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【完結】霊亀の息子は硬度最高  作者: 真打
第三章 発覚
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3.15.ベドロック設置場所


 気配を辿ってアマリアズがいる場所へと行ってみると、そこには数人の鬼とアマリアズが作業をしていた。

 持ってきたベドロックを作った箱に移しているらしく、それを何処に設置しようか悩んでいるようだ。


 近づいて見るとよく分かるのだが、箱は小さな魚だけしか入れないような構造になっており、大きな魚を食べさせないように工夫されていた。

 ベドロックは成長しすぎると生態系を破壊させるほどにまで香の効果が強力になるらしいので、こうしてできる限り成長させないようにするのだとか。

 全部アマリアズの知識から考案されたものらしいけど、本当に何でも知ってるなぁ。


「で、今はどこに設置するか検討中、と」

「そういうこと。候補は何個かあるんだけど、如何せんマレタナゴがどこで戦ってるか分からないから設置しようにもここだ、っていうところがないんだよね。でもあてずっぽうって訳にもいかないし」

「ベドロックの香の効果範囲は狭いの?」

「この個体はまだ小さい方だから効果範囲は狭いね。だからできるだけピンポイントで設置したいんだけど……」

「もう少し調べないといけない感じかな?」

「だねぇ~」


 なるほど。

 ベドロックの香の効果が薄いから、できるだけマレタナゴの拠点付近に置かないといけないのか。

 でもどこで寝てるとか分かんないしなぁ。

 アマリアズの『空間把握』も水の中じゃ使えないし、気配も小さすぎるから分かんないし……。


 そこで、鬼たちが会話をし始める。


「一番水車の被害が酷かったのはどこだ?」

「ここでさね」

「じゃあここに置けば良くね?」

「いやいや、ここはマレタナゴの戦場であって拠点じゃねぇ。ここに置いても……」

「だけど戦う時には集まるだろ? その時にベドロックに食べてもらえばいいんじゃないか?」

「こいつにだって一日に食べられる限界があるだろ。マレタナゴの戦闘に巻き込まれてストレスが溜まったら死んじゃうかもだぞ?」

『『『『……んーーーー』』』』


 鬼たちの意見は確かに、と思える事ばかりだったようだが、結局結論を付けることができずに悩み込んでしまった。

 まぁこういう時のアマリアズだよね。


「アマリアズ、どうするのが一番良いかな?」


 僕がそう気くと、鬼たちが一斉にアマリアズに目線を向けた。

 鬼たちもアマリアズの知識量には感心しているし、実力も認めているから決定には従うと思う。


 すると、少し呆れたような、少し照れているような表情をしたあと、一番良いと思う方針を教えてくれた。


「私としてはマレタナゴの拠点を探してその付近に設置するのがいいと思う。君が言った様にベドロックも一日に食べられる量が決まってるし、君が言った様に戦闘中に食事なんて皆でもしないでしょ? 落ち着いて食べられる場所を見つけてあげるのが一番良いと思うな。それと、数日したら場所を移動する。マレタナゴの勢力は何個かあるはずだから、少しずつ削っていく感じになるよ」

「おお、なるほどなぁ」


 ってことは、まずはマレタナゴを探さないとね。

 さすがに川全部を探すのは無理だろうけど……ここが戦場になってるわけだから、上流と河口側にマレタナゴの群れがいるはず。

 こればっかりは目で探すしかないなぁ。


 方針が決まったところで、鬼たちはマレタナゴを探すため二手に分かれた。

 僕とアマリアズは先ほども通った上流側を調べることになり、鬼たちと一緒に川の中を凝視しながら歩いていった。


「あ、そうだ。アマリアズ。あの子起きたよ」

「早いね?」

「ちょっとびっくりした。名前はキュリィ。ウチカゲお爺ちゃん曰く、折れ曲がってる角は古い魔族の特徴なんだって」

「……本当に?」

「そう言ってたよ?」


 話を聞いてアマリアズは考え込むようなそぶりをして立ち止まった。

 鬼たちはそれを無視して先に歩いていってしまう。

 僕はアマリアズに歩調を合わせるために立ち止まったが、ここまで真剣に考えているアマリアズは珍しい。

 なにか思うところがあったのだろうか。


「……な、なにか分かった?」

「……あの悪魔は古い悪魔……具体的には四百年前くらいに産まれた悪魔って事?」

「さ、さぁ……。そこまでは聞いてないけど」

「技能が失われてから様々な種族が危機に瀕す時代があった。悪魔もそのうちの一つ。だから今も魔族領の復興が滞っている」

「えーっと、つまり?」


 そう問うてみると、アマリアズは空を見上げた。

 僕も釣られて見上げてみるが、先ほどとあまり変わらない空模様だ。

 白い雲が少し早く流れている。


「……それ、本当に悪魔?」

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