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大内政時代

農業計画を進めているが、一部の魔族達にとっては良い気分ではないと声が上がった。


「魔王様よぉ、部下たちが肉を食いたがってますぜ。俺もだけどよぉ」


雑食寄りの魔族達は小麦で作ったパン等を糧に生き残れるが肉食系の魔族達にとって不満の原因となっている。


「ここ等の動物は冬眠に入ってしまったからな」


まだ、冬の国を把握しきれていない段階だ。


冬眠に入った動物たちを探す手間が掛かる以上は軍事力は避けない。


あくまで冬でも活動している鹿やキツネ等を狩る事位しか出来ない。


「肉断ちされるとよぉ。こぅ周りが食料に見えちまう」


極限状態となった猛獣系魔族は周囲の仲間も食べ物に見えるそうで結構扱いに気を遣わなければならないのだが・・・


「魔王様、ワルドブルの集団が西側にいました」


ハルピュイア部隊から報告が舞い込んできた。


「良いだろ?」


今にも涎を垂れ流してガルゥは俺を見つめる。


「食う分は狩っていい・・・二頭の雄雌は生かして持って来い」


「分かったぜ。ヒャッホォ!」


ガルゥが歓喜の雄たけびを上げて城を出て行く。


数百になるガルゥ部隊が第二魔王城を出発していく。


「宜しいので御座るか?」


「猛獣と化したアイツ等に仲間を食われるわけには行くまい」


「雑食系の魔族が減るのは問題よねぇ」


「なんで肉しか食べられないんだブモォ?」


魔王軍の殆どは雑食系魔族で構成されており、肉食のみの魔族の数はガルゥ達しか殆どいない。


「進化過程の残留だろうしな」


動物系は元となった種族の特性を引き継いでいるからな。


むしろ干し草を主食とするミノタウロス族があの怪力を出せる方が気になる。


「食事事情は種族ごとで異なるし。仕方がないだろう」


常に食糧問題に悩まされている。


「そういえば、雄と雌を残すなんてどう言う理由かしらぁ?」


「牧場を作ってみようと思ってな」


「「「牧場?」」」


「野生の動物・・・モンスターを飼いならす場所だ。肉食系のガルゥ達にも肉を供給できるようにな」


牧場の概念を伝えてみるとアッサリ納得してくれた。


「管理は如何なさいます?」


「アイツ等に任せようと思う」


ドラードの問いに答える。


「それだと、つまみ食いされちゃうんじゃなぁい?」


「厳しい罰則を作るか」


大牧場計画も立てる。


雪が解け始め、ワイバーン山脈から大量の水が流れ始めて川が増水する。


「春の訪れか」


雪景色が殆どなくなり、緑色に大地は覆われ始めた。


「魔王様ぁ、私達を魔王領への帰還命令をくださぁい」


サリーナから唐突の帰還したいと言う。


「日が強いのよぉ」


サリーナが火傷を負った個所を見せる。


「悪魔系は全員、日光に弱いのぉ」


冬の国は魔王領に比べて雲も分厚くなく、直接日光が差す場所すらある。


「つまり悪魔系魔族は全員か」


「これには抗えないわぁ」


「夜になったら帰還しろ・・・バホメットの手伝いをしてくれ」


四天王の一人であるサリーナの部隊が抜けるのは痛いな。


「サリーナ殿が抜けた穴は私が受け継ぎます」


「私の座を奪おうとしてなぁい?」


「いえいえ、直接魔王様の命令を受けて動く経験もしておく必要があるので」


「引き継いだら帰還するわぁ」


「あぁ」


サリーナからドラードに仕事の引継ぎを終えて悪魔系魔族達は帰っていった。


「なんでぇ、サリーナの奴は根性がねぇのな」


「種族ゆえに仕方がないで御座るよ」


「オラ達には分からない話モゥ」


光の弱点を持たない故に日に焼ける感覚を知らない。


ガンガンガンッ


バキバキバキッ


「倒れるブモォ」


森に入り農場の柵や牛舎用の木材を手に入れる。


ギコギコギコッ


トンテンカンカン


牧場予定地にドワーフ達を呼び込んで建設する。


ワルドブルを入れて繁殖を開始する。


「交尾をしない?」


餌を与え、自由にさせているが繁殖行為が行われない。


「次期が違うのか?」


「恐らくはですが」


種族によって繁殖期が異なるのは知っている。


どうやら、長い戦いになりそうだと感じた。


春から夏にかけて大規模農場の方は次々に完成を迎えて行く反面牧場計画は芳しくなかった。


周辺からワイルドブルに加え、他の食用可の野生モンスターも入れてみる。


「風車が完成したか」


広大な土地故に水が届かない場所に水車の代わりに風車を建てさせてみた。


高さ20mの建物にモンスターから取れた革を張った羽が風を受けて回転している。


「風がないと動かないのが難点でさぁ」


担当していたドワーフから欠点を言われる。


「風の力を利用した建物だからな。吹いていないと使い物にならないのは仕方がない」


水車製粉工場も作り出させたが、風車式井戸水汲み上げ装置に仕立てた。


「地下水を汲み上げるなんてすごい発想だぜ。魔王様」


「ここの土地にも農園を広げようと思っているからな」


黄金の小麦畑に囲われた風車の情景を思い浮かべながら次の計画を見に行く。


カンカンカンッ


王都にある製鉄工房へと顔を出す。


「魔王様、こんな時間にどうしたよ?」


親方がタオルで汗を拭いている。


工房は熱がこもり軽く80度近くの室温を持っている。


「アレの進捗はどうだ?」


「ライフルって奴か? まぁまぁ、って所だな」


後ろ指で机の上に置かれた火縄銃を指す。


基本構造は火薬で弾を飛ばすという事は変えず、玉の形をドングリの実のようにしている。


ライフリングを内部に刻み飛ばす瞬間に回転力を加えさせることで飛距離を伸ばさせた。


「なんで、こんな細工を?」


「貫通力を増やす為だ」


「だが、これじゃ込める時にズレちまう」


先端を尖らせた事で弾詰めの時に先端が銃内部の何処かに向くらしく、打つ瞬間激突して暴発すると言われる。


玉だった時は無かった要因だった。


銃弾開発が必要だな・・・。


「別に火薬に頼る必要はないな」


少し悩んで思いついた。


「親方、魔道具に詳しい奴はいるか?」


「魔道具だぁ? 彫金の連中なら知って良そうだぜ」


明らかに嫌そうな表情をする親方を後目に彫金が得意なドワーフ達に聞きまわる。


「魔道具ならアイツだな」


「んだんだ」


「ドワーフの面汚しのザッツだな」


「ザッツ?」


「ワシ等は金属加工を得意とするドワーフ族じゃ。魔道具なんぞ邪道じゃ」


「とりあえず、案内してくれ」


「うむ」


案内されたのは薄暗い部屋だった。


「どなたです?」


「お前がザッツというのか?」


部屋の奥、机に向かっているうす汚い格好をした男が据わっていた。


ドワーフにしてはデカいな。


大人でも120㎝位しかないドワーフ族にしては大きな背中だった。


「貴女は?」


「魔王アリアと言えば分かるか?」


「魔王様が僕に何の用です?」


「魔道具について詳しいと聞いてな」


バッ


男が振り向く。


ヒゲもじゃな風体を予想していたが綺麗な顔をしているメガネを掛けている青年だった。


「魔道具に興味がおありで?」


「あ、あぁ。作ってもらいたい物があってな」


ガタタッ


「ククククッ。遂に僕にも陽に当たる時が来ましたか・・・日光には弱いですが」


「日光に弱い?」


ドワーフが日光に弱いとは初めて聞くな。


「あぁ、僕はハーフドワーフなんですよ。母がヴァンパイアでしてね」


「俺の他にも居るのか?」


「貴女もヴァンパイアですね。母を思い出しますねぇ。ヴァンパイアは近く深い場所に住処を作っているらしく表にできませんが」


「お前の母は違った様だが」


「好奇心旺盛な人だったらしいですよ」


「らしい?」


「僕を生んで暫くしたら、父に託して故郷に帰ったらしいです」


唐突に重い話を出すなよ。


「そんな訳で僕は魔道具について興味を持ちましてね。ドワーフの器用さとヴァンパイアの高い魔力が魔道具制作に打って付けだったので」


ドワーフは力は強く器用であるが魔力は低い・・・ヴァンパイアは魔力は高いが手の器用さはない。


「さて、魔王様は僕にどんな依頼を?」


「あ、あぁ」


俺は銃弾の構造について話してみる。


「ふむふむ。発火、爆発、発射を一つに集約した玉ですか」


「爆発を任意のタイミングでさせる事は出来ますよ」


「本当か? だが、玉の角度に問題があるんだ」


任意のタイミングで爆発させる事なら黒色火薬でも可能だ。


「だから一体型を・・・一つ作ってみましょう」


ガチャガチャッ


机に向かってやり出す。


「それは魔石か?」


「えぇ、魔石に任意の魔紋を刻むのです」


ビー玉位の小さい石に細かい文様を刻み込む。


「魔紋とは何だ?」


「魔石に魔法に似た効果を発動させる媒体にするのですよ。今は小爆発の魔紋を刻んでいます。出来た」


細かい魔紋とやらが刻まれた魔石を手に持つ。


「これを強く床に叩きつければ」


パァンッ


魔石が粉々に吹き飛んだ。


「この小ささで凄い威力だな」


魔石が当たった床に小さな窪みが出来上がっていた。


ガチャッ


「おい、ザッツ今の音はなんでぇ!」


ドワーフが入ってきた。


「父さん」


どうやらザッツの父らしい。


「まぁた、お前の趣味か? 折角、連れてきてやったのにお前は何をしてやがんだ。さっさと仕事を済ませちまえ」


「仕事は終わっているよ」


ザッツは彫金された指輪を見せる。


「ちっ、早く言えよ。って魔王様でねぇか」


どうやら俺が居た事は知らなかったようだ。


「なんの用で?」


「お前の息子に用があったんだ。その腕前を見せてもらっていた」


「こんな半端者じゃ役には立てねぇですぜ?」


「いや、別の道なら役に立ちそうだ。ザッツ、お前魔道具制作の責任者にならないか?」


「魔道具ですって!?」


「その腕は確かだ」


「こんな半端者が責任者ですかい?」


「確かにドワーフやヴァンパイアとしての力は半端かもしれない。が、一芸に秀でているなら俺は使わせて貰う」


誰でも出来る事より自分にしか出来ない技を持つなら使うに越したことがない。


「魔王様がそう仰るなら」


「別にお前達を否定している訳じゃない。様々な分野では役に立ってもらっているからな」


ドワーフは手の器用さもさることながら力もあり色々な場面で重宝している。


ザッツを場内に引き入れて魔道具研究の第一人者として置いた。

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