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爆破

 爆破、爆発の衝撃により、建築物、岩石、車両などの物体や物質を破壊 することである。火薬や爆弾を用いて行うことが多い。あらかじめ、対象物にダイナマイト などを設置し、スイッチを遠隔操作したり、一定時間で自動的に爆発させたりする。


 ブレインの報告を聞いて、鈴木はエレベーターで30階へと向かった。

エレベーターに乗りながらも、聞こえてくる音がある。

 ロボットが破壊されて戻ってきたのだろう。

中小企業の地下倉庫に収容される音が響き渡る。


「地下にいる時に収容されるとこんなにも凄い音がしていたのか」


 鈴木は初めて聴く収容音に驚きながらも、エレベーターが30階に到着して音がハッキリと聞こえてくる。


「壺井は?」


 鈴木は耳を塞ぎながら、エレベーターを降りて壺井の姿を探す。


「やっときたのか、鈴木」


 ロボットのコックピットに一番近い場所で壺井はいた。


「こんなところで何してるんだ壺井!」

「もう知ってるんだろ?俺は機密書類を盗んだんだ」

「どうしてそんなことを……」


鈴木の問いに壺井が応えることはなかった。

応える代わりに壺井はリモコンを取り出しボタンを押す。


「何をした!」

「すぐに分かる」


 収容音で爆発音がわからなかったが、次第に近くで聞こえてきた爆発音が鈴木の耳に危険を知らせる。


「壺井!施設を爆破したのか!」

「そうだ。ここは消えなくちゃいけないんだ」

「何を言ってるんだ。ここは人類を護る最終防衛ラインなんだぞ。俺達が地球を守っていたんだ」


 鈴木は誇りを持って仕事をしていきた。

どんな形であり、地球を護る手伝いをできている。

それだけで鈴木にとって喜びだった。


「護ってなんかいねぇよ。こいつがどこで戦ってるか鈴木は知っているのか?」

「採掘場だろ?」


 戦隊ヒーロー達が戦いをしているテレビを点けたとき、ほとんどの場合人気の無い採掘場で戦っていた。

そこで怪人を倒し、怪人が巨大化する。

 それは誰もが知っている常識だった。


「やっぱり知らないんだな。宇宙人達は街で暴れて、ヒーロー達によって採掘場に追いやられるんだぜ」

「いいことじゃないか、被害を最小限に抑えるためだろ」

「ならその間街はどうなるんだよ。それにな、宇宙怪人がデカくなったら採掘場だけにとどまらない。どうしても街中にも被害が出る。ロボットが破壊したビルや家も少なくない」


 壺井は語ることに間違いはないが、鈴木にはどうしても違和感を感じずにはいられなかった。


「そのために避難勧告が出されている。何より採掘場近くに建てられているビルや家にはすでに戦場になることは告げられているはずだ」

「ゴチャゴチャうるせぇ。どっちにしてもこのロボットが存在している限り、悲しむ人がいるんだ」


 壺井は反論する鈴木の態度に錯乱するように怒り出した。

それと同時に鈴木の周りで爆発が起きる。

 周りは火の海に変わり、エレベーターも火に呑まれた。

非常階段はあるが、壺井を放って逃げることもできない。


「悲しむ人って本当にそれは人なのか?」

「ハァァ!」

「ある筋からお前が宇宙怪人に騙されているいう情報を掴んだ」

「俺が騙されているだと……」

「そうだ。心当たりはないか?」


 鈴木は壺井に語りかけながら、脱出のタイミングを考えていた。

上の階には平田がいるはずなのだ。

 大丈夫だろうかと、心配をするが今はどうすることもできない。


「ないな……」


 しばし考えていた壺井は結論を出した。


「俺はもう決めたのだ。人類を救うためにこの命を使う」


 壺井はどこか陶酔したような顔で、最後のボタンを押そうとリモコンを高々と上げる。


「ダメです!」


 鈴木が固まって見守ることしかできなくなっているときに、平田が壺井に飛び込んだ。


「壺井さんこんなこと、こんなことがしたかったんですか!」


 平田は壺井の腕に捕まりながら、リモコンを取り上げる。


「鈴木さん!」


 平田がリモコンが投げてよこしたので落とさないように、鈴木も必死にキャッチした。


「平田!余計なことをするな。お前は誰に仕事を教えてもらったと思ってるんだ」

「壺井さんです。壺井さんが居たから俺は営業として一人前になりました。壺井さんがいたから人見知りな俺がここまで会社に貢献できるようになったんです。それをどうしてあなたが会社を壊すんですか?」

「うるさいうるさいうるさい」


 壺井は錯乱状態で、腕に捕まっている平田を殴り飛ばす。


「俺は世界を救う救世主になるのだ。邪魔するな」


 壺井はリモコンが鈴木の下にあるのを見つけて、鈴木へと突進を開始する。


「返せ!!!」


 壺井が必死の形相で突進してくるなか、鈴木は非常階段に向かって走り始める。


「平ちゃん。ロボットに乗り込め。ロボットの中ならこんな炎ぐらいものともしないはずだ」


 鈴木は逃げながら平田に指示を飛ばす。

ロボットごと破壊するつもりだろうが、核燃料を積んでいるロボットは柔な装甲をしていはいない。

溶岩にでも浸からなければ溶けることはないのだ。


「課長!」

「俺のことはいい。早く」

「わかりました」


 平田はリモコンを取り返したことで役目を終えているのだ。

鈴木は平田の言葉を信じて、階段を上って行く。 

 地下10階まできたところで、鈴木は足を止める。


「おっと、ここから先は通すわけにはいかないぜ」


 そこには廃デパートで出会った小男がいた。


「退け!」

「そうはいかないぜ。あんたが持っているそれは、ロボットを爆破するために必要なんだ。返してもらうぜ」

「やっぱりお前が壺井を!」

「それはどうかな。まぁかかわっていることに間違いはないけどな」


 鈴木は後ろから迫る壺井の位置を確認しながら、小男を睨み付ける。




いつも読んで頂きありがとうございます。


感想、評価お待ちしています(*^_^*)

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