第六十六話 記憶(エピローグ)
世界が奏でた感情の旋律。
夢と幻が描かれた譜面。
記憶を運ぶ風の音。
この世界に眠る儚く脆い小さな断片。
それは、遥か彼方、永遠のなかで人知れず静かに溶けた、名もなき始まりの記録。
紡がれた日々は、寄せては引く波のように揺れ、胡蝶の如く舞っている。
――かつて、神々は詠った。
壊れては再生を繰り返す、滅びなき軌跡――希望と絶望の詩。
刻まれた足跡は、忘却、歪曲、未知……。
それでも、その足跡は、時を超え、次元を超え、種族を超え、未来へと根付いていく。
――かつて、神々は願った。
豊かな大地、広大な海、果てしない空。
時が重ねた想いの欠片、次元の果てに消えた断片、種族たちが紡いだ未来。
そのすべてが深く根付き、高く育つようにと。
――かつて、神々は祈った。
不変の理を覆す、禁忌の使者が現れることを――。
生あるものはいつか命を失う。
それは、自然の摂理。
抗えぬ現実。
『祝福』は力、『加護』は守、『支配』は使者。
三者を頂点する神の三角形――『絶対領域』。
神々は、禁忌にふれる者に、生と同時に試練を与えるのだった……。
第二部 ティラミス編 完結です。
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