表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】霊亀の息子は硬度最高  作者: 真打
第七章 行動開始
199/277

7.16.変な鳥


 目の前にいる鳥は白色で、なんか変だった。

 気配もそうなのだが……普通の鳥とは全くの別物。

 鳥以前に生物としてなにか妙な気配が漂っていた。


 それはウチカゲお爺ちゃんも感じ取っているみたいで、迂闊に近づこうとはしていない。

 だが調べるために『影媒体』を使ってそれを拾い上げる。


「……これは……?」

「普通の鳥って訳じゃ無さそうだけど……なんか変形してる?」

「変形というより、進化やもしれぬな。しかし何故急にこのような個体がこんなところに……」


 ウチカゲお爺ちゃんが周囲を見渡す。

 しかしこの鳥以外に変わった様子、存在は見受けられなかった。

 これがどこから飛んできたのか。

 何故ここにたどり着いたのかはわからないが、これをどうするか非常に悩んだ。


 調べてみる価値はある。

 だがその結果、これが暴走する可能性もあるため軽率な行動はできない。

 安全であるなら今すぐにでも持ち帰りたいところではあるが……。


「ど、どうする? ウチカゲお爺ちゃん」

「ふむ……。置いておくわけにもいかぬが……持って帰るリスクも高い。弱ってはいるようだが……これがなにか分かるまでは放置するのが無難だ」

「天使の罠っていう可能性もあるもんねぇ……」


 ううん、そもそもこの鳥はいったいなんなんだろう。

 小枝でつついてみるけど、反応はない。

 弱ってるのかなぁ。


「あ、そうだ。『空圧結界』」


 鳥を囲うようにして結界を作る。

 こうしておけば誰かが触ることもできないし、この鳥が何かすることもできないはず。


「これでいいかな?」

「ふむ、まぁよかろう。安定を取るならば始末してしまった方がよいがな」

「そうだけどねー……。でも悪意は感じられないんだよね」

「そうだな」


 ウチカゲお爺ちゃんはそれを一瞥した後、踵を返した。

 違和感はまだ残っているけど、僕はこうしておくのが正解な気がした。

 ウチカゲお爺ちゃんもこれに反対はしなかったし、まぁよかったのかな?


 あ、でもこの場所に放置しとくのは良くないな。

 ちょっと離れた場所に移動させておこう……。

 幸い近くに林がある。

 そこの中に置いておこう。


 ガサゴソと林に入って適当な場所に白い鳥が入った結界を設置し、門の方へと戻る。

 何度か後ろを確認してみたけど、特に変化はなかった。


「じゃあ帰ろっか」

「そうだな」


 ガタガタタタタタタタッ!!


「おわーーーーーーーーーー!?」

「……」


 先ほど置いたばかりの結界が盛大に暴れはじめた。


 確かにその場所に固定してはいなかったけどこんなに暴れるぅ!?

 何々怖いんだけどぉ!?


 先ほどの林を見てみれば、暴れながら何とかこっちに転がってきているようだった。

 中に居る白い鳥はいつの間にか姿を変えており、饅頭みたいになっている。

 だがそこから一本の触手を生やしてハンマーのような姿にし、決壊を中から破壊しようと暴れまくっていた。


「──!! ────!!!!」

「え、えっ何か喋ってない!? なんか喋ってない!?」

「宥漸……密閉したのか……」

「あっ」


 ちょ、ちょっと隙間開けてあげよう……。

 あ、でも待って?

 さっき鳥の姿してたのに変形して饅頭みたいになってるし、これその隙間から出てくる可能性充分にあるのでは?

 それはさすがにマズいから……めっちゃ小さな穴をあけておこう……。


 ほんの少しだけ小さな穴をあけ、息ができるようにしてあげる。

 その瞬間、叫び声が聞こえてきた。


「ウチカゲェエエエエエ貴様ぁあああああ!!!! ここから出しやがれこの馬鹿野郎がぁあああああ!!!!」

「ウチカゲお爺ちゃんあれ知り合い!!?」

「アレ言うな小僧がぁ!!!!」

「……相当荒れているな……イウボラ……」


 ガシガシと頭を掻きながら、ウチカゲお爺ちゃんは僕が作った結界を持ち上げ、素手で破壊する。

 いやそれ、結構硬く作った奴だったんだけど……。


 因みに破片は白い塊に刺さった。


「いでええええええ!!!!」

「すまん」

「わざとだろ貴様ぁ!! おい摘まむな!! 摘まむなっつってんだろ!!」

「はぁ……」


 心底面倒くさそうにため息を吐いた後、ぽんっと放り投げてそれを手の平に乗っけた。

 もにょもにょ動いて散々文句を口にしているが……あれなに?

 なんでこんなのとウチカゲお爺ちゃん知り合いなんだろ。

 ていうか口悪いな……。


「してイウボラ。何故このような姿で倒れていたのだ。鳥に化けるなど相当なことがなければしまい」

「ああそうだよ! あのくそ天使がぁ……!」

「……へましたのか」

「うぐっ……!」

「なるほどな。さしずめ天使に敗北して本体だけ分離することができたといったところか。アトラックの技を真似ていたのが功を奏したな」

「やかましい!! 一人にゃ勝ったんだよ! だがもう一人には何されたのかすら分かんなかった……!」

「ほう?」


 どうやらこのイウボラ……?

 っていう何かは天使と戦ってたみたい。

 あれ、てことはこれ悪魔かな!?

 へー、悪魔ってこんな姿になることもできるんだぁ~……。


「……おい小僧、何見てんだ」

「ガラ悪くない?」

「イウボラの性格は本来こうなのだ。ダチアや他の悪魔の周りではいい子にしているようではあるがな」

「おい一言余計っていうか全部余計だわ!! ほっとけ!!」

「ほれ余計なことはいい。はよう天使について共有せぬか」

「あいつが話振ってきたんだろうが!!」

「お前が突っかかったんだ馬鹿者」


 あ、うん。

 この悪魔面倒くさいかも。


 ウチカゲお爺ちゃんも進まない話に耐えかねたのか、額を弾く構えを指で作ってイウボラの前に据える。


「……さっさと話さねば弾き飛ばすぞ」

「っ!? お前本気か!?」

「三」

「わっ分かった分かった!!」

「二」

「止まれよ!!!!」

「一」

「俺が戦った天使は死ななかった!!」


 ……死ななかった?

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ