第284話 約束の証
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レゼルたちが各地で死闘を繰りひろげていたころ。
ホセは必死に連合国軍の各部隊に指示をだし、戦況の立て直しを図っていた。
そんな彼のもとへ、訪れる者がいた。
「ホセ!」
ホセは名を呼ばれて振りかえり、喜びで顔をほころばせた。
「! グレイスさん!!」
いち早く戦場に駆けつけたレゼルとエウロに続いて、グレイスとヒュードが到着したのだ。
ホセは空中で近寄ってきたグレイスの手を取り、彼が帰ってきたことの喜びを伝える。
「グレイスさん……無事だったのですね。
あなたがレゼル様とともに、光の龍神様のもとへと向かったことは聞いていました。
ほんとうに、よくぞ戻ってきてくださいました……!」
「俺も生きて君にまた会えてうれしいよ、ホセ。それに、よくこれだけの味方を率いてやってきてくれた……!」
グレイスは戦場を見渡した。
敵味方ともにたくさんの兵士と龍が倒れているが、かなりの数の軍勢をひき連れてきてくれたことがうかがえる。しかも、戦況は五分。
「各国の協力と、レゼル様が戻ってきてくれたおかげです。
それに、あなたもいれば百人力ですよ!」
ホセはじつにうれしそうに、そう述べた。
グレイスも加わってホセの指揮を補佐すれば、戦況はより有利に進められることだろう。
しかし……。
「悪い、ホセ。
俺は、レゼルのもとに行ってくる」
そう言って、グレイスは『天翼の浮遊城』を包む巨大な闇の球体を見あげた。
「俺が行ってもなにもできることなんてないだろうが……。それでも、俺は彼女のそばにいてあげたいんだ……!」
「グレイスさん……」
グレイスの真摯な表情を見て、ホセはなんの迷いも見せることなくうなずいた。
「グレイスさん、この場は僕にお任せください。必ずや連合国軍を勝利へと導いてみせます。
だからどうか、レゼル様の支えになってあげてください……!」
「ああ、ありがとう。頼んだよ、ホセ」
そう言って、ふたりは拳と拳をを突きあわせた。
拳を突きあわせるのは、男の約束の証。
「絶対に生きて、また会おう!」
「はい!!」
こうしてグレイスはホセと別れ、レゼルのもとへと向かったのであった――。
ホセとグレイスが男の約束を交わすのは、第二部第48話以来です。
今回は文字数が少ないので、本日20時にもう1話予約投稿します。余裕があれば少し早めに手動投稿します。何とぞよろしくお願いいたします!




