第324話 輪廻する命
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そしてここにも、寄りそうふたつの魂があった。
ここは魂が天国に行く前の停まり場。
停まり場はレゼルがいる現世を離れ、空へと昇っていく。
レティアスとエルマは、手をつないでいた。
エルマは隣にいるレティアスの顔を見あげ、語りかけた。
その顔は、自身の役目を果たし、事の成り行きを見届けた清々しさで満ちていた。
「あなた。レゼルはほんとうに大きく、立派になりました。
あの子は自分の責任と使命を、果たしたのよ」
レティアスもうれしそうにほほえみ、うなずいた。
「ああ、誇らしいことだ。
あんなすばらしい子を授かった僕たちは、最高に幸せ者だった。これ以上ない人生だよ」
ふたりはもう一度見つめあい、互いにほほえみかけた。
……すると、彼らの魂は徐々にうすれはじめる。
目の前には、天国へと続く階段がどこまでも延びていた。
その階段をのぼった向こうには、先に行ったオスヴァルトとセレンの魂も待っている。
「さぁ、私たちもそろそろ行かなければなりませんね」
「ああ、そうだね。……最後に。
君に出会えて、僕はほんとうに幸せだった」
「生まれかわっても、また私を見つけてくださいね? 探さなかったら、承知しませんよ?」
「ああ、約束だ。来世でも、絶対にまたいっしょになろう」
そうしてふたりは、階段をのぼりはじめた。
輪廻する命が、また再びめぐり会うことを信じて。
次回投稿は明日の19時に予約投稿の予定です。余裕があれば少し早めに手動投稿します。何とぞよろしくお願いいたします!




