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【完結】霊亀の息子は硬度最高  作者: 真打
第二章 友達と修行
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2.6.お昼休憩


「はぁ、はぁ……。はぁーーーー……」

「お疲れ、宥漸君」


 ただ気配を感じ取って指を指しているだけなのに、とても疲れた……。

 どうしてこんなに疲れるんだろう?

 アマリアズと違って全然動いていないのに。

 ていうかお腹空いた……。


「疲れた……なんで?」

「そりゃそうだよー。殺気って耐えられる人と耐えられない人がいるんだもん。まぁ殺気のレベルにもよるんだけど、危険信号を体が発し続ければ、疲れるのは当たり前だよ」

「つ、つまり……?」

「殺気は体に悪い。主に精神面的に」

「へぇー……?」


 肉体的に悪影響はないみたいだけど……。

 でも精神面ってどういうことなんだろ?

 まぁ疲れる原因が分かったからいいか。


 それよりもお腹空いた。

 でもお弁当とか準備してないし、やっぱり現地調達しないといけないのかな。

 簡単に手に入れられるものと言えば……魚かなぁ?


「アマリアズはお昼ご飯どうするの?」

「ああ、そういえばお腹空いたね。食べてもらわないと回復しないだろうし……そうだなぁ。喉も乾いたし、川に行こうか」

「そうだね」


 でも川ってどっち?

 すると手を握られた。

 どうやら今回ばかりはアマリアズが連れて行ってくれるらしい。


「水や食べ物を運ぶのは面倒だからね。連れて行ってあげる」

「ありがとう」


 アマリアズと一緒に移動する。

 手を引かれているのだが、なんだか違和感があった。

 いや、違和感というよりは……アマリアズの動きが分かる。


 手を引かれているのには変わりがないのだが、しばらく気配を感じ取っていたせいか、アマリアズがどこに居て何をしているのかがなんとなく分かったのだ。

 小石を避けたり、根っこを飛び越えたりするのもすべて理解できる。

 同じように動いてアマリアズを追って行く。


 これが本当の気配なのだろう。

 周囲の状況は未だに掴めないが、人であればなんとなく分かるようになってきた。

 まだ一回目の修行だというのにここまで自分が成長したことに気付くことができたということに、僕は素直に嬉しくなった。


 そうこうしている内に川へと辿り着いたらしい。

 水の匂いと川のせせらぎが聞こえてくる。

 川の気配がとても濃く、どこをどういう風に流れているのかが分かった。


「わぁ! すごい!」

「お? もしかして分かる?」

「川があそこから……こう流れて……るよね?」

「おおー! 正解正解!! さすが、呑み込みが早いね! でもまずはご飯だね」


 すると、アマリアズが手を合わせる。

 少し開くと風が発生した。

 なにをしているんだろうと首を傾げていると、風が止む。


「『空気圧縮』」

「?」


 手に何か持っているらしい。

 それを川の方へとぽーんと放り投げた。

 ぽちゃんっと石が水の中に入る音がしてしばらくたった瞬間、何かを感じた。

 明らかにヤバそうな、それでいて危険な感覚が突き抜ける。


 咄嗟に防御姿勢を取った瞬間、川が爆発した。

 大量の水が吹き上がり、ついでに魚も宙を舞う。


「ええええええ!!?」

「おお、危ないってよく分かったね」

「いや! いやいやいやいや! それどころじゃないでしょ!!」

「でもこれが一番手っ取り早く魚取れるんだよね」

「ええー……」


 アマリアズは軽い足取りで宙を舞った魚を捕まえていく。

 何か技を使っているようではあるが、さすがにそれは分からなかった。


「よーし! 宥漸君、ここを爆発させて小さな穴を掘ってくれる?」

「い、いいよ……」


 指定された場所を教えてもらう、その場に爆拳を撃つ。

 石と土が吹き飛んで小さな穴が空いた。

 そこを少し調整したアマリアズは、いつの間にか持って来ていた木の枝を沢山並べ始める。

 並べ終えた後、今度は爆拳で小さな爆発を何度も起こしてくれと言われたので、言われた通りに爆拳を使用する。


 すると焚火に火が付いたようだ。

 アマリアズが火を大きくするために、また少し調整した。


「よしよし! んじゃ~あ~、獲れた魚を捌きまして~」

「……あれ、刃物なんて持ってるの?」

「まぁね~」


 なんで五歳が刃物持ってるんだろう……。

 いや、でもこの森で生活するって決めたんだから、そういう準備はしていたのかな。


 しばらくアマリアズは魚を捌いていたようだが、途中で何か破裂音がした。

 ぎょっとして驚いたが、アマリアズは動揺した素振りを一切見せていないようだ。

 何かした……らしい。


「い、今のなに?」

「『空圧剣』。解除すると破裂する」

「刃物って技!?」

「技……うん、技だね(技能って言うのは止めておこう)」


 魚を木の枝に刺し、焚火で焼いていく。

 少々時間がかかるが、その間に休憩をしておけばいいだろう。


「ま、あんまり気にしなくていいよ。さぁ休憩して」

「うん、そうだね」


 実際まだ疲れているし、ここでしっかり休んでおいた方がいいだろう。

 昼からも修行だろうから、ちゃんと食べないとな。

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