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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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70話 エオルス島へ

本物のリリアーナとの決意を新たにした後、私は応接室を後にした。彼女の残した言葉が心に残る。「クロードは、まだ合理的という冷たい鎧を脱ぎきれていない」。


私は、クロード王子のいる場所へ向かった。彼はライオネル殿下の亡骸を白い布で丁寧に覆い、静かに一礼を捧げていた。彼の横顔は穏やかだが、その瞳の奥には、愛と憎しみの呪縛から解放された王としての使命感が燃えている。


「クロード王子」


私が声をかけると、彼は振り返り、優しく私の手を取った。


「リリアーナ。俺は、もう迷わない。お前が掴み取ったこの世界の運命を、俺たちが守り抜く」


その時、レオンハルト殿下が部屋に入ってきた。彼の表情は、悲しみを押し殺し、決然としている。


「クロード殿下。船の手配が完了しました。すぐにでも出航できます。船室には、ライオネル殿下の亡骸を丁重に安置させていただきました」


「ありがとう、レオンハルト」


クロード王子は、友の忠誠に感謝し、静かに頷いた。


私たちは、ライオネル殿下の亡骸を乗せた馬車と共に、王都の港へ向かった。港には、速力に優れたフリゲート艦が一隻、静かに待機していた。


乗船の際、レオンハルト殿下は、ライオネル殿下の亡骸を運ぶ兵士たちを指揮した後、私とクロード王子に一歩遅れて乗船した。


「レオンハルト」


クロード王子が彼の肩に手を置いた。


「お前は、この旅で、ライオネルの運命を背負うことになる。そして、俺たちの旅の真の羅針盤となるだろう」


「承知いたしました」


レオンハルト殿下は、静かに答えた。彼の中の罪悪感は、今、友への誓いと、新たな使命感へと昇華されていた。


船は、深夜の闇の中、静かに港を離れた。目指すは、遥か東の海に浮かぶ、武神の八つ当たり的な干渉によって混沌に陥りつつある島国、エオルス島だ。


甲板に出た私たちは、夜空の下で、静かに水平線を見つめた。


「クロード王子。武神を完全に封じる方法は、本当に見つかるのでしょうか」


私が不安を口にすると、クロード王子は私の肩を抱き寄せた。


「知神の知識は、武神の力の弱点を俺に示した。武神の力は、憎しみと暴力に依存している。つまり、彼の力の根源を、愛と平和で完全に上書きすれば、彼はこの世界から切り離される」


彼の瞳は、知識の冷たさではなく、確固たる運命への信念に満ちていた。


「エオルス島での戦いは、武神の力を憎しみではなく平和へと変えるための、最後の儀式となる」


私は、彼の隣で、彼の運命を信じ、強く頷いた。

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