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工場

 工場、製造業で、実際の製品を生産(製造)したり、既成製品の機械関係の点検、整備、保守等のメンテナンスを行ったりする施設をいう。 企業の呼称では「製作所」「事業所」「事業場」などと呼ばれることがある。 軍需品のそれは工廠と呼ばれる。


 鈴木が企画書を前川に提出し、営業部長に報告したことで、残業している全ての者にお弁当の注文支給が決定した。

 但し、原則として注文したお弁当の半額は会社が持ち、もう半分は本人が持つということで、注文者は注文する内容と名前の記入をすることになった。


「第一回、お弁当支給は上手く行ったみたいだな」


 鈴木は宅配されたお弁当を食べている者達を見て、少し顔が綻んでしまう。

今回注文したのは300人中150人ほどだったが、吉川社長を筆頭にお偉いさん方が注文してくれたこともあり、部下たちも注文した方がいいかもと判断して、お弁当を持参した者以外はほとんどが注文してくれたのだ。

 そのおかげか二十時になると、休憩に入る者達で話をしたり、普段仕事に没頭していて知らなかった者達が顔を合わせたりと、交流を深める場所へと変わっていた。


「鈴木課長って変わったことしますね」


 鈴木の独り言を聞いていた平田が、鈴木に話しかけてきた。


「平ちゃんか、そうかな?望ちゃんにも言われたが……そんなに変わっているかな?」

「変わっていますよ。態々利益にもならないことをして、何になるのかと疑問が湧いてくる方が多いのでは?」

「そうかな?お腹が空いていたらイライラするし、休憩を取ることで集中率も増して能率も上がる。一石二鳥だと思うけど」


 鈴木の言葉に平田は本当にそうなるのかと疑問を浮かべた顔をしていた。


「それにね。うちは前年売り上げが上がっていたんだ。その還元を協力してくれた人達にしないとね」

「還元ですか……」


 平田は納得できないと思っていたが、ギスギスとした雰囲気よりかは今の穏やかな雰囲気も悪くないかと思うことはできた。


 お弁当が支給されたことで、配達要因として持ってきた二人のバイト達は唖然としていた。


「ねぇ、ルイ。ここってもしかしてロボットの秘密工場かな?」


 ゼロはお弁当を運び終えて、工業内を外へと台車を押している際にルイに話しかけた。


「そんな訳ないだろう。こんな近くに工場があったら、俺達も苦労しないけどさ。考えてもみろよ。そんな重要機密をこんな普通の弁当屋に見せると思うか?」

「う~ん。言われてみればそうなんだけどね。でもこんなに大きい工場で何をするのかな?僕達がいる場所か下を覗いても暗くて何も見えないぐらい深いよ」

「そんなの俺に分かるかよ。それになロボットをもしここで作ってるとしてもだ。なんだかショボくないか?」


 ルイの言葉にゼロもそれもそうかと思い直す。

それも仕方がないことだろう。二人の知識は地球で流行っていた昔の特撮アニメから得たモノなのだ。

 そのため地球防衛軍の基地にロボットがあり、街のどこかに発射口があると考えている。

だからこそ、ルイは全否定しているのだ。


「この街に潜入した目的は確かにロボットも秘密基地と敵の正体だけどさ。絶対、地球防衛軍とかの基地地下とかにあるんだぜ」


 ルイは若干興奮気味に力説してくる。

彼は特撮ヒーローアニメの虜になっていた。

 自分が敵役の宇宙怪人に属していることもわかっているが、ヒーローのカッコよさに憧れてはいけないと言われても、彼も男の子なのだ。仕方がないことだろう。


「すみません。領収書をもらうの忘れたんですが」


 二人が話をしているところに鈴木がやってきた。


「あっ!すみません」


 鈴木の声に興奮しているルイを放って置いて、ゼロが対応する。


「はい。確かに頂きました。150個もお弁当を運んでいただきありがとうございます」


 鈴木は丁寧にお礼を述べて、ゼロ達と別れる。


「あの人……いい人だね……」

「はぁ~あんなモブキャラの事なんてどうでもいいだろ。それよりもだ……」


 ルイが熱く特撮ヒーローについて語っているのを聞き流すつつ、ゼロは鈴木の後ろ姿を追いかけて姿が見えなくなるのを見送った。


 その日から残業の日は、ほっこり亭にてお弁当を注文することになったが、ルイとゼロが中小企業の地下がロボットを修理する秘密工場だと知るのはもう少し先のことである。


 またお弁当は作業員たちに好評で、作業能率が上がり、利益が上がった中小企業の対応に、自社だけで潤うのではなく。

 作業員や子会社の者達を丁重に扱っていると評判が良くなり、他社からも信頼を勝ち取ることになっていった。

 鈴木の功績として他社からも評価されることになった。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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