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第二章~Chapter 2~EARTH-後編

 カトレアは一通り話を終えると、

「とりあえずここまで理解できた?」

 佐々神(ささがみ)(あずさ)に確認をとる。

 二人がそれに頷くのを確認するとまた話を始めた。

「そして『魔術の原理』を書き終えた後、様々な魔道書をも書き上げていて、魔道書司としても有名だったの。中でも有名なのはFiveSeoul(ファイブソウル)と呼ばれる術式で、五人の人間の魂を使って寿命を持つ(ドラゴン)を召喚する禁術。未だに彼女以外FiveSeoul(ファイブソウル)を使える魔術師がいないくらい高度な術式で、魔術師としても最高クラスの腕前を持っていたの」

「魔術師としてもそんなにすごいのか?」と佐々神は尋ねる。

 その質問に少し呆れながら、

「そりゃそうよ。『魔術』というものを本当の意味で完璧に理解している人間は彼女くらいしかいないもの。完璧に理解しているということは、独自に術式を組んだり元来からある術式を法則(ルール)に従って組み替えることもできる。たとえ魔力が少ないとしても、少ない魔力で強力な魔術を発動できる術式を組めば問題ないでしょ? まあ、魔力量も半端なかったらしいけどね。しかも『天眼』と呼ばれる秘眼を作り出して、一族に受け継がせたらしいし……効果はよくわからないけど。でもその眼を開発してから反則(チート)的に強くなったから、効果は相当のものらしいわよ。魔力も最小限で済むし……」

 最後のほうはゴニョゴニョ言っていて聞こえなかったが、おそらく愚痴だろう。まあ、カトレアがそこまで言うほどクラリスは努力を重ねたんだろう。と、勝手に結論付ける。

「で、そうそう」

 カトレアは機嫌が直ったのか話を続ける。

「佐々神君の持ってる幻器(げんき)もクラリスが作ったらしいよ」

 そう付け加える。

 佐々神はそう言われたが「へぇ」としか思わなかった。それも、ついさっき名前を知ったばかりだし、正直魔術のことは翔に習ったと言っても詳しいことはさっぱりわからない。

 現にカトレアの話はどれも聞いたことがなく付いていくのが精いっぱいだった。

「で、話を戻すけど」

 そう話を切り出した。

「その後突然クラリスは姿を消した。しかも、彼女を助けた仲間を置いて。噂では『魔女狩りの際捕まって殺された』、『魔女狩りから逃げて他国へ逃亡した』などと言われていたけど、彼女の仲間たちはそれを信じなかった。それは、『彼女ほどの魔術師が殺されたり逃げたりしない』という考えで、今でも一部の信者からは未だに生きているなんて言われてるくらい凄い魔術師だったの。そして、その後残された仲間たちでひたすら研究を続けた。『魔術の原理』に書かれている、『地球は生きている。ちゃんとした治癒能力も抗体も存在する』の一文を研究した結果がEARTHを作り上げたの。『地球は生物であり、人間を生み出した(かみ)である』をという新理論を導き出し、教えを広めた。『魔術の原理(げんしょ)』を持っているEARTHは、次々にオリジナルの術式を完成させていった。その一つがE.W.B.Cで、それまで、魔術界(うら)だけで知られていて、社会(おもて)に出ることはなかったんだけど……だれの指示か知らないけど、最近突然動きを見せ始めた。『地球返還計画』を公言し、テロ行為を始めた。規模が小さく、『魔術の原理(げんしょ)』を持っていたことから、魔術界でも手を出されなかったから未だに正体が不明なの」

「正体不明って人数も分からないのか?」

 佐々神がそう尋ねると首を横に振った。

 どうやら、戦力どころか人数も把握できていないらしい。そんな組織がテロを始めれば当然焦る。だから、『地球返還計画』がどんなものか分からなくても止めようとしていた。と、いうわけだ。

「でも、一つだけ分かっていることがあるの」

「なんなんですか? それ」

 梓は尋ねる。自分の兄のことだと予想したのか、さっきよりも真剣な顔をしている。

「EARTHの本拠地」

 梓は詳しく場所を聞く。

「多分、梓ちゃんには分からないわ。まあ、佐々神君なら知ってると思うけど」

 佐々神はそこでピンときた。

地下世界(アンダーグラウンド)

 そしてずっしりとした重みのある言葉を放った。

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