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閑話 シャドー達 6

 中小企業の人間に嘘の情報を流しすマサは、次の段階に移行するため時を待つ。

そのときはすぐにやってきた。


「やっとお出ましかい」


 今回の宇宙怪人が地球を襲撃する時間になったのだ。

その時間を告げるとマサは壺井に連絡を入れる。


「いよいよ作戦決行の時だ」

「わかった」


 壺井は待機していた場所から中小企業の地下内部に潜入する。

マサ自身も仕掛けをするために中小企業へ向かう。

他のシャドー達は宇宙怪人の手伝いとして出動しているはずだ。


「へへへ。今回の仕事が終わったら俺達は英雄だ」


 穏健派の奴らに一泡吹かせ、過激派が派遣を握る。

そうなれば戦闘要員であるシャドーにもいろいろと仕事が回ってきて、待遇も改善されるとマサは考えていた。


「皆出世しろよ」


 しかし、マサだけは自分の命を懸けようと思っていた。

どんな妨害が入ろうと、必ず今回の作戦を成功させる。

 マサは壺井の姿に変装して、中小企業にやってきていた。

何故態々探されている壺井に成りすましたかというと、これも混乱を生むためだ。

 壺井本人は地下から潜入してもらい、ある大事に用事をしてもらう必要がある。

そのための陽動が必要なのだ。


「テレビか……」


 マサがやってきたのは、営業部の休憩室だった。

そこでは巨大化した薔薇怪人が、ヒーローが乗りロボットを攻撃していた。

 しかし、今回も最後はやられてしまうだろう。

そう持っていると、薔薇怪人にヒーローの巨大な剣が振り下ろされる。


「あ~あ。またやられた。まぁ今回はやられてくれなくちゃならなかったけど」


 マサは壺井の変装のままIDを使ってエレベーターを降りる。

それも壺井から事前に聞いていたことだ。

 壺井のIDをエレベーターの前に落とし、もし誰かが見つけても混乱する中小企業内では探しにまではこないと判断した。


「へへへ。これで準備は全て完了だ。あとはなりを潜めて時を待つだけよ」


 マサは壷井がロボットに爆弾を設置する時を待った。

 しかし、ロボットが収容されるとすぐに爆弾は爆発を開始した。


「壺井!何やってんだ」


 壺井を静止するため、立ち上がろと視線上げたマサの視界には壺井と鈴木の両名が立っていた。


「洗脳が成功したんじゃないのか?」


 マサは命令にない壷井の行動に戸惑う。


「やっときたのか、鈴木」


 ロボットのコックピットに一番近い場所で壺井はいた。


「こんなところで何してるんだ壺井!」

「もう知ってるんだろ?俺は機密書類を盗んだんだ」

「どうしてそんなことを……」


 鈴木の問いに壺井が応えることはなかった。

応える代わりに壺井はリモコンを取り出しボタンを押す。


「何をした!」

「すぐに分かる」

「壺井!施設を爆破したのか!」

「そうだ。ここは消えなくちゃいけないんだ」

「何を言ってるんだ。ここは人類を護る最終防衛ラインなんだぞ。俺達が地球を守っていたんだ」


 壷井は誇りを持って仕事をしてきた。

自分のやり方が正しいと、間違えて取り返せばいいと思っていた。

 しかし、取り返す前に奪われた。


「護ってなんかいねぇよ。こいつがどこで戦ってるか鈴木は知っているのか?」

「採掘場だろ?」

「やっぱり知らないんだな。宇宙人達は街で暴れて、ヒーロー達によって採掘場に追いやられてるんだぜ」

「いいことじゃないか、被害を最小限に抑えるためだろ」

「ならその間、街はどうなるんだよ。それにな、宇宙怪人がデカくなったら採掘場だけにとどまらない。どうしても街中にも被害が出る。ロボットが破壊したビルや家も少なくない」


 壺井の語りを聴いていたマサは、壷井が半分洗脳されていて、もう半分は自分の意志で作戦に参加していたことを知った。


「そのために避難勧告が出されている。何より採掘場近くに建てられているビルや家にはすでに戦場になることは告げられているはずだ」

「ゴチャゴチャうるせぇ。どっちにしてもこのロボットが存在している限り、悲しむ人がいるんだ」


 壷井は洗脳の中でバラが言った言葉を覚えているのだろう。


「悲しむ人って本当にそれは人なのか?」

「ハァァ!」

「ある筋からお前が宇宙怪人に騙されているいう情報を掴んだ」

「俺が騙されているだと……」

「そうだ。心当たりはないか?」


 壷井が洗脳されたときのことを覚えているなら、マサ達が宇宙怪人だと分かってもおかしくはない。


「ないな……」


 しばし考えていた壺井は結論を出した。

マサは壷井がどちらなのか分からなくなってきていた。だか、分かるのは壷井が中小企業に敵対していると言うことだ。


「俺はもう決めたのだ。人類を救うためにこの命を使う」


 壺井はどこか陶酔したような顔で、最後のボタンを押そうとリモコンを高々と上げる。


「ダメです!」


 マサが壷井に押せと強く思った瞬間邪魔が入った。


「壺井さんこんなこと、こんなことがしたかったんですか!」


 平田が壷井からリモコンを奪い鈴木に投げる。


「鈴木さん!」

「平田!余計なことをするな。お前は誰に仕事を教えてもらったと思ってるんだ」

「壺井さんです。壺井さんが居たから俺は営業として一人前になりました。壺井さんがいたから人見知りな俺がここまで会社に貢献できるようになったんです。それをどうしてあなたが会社を壊すんですか?」

「うるさいうるさいうるさい」


 壺井は錯乱状態で、腕に捕まっている平田を殴り飛ばす。


「俺は世界を救う救世主になるのだ。邪魔するな」


 壺井はリモコンを追いかけて鈴木に襲いかかった。


「返せ!!!」


 鈴木は壷井から逃げるように走り出した。

マサも動かなければならない。


「平ちゃん。ロボットに乗り込め。ロボットの中ならこんな炎ぐらいものともしないはずだ」


 鈴木は逃げながら平田に指示を飛ばす。

ロボットごと破壊するつもりなのだ。どこに逃げようが意味などない。


「課長!」

「俺のことはいい。早く」

「わかりました」


 マサは鈴木の先回りをするべく、階段使わずに上へと上がった。

ここまで読んで頂きありがとうございます\(^o^)/

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