは特に燃え上がっていないじゃないですか?
このお話は、イスラムの聖典コーランによると、以下のような展開になります。人間が土から作り出される二千年前に火から作り出された存在が『ジン』であったというのです。どこかの神様が天使を作ってから人間を作ったお話に似ています。
その後、ジンさん達は堕天使よろしく人間にちょっかいを掛ける事が使命のように活動することになるようですね。
この辺りで、四大精霊に基づく魔術理論がゲーム的ご都合主義としか思えなくなってくるのは私だけではないと思います。ルネッサンスのラノベ作家パラケルスス氏です。
【精霊のいる場所をよく考えて術を発動させよう】
この辺りを考えると、自然神=精霊であり、なろう作品で多く登場する『火』系便利魔術系は精霊の数を考えると少数派であることが想定できます。だって、どこに火があるのさ? 火山とか山火事位じゃないでしょうか。風は微妙ですが、火はないよね普通。
あ、竈には神様いますね。ヘスティア様です。
この場合、四大元素の変転するうんぬん、という考えは除外します。その理由が精霊が中にいるからというパラケルススさんの話を前提にするなら、火があるのは火の精霊がその中にいるからなんでしょ?
生活の中で人工的である最も大きい存在が「火」ですから。
ということで、土があるところでは土魔術が最強であり、同じように、空気が存在する場所において風魔術が強力なのは言うまでもありません。
森の中で水魔術や火の魔術が威力を高めにくいのは、その精霊が存在しないからですね。水魔術は、川の上とか城の濠の近く、井戸のそばなんかが最強なのではないでしょうか。
四大元素のあるところ、精霊が存在するってそういうことだよね。火のない所にも火の精霊はいるんだろうけれど、四大元素が変転して行く過程だから、
なろう発の名作『魔法か?高校』の設定で、ワカメ女史が発動するドライアイス魔法より、空気中の水分を氷にする方が合理的じゃないかという提言がありますが、一般的なファンタジーにおいても、この考えは合理的だと思われます。
『妖精騎士の物語』において、ファイヤーボールや水系統の魔術がほぼ用いられない理由は、「火も水もそこにないのに、どうして巨大な魔術が発生するのか」という問題を処理できないからです。
『妖精騎士の物語』の世界において、精霊の加護を得た魔術師は、精霊の助力を得て、その系統の魔術を容易に発動することができるようになります。
これは、魔術を発動させる切っ掛けを自身の魔力を『精霊』への働きかけとして使用し、その加護の大きさに比例し魔力の消費を少なくして同規模の『精霊魔術』を発動できるようになります。
精霊との交流は「古代語」による詠唱が必要であり、これは、精霊に魔力を対価にお願いをする行為に当たります。精霊との関係が深くなれば、加護が大きくなると同時に理解が深まり、詠唱の省略、鍵言葉だけでの発動、無詠唱へと進めることができるようになります。
また、加護が無い場合においては、より多くの魔力を対価とする事で精霊の力を借りることができるようになります。「会員」価格と「一般」価格のような感じです。プライム限定的なあれですね。
何度も使う事で、後天的に『加護』を得られたり、その前段階として『祝福』を与えられることもあります。これは、精霊との関係が深まる事で成立する現象ですので、魔力の多い人は試してみる価値があります。
加護持ちの家系は、どこかで先祖がこの加護の生える過程を行って精霊との関係を結んだことが子孫に引き継がれるために発生します。
『土』や『風』の精霊の加護持ちは多く、また生えやすいのです。『水』は、輸送関係の家業ですとか水路の管理、水車を持つ貴族の家などで生えやすいでしょうか。
アリーは『土』が生えそうです。『雷』は『魔剣』経由で加護を与えられましたが、これは、『雷』が身近な自然現象であり精霊の存在を比較的把握しやすいと感じていること、静電気の存在が研究されている時期に当たる事で、加護の無い者でも知りえる精霊であったということもあります。
赤目銀髪は、精霊魔術の素養がある事に加え、身近な存在である彼女の『雷』魔術の発動を体感し、自らも精霊と交渉し使える事になりました。魔力量が多く、他の精霊の加護持ちであれば、比較的容易に『雷』の精霊の加護は得ることができそうです。
ということで、加護持ちにとっては無双でき、無い人間にとっては、魔力ドカ食いの燃費の悪い精霊魔術など、四大元素に起因する魔術は魔力量が多く、発動自体をステイタスと考えている王宮魔術師などでしか使われない存在です。
魔術師で加護持ちであれば、高位の冒険者として無双できると思われますが、戦場では個の戦力が突出することは意味がないため、陣地作りや水運を用いた移動時に水や風の精霊の力で早く運ぶであるとか、風の精霊の加護で音を拾い諜報に役立てるなどが主な使われ方になるのではないかと思われます。
気配隠蔽や魔力走査で十分代替可能ですので、運用に差が出る程度の事に過ぎません。
【結論】
精霊に起因する魔術は、周辺にそれに属する精霊が多くいる環境でなければ効率的に発動ができない。また、加護の有無が大いに影響する為、魔力で油を投擲し、小火球(魔力消費極少)をその後飛ばして着火し炎上させる方が確実であり継続して戦う事ができる。
魔力が多ければ、強引に展開することは可能だが、それをする意味がパフォーマンスとして以外特にない(アイネさんは大好きです)。
故に、リリアルでは加護持ち以外の精霊魔術を推奨しない理由です。
イーフリート『ビル』さんは、三千歳の高位精霊で人化できるほどの存在ですので、自身が『火』の精霊魔術は使えますが、他人に加護を与え、火の魔術を使わせることは人化している場合出来ません。これは……脱精霊化しているからかもしれませんね。すっかり、精霊化忘れているし。




