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【完結】霊亀の息子は硬度最高  作者: 真打
第二章 友達と修行
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2.30.今後について


 二人が仲良さげに話しているのを横目に、僕は会話が終わるのを辛抱強く待った。

 ぜんっぜん話に入れない……。

 ていうかウチカゲお爺ちゃんもアマリアズも僕がいること忘れてない?


 なんで魔法具の話だけでそこまで話を繋げられるの……。

 魔法回路ってなに?

 媒体とかサイズとか言ってるけど何それ分かんない。

 ていうか何でアマリアズはそんなこと知ってるの!?

 五歳だよね!!

 いや、でも中身は五歳じゃないんだよね。

 そのこと聞かなくてもいいのかな。


 ジトーっとウチカゲお爺ちゃんを見ていると、ようやく僕に気付いたようで焦ったように咳払いをした。


「ま、まぁこの話は後でもいいな」

「え? ……あ、ごめん宥漸君。すっかり忘れてた」

「むぅ」

「ごめんて。ウチカゲお爺さん。宥漸君を呼んだ理由は何なの?」

「ああ。宥漸にも今置かれている状況を教えておこうと思ってな」


 今置かれている状況?

 あ、そういえばアマリアズって技能を持っていることがバレたんだっけ?

 昨日の話から考えるとそうなると思うけど。

 あのローブの人……アマリアズの技能が狙いって話だったし。


 するとウチカゲお爺ちゃんが今の状況を説明してくれた。

 どうやら技能を狙っている集団がいるらしい。

 それがどこに拠点を置いていて、何人いて、何を目的としているかは今のところ分かっていないが、技能を持っている僕、アマリアズ、ウチカゲお爺ちゃんが狙われる可能性があると教えてくれた。

 高価な魔道具を所持していたことからそれなりに大きい集団が敵だということまでは推察できたらしいんだけど、まだまだ分からないことが多くてこれ以上は推測の域を出ないんだって。


 あの男の人は構成員か雇われた暗殺者で、アマリアズを彼らが信仰している神様の元に連れていこうとしたみたい。

 アマリアズ曰くその神様は神様じゃないとの事……。

 そうなんだ……。


「大体理解したか?」

「う、うん……。でも僕はどうしたらいいの?」

「今まで通り力を付けてもらう。私の目の届かない場所で何かあっても身を守れるようにな」

「分かった」

「それでだ……」


 僕の方針が決まったところで、難しい顔をしてウチカゲお爺ちゃんはアマリアズを見た。

 そう、僕も少し気になってたことがある。

 アマリアズ……お母さんは……どうしたの?


 ウチカゲお爺ちゃんが重い口を開いて問う。


「アマリアズ。お前の親御さんはどこにいる」

「いません!」

「……嘘をつくな」

「嘘じゃないです!」

「では何故今更敬語になっている」

「きっ! 気のせい! でっでもでもでもでも! ぶっちゃけガロット王国にいるより前鬼の里にいる方が安全だと思う! ウチカゲお爺さんの攻撃を防ぐくらい危険な相手だよ! 人間たちは私を守れないと思うなぁ~!!」

(あ、ガロット王国に住んでたんだ)

「両親はガロット王国か」

「んん~~!」


 ガロット王国といえば、前鬼の里と昔から交流がある人間の国だってお母さんから聞いた記憶がある。

 行ったことはないのでどんなところかは分からないけど、きっとすごい所なんだろうな。

 でもなんでアマリアズは帰りたくないんだろう?


「アマリアズ。お母さんが嫌いなの?」 

「……いや~……ん~~……(人間に育てられるのが嫌だからとか言えるはずないだろっ! こちとら元神様だぞ! もう自尊心ぼろぼろだわ!!)」

「なんにせよ、ご両親に許可を取ることは必須だ。案ずるな、私はガロット王国国王と知人だ」

「うっそぉ!!!?」

「わぁ。知らなかった」


 長生きしているだけあって凄い人たちと知り合いなんだなぁ。

 あれ?

 でもこの流れってもしかして……。


「丁度いい機会だ。宥漸、お前に人間の世界を見せておこう」

「わああ!! やったぁああああ!!!!」

「おおおおい!! ガロット王国に行くこと確定じゃああああん!! いやだああああああ!!」

「あ、逃げた」

「シズヌマ」


 ウチカゲお爺ちゃんが小さく誰かを呼ぶと、廊下の先でアマリアズの悲鳴が聞こえた。

 しばらく抵抗するような声が聞こえ続け、その声が次第に大きくなっていく。

 すると髪を後ろで束ねている女性の鬼がアマリアズを脇にがっしりと抱えて戻ってきてくれた。


 わぁ、初めて見る鬼さんだ。

 な、なんかすごい気配が薄い……。

 近づいてくれないと分からないくらいだ。


「は、放せええ!」

「アマリアズの親に話をしてこちらで世話をする様に交渉するだけだ。まぁほぼ強制という形にはなるが」

「その工程に!! 私は!! 要らないと思うな!!」

「必要だ」

「うん、アマリアズはお母さんと話した方がいいと思う」

「(コクリ)」

「ぬああああ味方がいなああああい!!」


 そ、そんなにお母さんと会いたくないって……。

 なんかアマリアズのお母さんに会うのが心配になってきたんだけど……。

 こ、怖いのかな?


 するとウチカゲお爺ちゃんが立ち上がった。

 軽く肩を回した後、一つ息を吐く。


「では、久方ぶりにガロット王国へと参ろうか。準備しろ、宥漸」

「分かった!!」

「いやだああああああ!!」


 なんか結局アマリアズ個人のこと聞くこと忘れちゃってたけど……。

 この状況じゃ話してくれそうにないし、まぁ移動中に話を聞けばいいね!


 はぁ~!

 初めての人間の国……凄い楽しみだなぁ……!!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 転生者特有の精神が肉体に引っ張られるやつか……どんまい
[一言] あっ、これ天ちゃんの親そういう事かな……(察し)
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