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異世界が召喚されました。 ~モンスターとダンジョンの出現で地球滅亡の危機ですが、気にせず観光を楽しもうと思う~  作者: 結城 からく


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第21話 暗殺者は拠点を爆破する

 椅子に座る俺は、飲食スペースのテーブルでフレンチフライをつまんだ。

 付け合わせのマスタードを経由して口に運ぶ。

 カリッとした表面で、中はホクホクだ。

 塩味もちょうどいい具合である。


 食べ進める合間にコーラも飲んだ。

 強い炭酸が口内を洗い流す。

 甘さを感じたところで、再びフレンチフライに手を出した。


 決して絶品というレベルではない。

 ただ、こういった食事に品質は求めていなかった。

 チープな味はむしろベストと言えよう。

 自分で料理したにしては上出来であった。

 やはり設備が整っていると便利だ。


 俺は向かい側に座るケイトにも勧める。


「食べなよ。冷めちまうぜ」


「いや、私はいいです。あまりお腹が空いていなくて……」


 ケイトは微妙な反応で応じた。

 先ほどからまったく手を付けようとしない。

 少し顔色が悪い気がする。

 食欲がないのは本当だろう。

 彼女は辺りを落ち着きなく見回していた。


 店内には、暴徒の死体が散乱している。

 だいたいが胸か頭に鉛玉を食らって血を流していた。

 入口や窓にも折り重なるようにして倒れている。

 外から駆け付けてきた連中だった。


 付近の暴徒は皆殺しにした。

 かれこれ二時間ほど入り浸っているものの、追加で現れる気配はない。

 街中の暴徒はまだまだ残っているが、少なくともこのエリアにいた奴らは一掃したようだ。

 勘の良い者は、近付かないようにしているのかもしれない。

 俺が同じ立場ならそうするだろう。


 好き勝手に悪事を働く暴徒だが、決して無敵ではない。

 人間が相手なら強気で出られる彼らも、モンスターには勝てない場合も多い。

 数は少ないものの、俺達が倒したスライムのような個体も徘徊している。

 だから暴徒達は複数の拠点を所有し、転々と巡りながら安全に暴れているのだ。


 もっとも、彼らの横暴もここまでとなる。

 警部から暴徒の拠点を記した地図を支給されているので、それを参考に次々と襲撃していく予定だ。

 だいたいこれくらいの強さなら楽勝だろう。


 銃火器で武装した彼らは確かに難敵だ。

 しかし、専門職である俺なら負ける道理が無い。

 今回の襲撃でたくさんの武器をゲットした。

 派手にぶっ放していこうと思う。


 暴徒達が蓄えていた物資類もケイトが保管していた。

 その中にはガソリンも含まれている。

 一つ目の拠点から大収穫だ。

 この調子なら、警察署の物資不足も解消できるものと思われる。


「さて、そろそろ行こうか」


 俺は椅子から立ち上がった。

 残っていたフレンチフライを完食し、指先に付いた油をズボンで拭い取る。


 血みどろになった服は捨てた。

 代わりに現在は、バーガーショップの制服を着ている。

 ジャストサイズのものが保管されていたのだ。

 着心地も悪くない。

 店員姿の男が銃を撃ちまくる光景は宣伝効果として最悪だが、もはや関係ないだろう。


 俺は厨房へと向かい、コンロに細工を施す。

 いくつかの工具と材料を使って、即席の時限爆弾に仕立て上げておいた。

 知り合いに爆弾の扱いを得意とする男がいるのだ。

 習ったのは数年前だが、その技術には何度も助けられている。


 暴徒の殺害と合わせて、彼らの拠点も破壊しなければならない。

 放っておくと、別の暴徒が移り住む可能性がある。

 物資は残らず貰ったので問題ないだろう。


「だいたい二分後に爆発する。この店を木端微塵に吹き飛ばしてくれるはずだ」


「え!? は、早く出ましょうっ!」


 慌てるケイトに引っ張られるようにして、俺は店外へと出る。

 駐車した警察車両に赴くと、そこには人影があった。


 二足歩行の狼が、ボンネットの上で生肉を貪っている。

 へばり付いた布切れを見るに、食っているのは暴徒の死体だろう。

 明らかに腕らしき部位が垂れ下がってた。


 俺と目が合った狼は咆哮を轟かせる。

 すると、塀の向こうから複数の狼が現れた。

 総勢十体だ。

 どいつも唸り声を上げて臨戦態勢に入っている。


「食後の運動ってやつかね。いいぜ、かかってこいよ」


 手招きして挑発すると、狼達はこちらに向けて突進してきた。

 思ったよりも俊敏で、まさに獣の動きである。


 俺は腰に吊るした二挺の拳銃を手を伸ばした。

 振り上げながら連射することで、接近する狼のうち七体を射殺する。

 脳漿をぶちまける狼達は、ひっくり返って痙攣していた。


「そらよ」


 俺は弾切れの拳銃を回転させながら投擲する。

 拳銃は二体の狼の額に命中した。

 頭蓋を粉砕された狼は、甲高い鳴き声を上げて昏倒する。

 そのまま勢い余って俺の両脇を滑っていく。


 ラスト一体は真正面から跳びかかってきた。

 俺はナイフを抜き取り、その心臓部を狙った腕を動かす。


 その瞬間、背後から銃声が鳴った。

 狼の片目が破裂し、硬直して地面にぶつかる。

 後頭部に穴が開いており、シェイクされた中身がこぼれていた。


「おや」


 俺は後ろを振り向く。

 ケイトが拳銃を構えていた。

 銃口から硝煙がたゆたっている。

 彼女は青い顔で、唇を震わせていた。


 俺は笑顔でケイトの肩を叩く。


「いい腕だ。やるじゃないか」


「あ、ありがとう、ございます……」


 拳銃を下ろしたケイトは、安堵した顔で礼を言った。

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