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第281話 たなびく流星の双剣

 帝国皇帝が放った『黒刃』によって壊滅的な打撃を受けた連合国軍。

 誰もが敗北を覚悟した、そのときのこと。


 闇夜に射しこむひと筋の光のごとく。

 はるか上空から、舞いおりてくる者がいた!


 無限の空を、光をまとって降りてくる。

 はやく、はやく、自分のことを待っていてくれる者たちのところへ。

 彼女はただひたすらに加速していった。


 その背に輝くは、『創世の光』を宿す『光の翼』。

 あまりにも神々しき姿に、戦場にいた誰しもが戦いをやめ、彼女のことを見上げていた。

 連合国軍の誰しもが、彼女の帰還を待ち望んでいた。


 戦場にいた者のうちのひとり。

 全身傷だらけで、ボロボロになりながらも。

 ブラウジは彼女の生まれかわった姿を目の当たりにして、涙した。


「おぉ……!

 あれこそまさしく、神の御姿(みすがた)じゃ……!」


 戦場の空を必死に駆けまわっていたセシリアもまた、無二の親友の新たなる姿を見て、涙をポロポロとこぼしていた。


「ほんとに……!

 ほんとに帰ってきてくれた……!」


 空から舞いおりてきたのは、創世の神のちからをまといしレゼル!

 今の彼女は背中に『光の翼』を生やし、エウロとともに色とりどりの光の粒子に包まれていた。


 そうして、彼女は双剣を振りあげる。

 風の双剣リーゼリオン……いや、今は光の龍神ゼトレルミエルのちからが組みこまれ、新たな神剣へと生まれかわっていた。


 ――風に乗って遊ぶ光の粒子は、夜空の風に吹かれる流れ星のように。

 レゼルが振りあげたのは、たなびく流星の双剣『ルクテミシリオン』!!


『 流 星 群(フィルテリト) 』


 彼女が双剣を振りおろすのとともに、数多(あまた)の光球……流星が降りそそいだ!


 光の筋をひきながら、空を降りおちていく無数の光球。

 それらの光球が秘めるちからの総量は、皇帝が放った『黒刃(シュヴィルラム)』にも決して引けをとらない。


 光球に飲みこまれた者たちは、痛みを感じることすらなく姿を消していく。

 その無痛の光は、レゼルが敵兵たちへと与えた、せめてもの(あわれ)みなのであった。


 流星は怒涛(どとう)のごとく押しよせていた帝国軍へと直撃し、大打撃を与えた。

 勢いづこうとしていた帝国軍が、押しとどめられることとなる。


「レゼル様の御技で、敵兵たちの動きがとまったぞ!」

「今のうちに、態勢を整えなおすんだ!」


 連合国軍は間一髪で危機をまぬがれ、形勢は再び五分へと持ちこまれようとしていた!

 戦いの(うず)がまた、熱を帯びていく……!




 光を帯びて現れたレゼルの姿を見て、デスアシュテルはいまだかつて見せたことのない怒りをはらませていた。

 その怒りの激しさは、彼の周囲で空間に(ひず)みを生じさせるほど。

 脳裏(のうり)によぎるのは、()()()()()()


『ゼトレルミエル、貴様……!』


 デスアシュテルは、レゼルの新たなちからの正体に気がついていた。


『神としての誇りを捨て、人間の道具になりさがってまでして余の邪魔をするというのか……!!』


 デスアシュテルはレヴァスキリュリテをにぎりしめ、レゼルのちからの根源(こんげん)を破滅させることを決意する。

 千年前の戦いの雪辱(せつじょく)を晴らし、自身を千年ものあいだ封印した者を破滅へと導くことを……!




 数多の流星とともに、レゼルとエウロは戦場の中央へと着地した。

 そして、はるか上空に浮かぶ『天翼(てんよく)の浮遊城』を見あげている。

 その視線の先、帝国皇帝へと最後の勝負を挑むために!


『世界の行く末を決める戦いの、決着をつけましょう。

 帝国皇帝……いえ、闇の龍神デスアシュテル!!』




 ついに主人公が帰還!


 次回投稿は明日の19時に予約投稿の予定です。余裕があれば少し早めに手動投稿します。何とぞよろしくお願いいたします!!

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