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お弁当

評価頂きありがとうございます\(^o^)/


作者の活力になります\(^o^)/


すみません。予約投稿するつもりが、いきなり投稿してしまいました。

今日の投稿なので夜の投稿はお休みです<m(__)m>

すみません<m(__)m>

 弁当、携帯できるようにした食糧のうち、食事に相当するものである。


 残業のときは個人で弁当を持ってきたり、何もないときはコンビニで買って済ませることが多い。

中小企業に勤めて鈴木も例外に漏れない食生活を送っている。

 休日や昼などは望が作ってくれることもあるが、残業が続くとそうもいかない。


「ねぇ、鈴木課長。私考えたんだけど、皆さんにお弁当を配るってどうかしら?」


 それは新しく部下に加わった椿ツバキ 彩愛アヤメが言い出したことだった。

彼女はシングルマザーであり子育てと両立しているのであまり残業に参加していない。

 しかし、親元でお子さんをみてもらえるときなどは残業にも参加してくれるのだ。


「お弁当?」

「ええ。だってこんな夕方から夜遅くまで仕事するのよ。大変じゃない。何より私達だってお腹が空いちゃうじゃない。力をつけるためにはご飯が大事よ」


 言われてみればそうなのだが、会社が支給するべきものなのだろうか。

鈴木はしばし考えて、どうしたものかと悩んでいると、前川が通りかかった。


「お久しぶりです。前川部長」


 年賀ハガキと新年の挨拶は済ませているが、前川に地下で会うのは久しぶりだった。


「鈴木君じゃないか。こんなところでどうしたんだい?」


 地下ではそれぞれの役割がある。

鈴木の役割は調整役であり、前川の仕事は雑務が多い。

 そのため同じ場所にいても顔を合わせることはあまりなくなっていたのだ。


「改めまして昇進おめでとうございます」


 鈴木が頭を下げると、椿も隣で頭を下げた。


「いやぁ~それに関しては君の方だよ。改めて幹部候補おめでとう」

「やめてくださいよ。僕には荷が重すぎです」

「そんなことはないだろう。僕は賛成だよ。君が次に何をしてくれるのか楽しみで仕方ないよ」

「期待されても何もでませんよ」


 前川の言葉に鈴木はふと、先程まで椿と話していた内容を思い出す。


「前川部長。一つ相談があるのですが……」


 鈴木は椿と話していた内容を前川に話した。


「ほう~また面白いことを考えているね。確かにそういう内容ならば、実務を行うのはうちになりそうだね。それで企画書はあるのかい?」


 前川は意外にすんなりと鈴木の申し出を受け入れてくれた。


「まだそこまではないのですが……」

「そうか、ならば企画自体が纏まったら教えてくれ」


 前川そういうと鈴木達の前から立ち去って行った。


「だって椿君」

「だってって、鈴木課長が行ったんですからね。課長がしてくださいよ」

「えええぇぇぇ!!!良かれと思って提案したのに」

「知りません。私もまさか本当になるなんて思ってなかったんです」


 椿はそれだけいうと逃げるように現場へと移動していった。


「どうしよう?」


 鈴木は丸投げされた案件について頭を悩ませながらその日の残業を終えた。


 残業の帰り道、お弁当のことを考えていると一軒のお弁当屋が鈴木の目に入ってきた。


「あれ?こんな店あったかな?」


 造りはどこにでもありそうなお弁当屋、名前はほっこり屋と表記されていた。

いきなりの課題に鈴木は頭を悩ませていたこともあり、弁当屋に入ってみることにした。


「うわぁ~安い!」


 鈴木は店に入ってメニューを見て一番に気付いたことは値段の安さだった。


「いらっしゃいませ」


 鈴木がメニューに驚いていると、可愛らしい男の子が店員として立っていた。


「あの~ここの値段っていつもこの値段なんですか?」

「えっ、値段ですか?何かおかしいですか?」


 店員の態度で鈴木は逆に自分が間違っているのかと思った。

ちなみに価格については、一番安いノリ弁当が200円、一番高い鶏のステーキでも400円なのだ。

 牛肉メニューは一つもないが、家庭的な料理が入れられたお弁当が30種類ほど用意されているのだ。


「いえ、なんでもありません。じゃあこの金平牛蒡とおろし豆腐ハンバーグ弁当をお願いします」

「かしこまりました。ルイ、オーダー。金平豆腐一つ」

「あいよ」

 

 厨房の中が見えている。聡明で元気の良さそうな男の子がいた。

男の子二人でやっている弁当屋と言うのも珍しいものだと思った。


「ゼロ。できたよ」


 ゼロと呼ばれた男の子が受け取った弁当に蓋をして袋に箸と共に入れてくれる。


「250円になります」

「ありがとう」


 鈴木は安さに驚きながらも味がダメだったらどうしようと勢いで買ってしまった弁当を見つめて息を吐く。


「まぁ食べてみないとわからないか……」


 自分に言い聞かせるように家に持ち帰って弁当の蓋を開ける。

アツアツも弁当から湯気が上がり、豆腐ハンバーグからいい匂いが立ち込める。


「おっ。美味そうだ」


 匂いは合格だなっと評論家のようなことを思いながら、豆腐ハンバーグに大根おろしとポン酢をかける。正直鈴木はポン酢があれば何でも美味いと思ってしまう。


「ウマッ!なんだこれ。確かにおろしポン酢のサッパリとした風味が強いが、その中に肉らしい旨味が口の中に広がる。本当に豆腐ハンバーグかこれ?」


 鈴木は二口目を口に入れ、感動を味わう。


「美味い。次は金平だ」


 金平牛蒡には牛蒡と人参、すじ肉が入っていて、その上にゴマが振り掛けられている。 

鈴木がそれらを一つ掴みにして口の中に放り込む。


「ヤバッ!牛蒡のシャキシャキにすじの旨味が半端なく沁みてて美味い。味付けは濃いけどゴマで風味をまとめているのか」


 久しぶりに食べる家庭の味がする弁当に鈴木はすぐに夢中になっていた。

他にもポテトサラダと少しの温野菜が、味の濃い金平を薄め、濃厚さとあっさりのコラボした味わい深い弁当だった。


「はぁ~もうない!」


 気付いたら全部食べ終わっていた。


「あの値段でこの美味さはヤバイな。しかも出来上がりも早かった」


 鈴木は注文してから出来上がるまで5分も待っていないのだ。

もし注文して作ってもらえるなら、これほど素晴らしい店はないかもしれないと思った。


「早速企画書を作ってみるか」


 鈴木はほっこり屋と契約することを前提に、企画書を書き始めた。

お腹も満たされ、気分が乗っていたのだ。

 企画書が出来たのは、夜明け前だった。

いつも読んで頂きありがとうございます。


感想、評価よろしくお願いします(*^_^*)

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