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【完結】霊亀の息子は硬度最高  作者: 真打
第二章 友達と修行
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2.31.アマリアズについて


 僕は早速ガロット王国へと向かう為の準備を整えようとしたのだが……そういえば何を準備すればいいのか分からない。

 服はこのままでいいんだろうか?

 和服って動きやすくて好きなんだよなぁ。

 温かいし、涼しいし快適!


 考えても結局どうすればいいか分からなかったので、ウチカゲお爺ちゃんが部屋から居なくなる前に聞いてみることにした。

 すると、意外な答えが返ってくる。


「準備というのは心構えだ」

「ええー……なにそれー……」

「出発は明日の朝。今日は昨晩の疲れを取れ。服はこちらで用意する」

「じゃあ準備するもの無いじゃん!」

「カルナにこの事を説明しに行ったらどうだ?」

「確かに!」


 そ、そうだ。

 お母さんにはこのこと言っておかないとね!

 もー、ウチカゲお爺ちゃん難しく言わないでよ!


 あ、アマリアズもついでにお母さんの紹介しておこっと。

 初めての人間の友達だしね!

 修行に付き合ってもらったことは言うべきかな……?

 まぁそこはアマリアズの反応を見て考えよう。


「アマリアズ行くよー!」

「うっううっ……いやだぁ……行きたくない……」

「多分ウチカゲお爺ちゃんからは逃げられないよ」

「やっとの思いで抜け出してきたのにぃ……」

「ほらほら、まずは僕のお母さんの所に行こう!」

「うう……」


 僕がアマリアズの手を引っ張っると、渋々といった様子で着いてきてくれた。

 えーっと、今お母さんはどこにいるのかな?

 いつもだったら分からずに右往左往するんだけど、今の僕はお母さんの気配を感じ取れる!

 仲のいい人とか、家族は分かりやすいんだよね。


 なにより今は『大地の加護』っていう特殊技能が働いているからか、周囲の状況がより一層詳しく分かる!

 やっぱり技能ってすごいなぁ。

 よし、じゃあ探してみよう。


 目を閉じて気配を探る。

 この時間だったら城下町の外にある畑の方に行っているかもしれないので、そっち方面を集中して探してみた。

 すると意外と早く見つけることができた。

 だけどお母さんは僕が気配を探っていることに気付いたらしく、少し警戒している。


「ん? お母さん分かったのかな?」

「なにがぁー?」

「僕の気配に気付いたみたい」

「へー。まぁそうだよね」

「僕の修行が足りないとか?」

「まぁ気配を隠す方法はまだ教えてないしね。分かりやすいんじゃない?」

「ふーん」


 まぁそうだよね。

 よし、場所も分かったし向かってみよう!


 僕はアマリアズの手を握って引っ張っていく。

 前鬼城二の丸御殿を出て、長い長い道を歩いていくことになるのだが、この時間が暇だった。

 なので聞けていなかったことを、アマリアズに聞くことにする。


「ねぇアマリアズ」

「なに?」

「どうしてアマリアズは見た目と中身が違うの?」

「ああ~……それ聞くぅ?」


 多分僕が聞かなかったとしても他の人が聞くと思う。

 アマリアズもそのことを理解しているのか、難しい顔をして目を細め、空を仰いで考えこみ始めた。

 どう説明するか悩んでいるのか、それともどうやって誤魔化そうかと思案しているのかは分からないが、何かしら説明はするつもりらしい。


 歩きながらしばらく考え込んでいたが、頭の中で整理がついたのか、僕の問いに答えてくれた。


「技能」

「……技能?」

「そっ。普通より頭が良くなる技能。だから私は魔道具のことを知っているし、修行のやり方も知っている……。全部本で読んだ知識なんだけどね。それで性格も少し大人っぽくなっているだけかな」

「なるほど……」


 凄い腑に落ちる説明だけど……。

 技能のせいにすると何でも許されちゃう感じがするなぁ。

 まぁいっか。


 あ、でもまだ気になることあったんだった。


「じゃあさ、どうしてアマリアズは技能を持ってるの?」

「……ん、んん~~~~……」


 さっきよりも眉を顰めて同じ様に考えこみ始めた。

 これも僕が聞かなくても誰かに聞かれるもんね。

 ウチカゲお爺ちゃん辺りに。


 えっと、ウチカゲお爺ちゃんは長生きしてるから技能を持ってる。

 僕はなんか特別だから技能が発現していくらしい。

 なにがどう特別なのかはよく分かってないけどね。

 あと姫様も技能持ってるんだったっけ。

 年齢的にはウチカゲお爺ちゃんと同じくらいの筈だから……持っててもおかしくはない……のかな?

 今度会った時に聞いてみよっと。


「えーっとね」

「お」

「前にさ、私に叔父さんがいるって話したじゃん?」

「うん」

「あの人から技能を貰ったんだよね。知識と一緒に」

「……それももしかして技能?」

「だね~。ほら私って五歳だからさ、よーく考えると叔父さんの世話になったことってほとんどなくて。でも私の素質を見抜いたから叔父さんは私に記憶と技能をくれたんだよね」


 は、話はなんとなく分かる。

 でも……。


「なんか……。嘘の話をどんどん盛り込んでるみたい」

「(ギクッ)いやいや、そんなことないよ~。まぁあれだよ。その叔父さん曰く元神様だからさ、ちょっとめちゃくちゃな話でもそれが事実になっちゃうんだよね~」

「ふーん……」

(ちょっと厳しいかなこの嘘は! まぁいいか)


 今の話はあんまり納得できなかったけど、まぁアマリアズも本当のことは言いたくないってことは分かるし、ここは友達として聞かないでおこうかな。

 じゃあ早くお母さんの所に行こうっと!


 ……やっぱり、この前鬼城……広すぎるよなぁ……。

 お母さんの所に行くのに、あとどれくらいかかるんだろう……。

 はぁ。

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